弟子入りの条件
21歳の秋
師匠、桂きん枝の所に
弟子入りに行った時の事は
今でもよく覚えています。
梅田花月の前で
師匠が出てくるのを
待ち伏せしてました。
待ち伏せと聞くと
印象はよくないと思いますが
弟子入りをお願いに行く時は
ほとんどは待ち伏せではないでしょうか。
何時間か待ったでしょうか。
師匠が玄関から出てきた所を
勇気を振り絞って声を掛けました。
記憶は曖昧ですが
「弟子にして下さい」とは
言ってなかったと思います。
話は聞いてあげると近くにある
ノルトという喫茶店に連れて行ってくれました。
このノルトは梅田花月に出ている芸人さんの
休憩場所のようになっている所で
その時、師匠は梅田花月で大喜利の
出番だったので一緒に出演している
他の噺家さんも数人居合わせていました。
弟子入りをお願いしましたら
一緒に居合わせた噺家さん等が
口を揃えて
「悪いこと言わんからやめとき」と
諭すように言ってましたね。
今、他の誰かの所に弟子入りに来た
同じシュチュエーションなら
同じ事を言うでしょうね。
師匠からは
「私も昔に師匠の所に弟子入りに行き、
弟子にしてもらったから今がある」
「ここで断ったら君の将来を
潰してしまうかも知れない」
「でも今は弟子はいらないから友達になろう」
「五分五分の友達では辛いから
四分六の友達でどうや」
「友達から弟子になるには努力しなさい」
という事でこの日から
「四分六の友達」にして頂きました。
次の日に梅田花月に行くと
支配人や事務所の方々、他の芸人さんに
「新しい友達や」と紹介してくれました。
師匠は事件から復帰して
まだそんなに時間が経っていない頃、
きん枝から勝枝になり、
二代目 桂きん枝に戻り襲名した
少し後の話です。
次は弟子入り前に何をしていたのか
を書いてみようと思います。