なぜ日本はデジタル化が進まなかったのか? デジタル人材を育てよう!
■役場ではいまだフロッピーディスクが現役
昨年山口県で起きた『給付金4500万円を若い男性に誤送信した事件』で、その金額もさることながら世間を驚かせたのが、この町は税金や年金・健康保険料などの管理を今だフロッピーディスクで行っていたという事実。
これを聞いて多くの人が驚いたのだが、全国の町村役場では、まだフロッピーディスクで管理することが珍しくないという。
(かくいう私の会社も機密情報を取り扱っている関係で、メールだとセキュリティの問題と文字化けするなどの理由で今だFAXが幅を利かせている。)
もしかして、まだワードプロセッサーで文字打っている職場が全国で探せばごまんとあるのかもしれない‥。
■生産性を上げるためにはやはりデジタル化は必要だ
2021年に鳴り物入りでデジタル庁が発足し『日本は国としてデジタル化するのだ!』と機運が高まったようにみえた。
しかし、結果日本のデジタル化は一向に進展していない。理由は恐らく、デジタル化しないでも何ら問題が無い職場が多いからである。(あと社員の高齢化)
・『ハンコを押して紙で連絡票回して』
・『そのPDFをプリンターで印刷して手書きで記入して』
・『メールで送った資料に書いてファックスで送って』 などなど。
私の会社もデジタル化への抵抗勢力が跋扈しており、正直辟易している
紙は持参するか郵送が必要になるので、やはりオンラインで送るのが便利だ。そんなこと皆わかっているのに、“これまでそうしてきたから”という“現状維持バイアス”が、ここで働くからやっかいだ。
(「紙の保険証でいいではないか‥」。マイナンバーの問題もしかり)
今後日本はますます人手不足が深刻化する。それへの対処として、デジタル化をすすめ生産性を上げる必要があると思うのだが…。デジタル庁の更なる後押しに期待したい。
■日本はなぜデジタル化しないのか
とにかく日本は世界的にみてもデジタル人材が不足していると言われている。その理由について、社会学者の古市さんはvoicyで理由を語っている。
① 日本の「低賃金」
日本は30年間全く賃金が上がっていない。そのため世界的に見ても人件費が安く労働力が手に入れやすいため、(自動化せず人がやればよく)デジタル化は遅れた
② 自動車産業が強すぎて、「デジタル人材」を目指す若者が少ない
日本の大学は歴史的に工学部が強く(自動車産業メインで機械工学の教育に力を入れてきた)、コンピューターサイエンスで日本は圧倒的に立ち遅れた
■おじさんより若者が仕事ができる?!
50年以上の歴史があり年功序列の私の会社では、先輩が後輩に必要な知識や技術を伝授する「OJT方式」で人材育成を行ってきた。
しかし、最近仕事で必要とされる技能が根本から変わり始めているのか、日本企業が得意としていた先輩→後輩へのOJT方式では対応できなくなっているのを感じる。
営業など定型仕事は経験が長い人が強いが、クリエイティブをはじめ、昨今新しく生まれてきた専門的なジャンル(マーケティング、データ分析など最新技術、進歩し続けるテクノロジーを使った仕事)については、部下の方が優秀で私たちおやじ世代をはるかに凌駕する。
寂しいが、私たちが長く培ってきた仕事の定説がまったく通用しない世界が生まれてきているのを感じる。
■『デジタル人材を育てるには、会社が人を育てるのではなく大学がデジタル人材育成へフルコミットするべき』
と経済学博士の野口悠紀雄さんは、その著書の中で述べている。
【これまでの日本】
高度成長期、日本の企業は欧米先進国の成功モデルをひたすら追いかければよかったため、「OJT」が最適。
(「終身雇用」で、一生を一つの企業で過ごすのが普通であったため、このような人材育成方式がとてもうまく機能した(特に製造業))
【いま】
仕事に必要な技能が根本から変わってきているため、OJT方式では対応できない。
→会社が人を育てるという固定概念から脱却する必要がある。
世界の経済の構造が大きく変化し、デジタル技術の重要度が増し、情報処理産業が先進国のリーディングインタストリーになった今、大学などの教育現場から、デジタル人材の育成にフルコミットするべき。
やっと政府も「リスキリング(学び直し)」の重要性を意識し始めているが、とにかく「人への投資」を最優先して、デジタルなどの成長分野へ労働移動を促し、日本が成長できる国を目指してほしい。
【参考】
「2040年の日本」野口 悠紀雄
ここまで日本でデジタル化が進まなかった理由とは | 古市憲寿「古市憲寿の「テレビでは言えないこと」」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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