音系ワールド探索部
#ワ探アドカレ 25日目の記事です。
はじめに
VRChatのワールドを探索しはじめると、まずは美しかったり面白かったりする様々な景色に目を奪われると思います。けれど、じきに音にも意識が向いていくことでしょう。
試しに今そこで目を閉じて耳を澄ませてみてください。
PCのファンが回る音、空調、自分の呼吸、外の雨風の音、遠くの喧騒、フレンドの談笑、シャッター音、BGM、…その場その場でたくさんの音が響いていて、わたしたちは無意識のうちに耳からも世界を感じているのだと気付くはずです。
12月はSANRIO Virtual Fesやバーチャルマーケット2021など大きなお祭りが続き、この機会にVRChatに触れ始めた方も多いかと思います。特にSANRIO Virtual Fesに行った方であればVRでの音楽体験に興味が出てきたのではないでしょうか。
そこで、この場をお借りして音や音楽について書いてみたいと思います。(わたしがワールド探索部に入ったきっかけでもあるので良い機会ですね)
聴くのではない、"体感"するのだ。 音楽系ワールド特集! #VRChatワールド探索部 活動日誌 Vol.9|VRChatワールド探索部|note
環境音
空気の音、水の音、など世界に存在するものたちから発せられ続ける音です。物理の世界は存在するだけで環境音が鳴りますが、VRChatのワールドでは鳴らさなければ鳴りません。
GHOSTCLUB5.0
ワールド内で鳴る音全てが美しくデザインされていますが、特に環境音の作りこみが世界の実在感に大きく寄与していると思います。雨や機械などそれぞれ良い音が鳴っていて、それらが適切に切り替わることで常に聴こえて欲しい音が聴こえます。
解説記事に詳しい説明が記載されているため、ご興味あればそちらもぜひ。GHOSTCLUB5.0で作ったもの|落雷|pixivFANBOX
BGM
VRChatでは作者の意思により世界自体の音として音楽を鳴らすことができます。物理の世界では音楽を鳴らすための存在としてスピーカーなどが必要になりますが、VRChatでは直接鳴らすことができます。
Life - Cinematic Experiance — by Qyr
タイトルの通りCinematicな音が使われているのが印象的です。作者が提示する体験に対して深めのリバーブと重めの音色が作る空気が馴染んでいて、物語にスムーズに入り込めるように感じました。
Vket4 Worldend Utopia[November] — by VirtualMarket1
ワールドに呼応するような素敵なBGMを聴きながら展示物を楽しめます。一度歩き回ったあとで、この設定をいじってもう一度歩き回ってみるとまた違った音に出会えると思います。どの音を聴いても美しく、バランスを変えることで何度も楽しめるワールドだと思います。
楽曲
環境音やBGMのようにワールドの一部として組み込まれたものだけでなく、いわゆる楽曲として制作された音楽をワールドの中で楽しむこともできます。
ことはのすいてい。 — by 0Haniwa0
バーチャルなアーティストの楽曲がセレクトされて棚に並ぶバーチャルなレコード屋さんです。棚に並ぶレコードを操作するとそれぞれの楽曲を試聴できます。再生状況が同期するため、複数人で訪ねてあれこれ語りながら聴くと楽しいです。お店の奥には特別なレコードが置いてあり良い体験ができたのですが、夏の間に売り切れてしまったようです。
Music Stellar Lake — by m1chie
音楽と光で満たされた空間をスケートで駆け回るワールドです。操作パネルにYouTube等のURLを入力することで任意の楽曲を再生できます。再生される音に合わせて空間全体が演出されるうえ、音の鳴らし方にも工夫が入っているため耳に馴染んだ楽曲も新鮮な気持ちで楽しめるかと思います。
効果音
VRChatではBGMや環境音のようにある程度一定に鳴る音だけでなく、プレイヤーなどの所作に合わせて効果音が鳴る場合もあります。
blend in the wind — by rakurai5
足音や風の音とともに花が弾ける音が鳴るワールドです。世界による音が土台を作ったうえで、自分の行動による音や他のプレイヤーによる音が混ざり合うのが心地よいです。
Shader Fes 2021 — by ShaderFes
場所によって足音が変わると話題になっていたのが記憶に新しいかもしれません。プレイヤーや機械の動きひとつひとつに対して丁寧に効果音が合わせられているため、目を凝らしつつ耳も澄ませながら歩き回ってみてください。
楽器
いくつかの音や無音を集めると音楽になります。いくつかの音を意思によって鳴らすためには楽器が必要です。意思や環境に応じて楽器に求める形は変わりますが、VRChatで音を鳴らすためにはどんな形が嬉しいでしょうか?
Canon for cubes — by らくとあいす
箱の中に部屋があり、部屋の中には装置があり、この部屋全体が楽器になっています。このワールドではとにかく良い音が鳴ります。VRChat上で鳴らす音について、VRChat上で演奏する楽器について徹底的に追及されているため、ぜひ一度弾きにいってみてください。
らくとあいすさんのブログではVRChatでの演奏について様々な面から考察がまとめられているので一度読んでみると楽しいと思います。
VRChatではじめるVR楽器演奏 - らくとあいすの備忘録 (hatenablog.com)
Procedural Ambience — by xCirrex
リズムシーケンサー、レーザーハープ、降り続けるパーティクルによって演奏ができるワールドです。積極的に演奏することもできますが、シーケンサーをランダムモードにしておくことで、良い感じに揺らぎ続けるアンビエントを生成してくれるワールドとしても楽しめます。
世界
ここまで挙げた要素の組み合わせにより、世界自体にメロディや展開を持たせているワールドも存在します。
Just the two of us (for VRAA) — by kinu_kinu
コミュニケーションをテーマにした楽曲で、音と言葉を操って色々なセッションを体験できます。
Amebient — by phi16
“雨部 作戦会議課”による現実よりも少しだけ音楽的な世界です。
2020年のアドベントカレンダーにて様々な切り口で語られているので、まずはワールドに行ってみて、それから記事を読んでみるととても楽しめると思います。
Amebient Advent Calendar 2020 - Qiita
おわりに
VRChatを始めたばかりのころは何も分からず好みのワールドを探すのもままならない状態でしたが、いくつかの出会いを通じて世界を広げられたおかげでたくさんの音系ワールドを探索して来られたと思います。もし誰の助けもなく彷徨っていたら、何も知らないままでがっかりして去っていたかもしれません。
ワールドを制作したときやライブをするときに、わたしはよく「ぜひVRで来てください」と言っています。それを聞いてVRで来てくれた方が素敵なものを見つけて「VRで来てよかった!」と思えたのなら嬉しいです。
そのために、わたし自身ももっと良いものを作れるよう頑張りたいし、今回記事で紹介したように素敵なワールドに出会うためのお手伝いができればと思っています。あなたがこの記事に触れてVRの音や音楽を好きになってくれることを、それが巡り巡ってVRの世界にもっと音が満ちていくことを願っています。
そんな活動をしていけたらと思うので、わたしのYouTubeチャンネルもぜひ登録しておいてくださいね!
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