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[Power Automate for desktop]MSIインストーラー版とストアアプリ版がなぜ同時にインストールされてしまうのか?
先日ふらり( @flali_world )さんが興味深い記事を投稿されていました。
MSIインストーラー版とストアアプリ版の2種類あるPower Automate for desktop(PAD)を同時にインストールするのは不具合が生じる恐れがあることを、実体験を元に報告されています(※便宜上の呼称として、ここではMSIインストーラーを使用してインストールするPADを「MSIインストーラー版」、Microsoft StoreからインストールするPADを「ストアアプリ版」と表記します)。
ふらりさんも書かれていますが、Microsoftの方でも両方のバージョンを同時にインストールすることは非サポートであると明記しています。
マシン上に両方のバージョンの Power Automate をインストールすることはサポートされていません。 Power Automate MSI インストーラーまたは Microsoft Store (MSIX) のどちらかを選択する必要があります。
両バージョン、機能的には大きな違いはなく、普段PADを使われている多くの方はどちらのバージョンを使用しているのかを意識することなく使われているのではないでしょうか。
どちらか片方をインストールしているのであれば問題はないPAD、なぜ知らぬ間に同時にインストールされているのでしょうか?
今回はその原因となり得る仕様について紹介したいと思います。
バージョン 2.43 の不具合!?
ふらりさんも上記記事で下記のように書かれていますが、現時点(2024年5月)で最新バージョンのストアアプリ版をインストールしていても、なぜか事あるごとに更新を促すダイアログが表示されます。
いやぁ、Store 版にバグがあったのか、なぜかMSI版の更新を取得してきてしまいそのタイミングで Store 版と MSI 版が共存してまう状態になってました...
![](https://assets.st-note.com/img/1715241965998-8WyJ5kmUZa.png)
このダイアログにしたがって更新を進めていくと、もれなくMSIインストーラー版がインストールされます。
しかも最新バージョンのMSIインストーラー版をインストールしている共存状態であっても、ストアアプリ版を使用している限りはこのダイアログが表示されます。
PADの標準設定で更新通知を表示するようになっているので、多くの方がダイアログの指示通りにMSIインストーラー版をインストールしてしまっているのではないでしょうか。
これは恐らく現時点での最新バージョン 2.43 の不具合ではないかと思います。
Power Automate コンピューター ランタイム アプリ導入時にMSIインストーラー版がインストールされる
Power Automateには、クラウドフローからのデスクトップフロー実行やトラブルシューティングに使用する「Power Automate コンピューター ランタイム アプリ」が用意されています。
PADを使用していると、画面上部に「コンピューター ランタイム アプリをインストールする」ダイアログが表示されることがありますが、このダイアログにしたがってアプリをインストールすると、MSIインストーラー版のPAD含めてインストールされます。
![](https://assets.st-note.com/img/1715582960934-65GEz6HmrV.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1715582972030-cQ0Wuw9mGz.png?width=1200)
「インストールの詳細」画面で「デスクトップ 用の Power Automate をインストールして、デスクトップ フローをビルドします。」のチェックを外してもコンソールやデザイナー含めてインストールされます。
![](https://assets.st-note.com/img/1715583034096-iLl2J6Y6Lg.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715583046896-kXu52wi7FR.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715583056616-H8MzKmADWS.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715583068149-NKXmVdBnC6.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715583255555-2noFhVebL0.png?width=1200)
アプリのインストール先フォルダを開くと、コンソールの実体である PAD.Console.Host.exe があることが確認でき、コンソールからデザイナーを開くこともできます。
![](https://assets.st-note.com/img/1715583589188-Z0SUIg1uHq.png?width=1200)
上記の通り、ストアアプリ版を使用している場合であっても、コンピューター ランタイム アプリはMSIインストーラー版であるため、ランタイム アプリを開くと、ストアアプリ版のコンソール( PAD.Console.Host.exe )の下でMSIインストーラー版のランタイム アプリ( PAD.MachineRegistration.Host.exe )が開かれるという状況になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1715584393520-jxTY1G8MzH.png?width=1200)
ランタイム アプリのインストール先から直接コンソールを実行しなければ良いのかもしれませんが、そもそもストアアプリ版のPADを使っている場合はストアアプリ版のランタイム アプリを使うようにしていれば、このようなややこしい状況にはならないと思います。何故このような仕様になっているのかは疑問が残るところです。
おわりに
以上のように、PADの仕様(?)によって、意図せず共存環境になっていて、それが不具合に繋がってしまう可能性もあります。
MSIインストーラー版とストアアプリ版の共存が招く不具合に関しては数年前から心配していましたが、ここに来て実際にハマってしまう方も出てきてしまったなー、というのが正直な感想です。
今後、Windows 11のシェア拡大と共に混在(注:MSIインストーラー版PADとストアアプリ版PADの混在)が広がり、それが思わぬ落とし穴にハマることに繋がってしまうのではないかと、若干危惧しています。
MSIインストーラー版とストアアプリ版を区別する方法についても記事を書いています。
MSIインストーラー版とストアアプリ版を共存させることで、例えば先にストアアプリ版だけバージョンを上げ、旧バージョンのMSIインストーラー版との違いを確認する、なんてこともできるわけですが、これも思わぬ不具合に繋がる可能性がありますので、最初に書いた通りMicrosoftの方でも共存はサポートしておらず、ある程度のリスクがある前提で、意識して使い分けることが必要になってくるでしょう。