稽古が始まりまして、生きていると思いました。
「トリツカレ男」の稽古が13日(月)から始まりました。
キャラメルボックスの代表作のひとつです。演出は成井さんだし、キャラメルボックスの劇団員も何人か出演はしますが、劇団公演ではないので、広く演劇界からバリエーションに富んだ役者たちが集まりました。
ここ数か月、社会に潜りながら感じていたことは、「実感どこいった」って感覚です。
日々楽しいこと、美味しいことなんかをポジティブに感じてはいたのですけど、心にグッと迫る、そんな感覚がありませんでした。
や、そもそもそんな感覚や感動をおいそれと感じる瞬間、日常では出くわさないのかもしれませんね。
こないだ、人生初のバンジージャンプを飛ぶ機会があったんですけど。(仕事です。どんな仕事だ。)
バンジージャンプ飛ぶぞって決まった時から、飛ぶ寸前、飛んだ後も、なんだか意外と平気でした。
50mの高さを、なんだか最初から最後まで実感できずにいたのです。
これはおかしい。
わたしの知っているわたしは、もうちょっと高いところとか絶叫系とか苦手な人間だったのです。
なんだか自分が自分じゃないような、自分の人生なのに他人の人生を見つめているような、そんな感覚になっていたのでした。
そんな中、迎えた「トリツカレ男」の読み合わせ。
個性豊かなキャラクターによって描かれる物語と、言葉の力強さに、なんだか何度もグッと来てしまいました。
なんなんでしょ。
もちろん初めての読み合わせで拙い部分はありにけりだったかもしれません。それでも、みんなの声を聴きながら、頭の中で勝手に、情景が膨らんで、物語が自分だけのものになっていく感じ。
胸じゃなくて、胸の奥の奥を締め付けられるような。
そんな感覚を覚えたあと、「なんだ。やっぱりわたしはちゃんと生きてるじゃないか」と思えました。
難しいのは、読み合わせでわたしが感じた感動を、感覚を、覚えておくことです。稽古が進むにつれ、タスクが増え、冷静になっていって、この感動はどうしたって薄れていくものです。
でも、読み合わせのときにわたしが感じたあの感覚を客席に届けたい。
「生きている実感」を思い出せてくれた演劇に感謝したり、寄り添ったり、ときには適度に距離を置きながら、これから一生懸命稽古していきます。
お気持ちと、スケジュールと、その他いろいろなことに調整がつきましたら、よろしければどうぞ、劇場へ。
あんまりスピリチュアルっぽいこと言いたかないですが、ともに生きていることを実感しましょう。
わぁ、なんだか教祖的。