自分の時間を生きるということ
「1日が50時間あればいい」
「時間を効率的に使えるようになりたい」
こんなことを思ったことが、きっと誰もが一度はある。
時間は有限で、人生も有限だからこそ、使い方を工夫し時間をつくることは、いわずもがなとても重要なこと。
時間のつくり方次第で、人生において成せることの幅も量も、延いては信頼も結果も、大きく変わる。
そのために必要な力が思考を加速させる こと。今回は思考や判断方法を工夫して自分の時間を生きることについて書いています。
価値ある時間をつくり、自分のやりたいことに思い切り時間を費やし、時間を最大限に有意義にする方法です。
「タイム・イズ・ライフ」
元外務省主任分析官で、現在は職業作家として活動し、”知の巨人” と呼ばれる、佐藤 優さん。彼は著書『読書の技法』のなかで、知を身につける手法として「読書」が最も重要であるということを強調したうえで、こんなふうに言っています。
なぜ、読書術が知の技法のいちばん初めに位置づけられなくてはならないのだろうか。それは、人間が死を運命づけられている存在だからだ。そのために、時間が人間にとって最大の制約条件になる。少し難しい言い方をすると、人間は、制約の中で、無限の可能性と不可能性を同時に持って生きている。
常に人生が有限であること、つまり「死を意識して生きる」ということの重要性。別の著名人を挙げるとすれば、堀江 貴文さんも同じく、幼いころから死を意識し、時間の有限性を人一倍意識して生きてきた方の一人。
必ずいつか死が訪れるからこそ、いかに「今」を有意義に、価値あるものにするかを考え、常に頭をフル回転させ、自分の「今」の価値を最大にする努力を止めたくないと。そんな感覚があるんだと思う。
彼らはきっとそんなふうに思ってるんじゃないだろうか。「できるだけがんばって続ける」のではなく、「なんとしても有意義に生きてやる」という生への執念があるんじゃないだろうか。
これが人生を限りなく充実させる力だと思う。
堀江貴文さんは著書で次のように書いています。
タイム・イズ・マネーという言葉は間違っている。お金なら増やすことも可能だ。しかし、時間だけは誰にも増やすことができない。まさしく有限の「命そのもの」であり、タイム・イズ・ライフなのである。
「タイム・イズ・ライフ」
人には必ず死が訪れる。誰にも逃れられはしない。「時間」とは「命」そのもの。
その観点から言えば、自分の時間を無駄にすることは、自分の「命」を浪費しているのと同じ。これを意識せずには、人生をただ漫然と過ごし、目の前の課題に追われ、時間をいたずらに浪費してしまう。
1秒も1日も1年間も、時間はどのような過ごし方をしようと、待ったはかけられず、刻一刻と過ぎていき、「使わずに貯める」なんてことはできない。
だからこそ、時間の使い方を工夫し、時間をつくることを大切にしたい。
ここでは、自分の時間価値を最大限に高めて人生をより有意義にするために、先に紹介した堀江さんや佐藤優さんなどの方から僕自身が学び得たことに、僕なりの解釈と考察を加えつつ書きまとめました。
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ー目次ー
①「思考のフレームワーク(枠組み)を知る」思考法を効率化する
②「時間を区分する」特徴を生かすことで効果を最大化させる
③「書き出す」ことで記憶を引き出す時間を短縮する
④「 “やらないこと” を迅速に決める」やりたいことに全力を傾注する
⑤「些細で膨大な即決即断」時間を動かす要諦
⑥「自分の時間を生きる」 時間価値を最大化する
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**①「思考のフレームワークを知る」思考法を効率化する
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企画・編集やデザインの仕事をしている人に限らず、意見や案を求められることはよくあることだと思います。しかし、新しいことを考えることって難しかったりする。そこで考えるための「フレームワーク(枠組み)」を知っておくと、思考がかなりスピーディーになる。
発想やアイディアというと、まったくの「無」から湧き出た閃きや「新鮮で革新的なもの」といったイメージをしてしまい、「真っ白な状態」から考えようとする人が多いかもしれない。
でも、言うほど簡単じゃない。アイディアが浮かぶ瞬間というのは、この世に今までなかったものが突然「降りてくる」ようなものではなく、むしろアイディアは既にこの世に存在している何かのヒントから生まれるように思える。だから考え方のヒントとなる「思考のフレームワーク」を使う。よく知られているものでいうと、「ジョハリの窓」や「マインドマップ」といわれるものなど。
思考のフレームワークの活用効果は、たとえていえば、自分の部屋の中を整理するように、散らかった思考を整理し、配置や分類、必要な物と不要なものなどをわかりやすくするための ”思考の棚” を設置するようなこと。
思考のフレームワークを知っておくと、考えが早く明確に整理され、自分でもよく理解できていなかったことも、鮮明になる。
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②「時間を区分する」特徴を生かすことで効果を最大化させる
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個人差はあるけれど、時間にはそれぞれに特徴がある。
たとえば、車の運転をしているときは、運転に集中しないと事故を起こしてしまいかねないので、注意の大半は運転に向いている。つまり運転している時間というのは少なくとも「両手、両足が使えず、視覚も自由ではなく、耳に多少の自由を残している」といった状態。これは頭の中で思索をめぐらすにも、効果的な時間とは言えません。自分の体や意識がどこか別の方向へ向いているために、可能な範囲で最低限のことしかできない時間。
寝る前の時間は、両手両足も、目も耳も口も自由。意識を配らなければならないものが何もない、思索をめぐらすのに適した時間。この時間は思考の整理もしやすい。
こんなふうに、時間というのは様々な性質で存在していて、何が手元にあって、何をするのが最も効果的なのか精査できる。
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③「書き出す」ことで記憶を引き出す時間を短縮する**
文字に書き出すことは、一見、手間がかかるように思えて、実は時間を効率的に使うのに有効な手段。
本を読んだり人の話を聞いた時に、ただ「読んだ」「聞いた」だけでは、時間がたつにつれすぐに忘れてしまいます。それをどんどん書き出すことで、時間を超えて残り、記憶にも定着する。
「書き出す」効果の重要な点は、あとから記憶を引き出したくなれば、見るだけで思い出せるということ。
メモせずに忘れてしまうとその情報は失われてしまいますが、「書き出す」ことで、記録され、「思い出す」「記憶に残す努力をする」ことに時間を割かずに済む分、別の作業に時間を割くことができるのです。
残したいことはどんどん書く。
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④「 “やらないこと” を迅速に決める」やりたいことに全力を傾注する**
人生は選択の連続。やることを決めるのに迷うことも多い。
「選び取る」ということは、何かを「切り捨てる」ことでもある。
冒頭で紹介した書籍で、佐藤 優さんは、膨大な情報が飛び交う中、自分にとって不要な本を排除するために速読が必要だと言っている。(佐藤優さんの“速読”とは、「右脳の力を引き出して...」といった速読術とは異なるもの。詳しくは本書をご参照。必要な書物を選別するのにかなり役立ちます。
『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』 佐藤 優 )
つまり、何を読まないかを決める作業。
読書に限らず、日々の生活で「やらないこと」を決めることで、「やりたいこと」に時間も意識も集中させる。
スピード感をもって「やらない」判断を行うことで、実質的に「やりたいこと」のための時間を増やせる。
⑤「些細で膨大な即決即断」時間を動かす要諦
普段の生活の中で些細な選択というのは瞬間、瞬間に数えきれないほどある。たとえばランチをするとき、何時に、誰と、どこで、何を食べるか。
ほんの些細なこれらの時間にスピード感を持たせることで、行動に瞬発力が生まれる。しかも人も待たせず、ウダウダする時間が減り、変なストレスも感じずに済む。
人生での大きな決断というのは、思い切りや人からの後押しなどで意外にも「えいっ!」と意外に決断できてしまったりすることもあるけど、例に挙げたような日常の些細なことは「些細」であるが故に何気なく時間を浪費してしまいやすいもの。
しかし日常的に「即決即断の癖」をつけておくことで、何気なく過ごしている「些細で膨大な時間」を短縮でき、さらに、速く決断できることで自信がつき、人からの信頼度も高まる。
日々の些細な物事を即決即断で動いていくことで、自分が本当にやりたいことの時間を実質的に増やすことになる。
これは④の内容に重なる部分でもあると同時に、さらに重要な⑥へと繋がります。
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⑥「自分の時間を生きる」 時間価値を最大化する**
これは堀江貴文さんが先に紹介した著書『ゼロ』でも言っていたこと。自分の人生を充実させるために「自分の時間」を生き、「他人の時間」を生きない。
「自分の時間」とは、能動的に意思をもって動いている時間のこと。
「他人の時間」とは、逆に受動的で、自分の意思はなく何かを「させられている」時間。
自分が心からしたいと思う行動をとり、人に合わせて自分を殺した時間を過ごしてしまわないことがたいせつ。
「自分の時間を生きる」ことを大切にしていくと、何となく応じていた他人の時間を、意思を持って断ることができ、自分に必要な時間が明確にわかり、それを生み出すことができるようになる。
人生とは時間であり、時間は限られている。だからこそ、時間のつくり方が、そのまま生き方になっていく。最も重要なことは、頭脳をフル回転させ、自分自身がいかに生きるかを常に考え、行動していくこと。
今の思考をさらに加速させ、時間を生み出す人になることで、人の何倍もの人生を生きることもできる。
そんなふうに思います。
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