編集後記『今日から使える薬局栄養指導Q&A』
医学領域専門書出版社の金芳堂です。
このマガジンでは、新刊・好評書を中心に、弊社編集担当が本の概要と見どころ、裏話をご紹介し、その本のサンプルとして立ち読みいただけるようにアップしていきたいと考えております。
どの本も、著者と編集担当がタッグを組んで作り上げた、渾身の一冊です。この「編集後記」を読んで、少しでも身近に感じていただき、末永くご愛用いただければ嬉しいです。
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■書誌情報
薬局での栄養指導や食事療法に関するちょっとした雑談をするとき、薬剤師や管理栄養士が気になるポイントをまとめました
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■編集後記
こんにちは。年々正月餅の購入量を減らしているAです。モチ、イッコ、カロリー、コワイ。
2022年2月1日(旧正月ですね)に、成田崇信・名取 宏著『今日から使える薬局栄養指導Q&A』が発売されます。薬局栄養指導ということは、基本的に通院で治療をしている慢性疾患の患者さんや、軽度の風邪の人を対象にした栄養指導ということになります。
病院で食事をNSTがコントロールするのとは違うセッティング
普段の生活でできそうなアドバイスとは?
ちまたにあふれる「薬なんて飲まなくてもいい食事法があるんじゃないの?」にどう答える?
「このまえテレビで観たたんだけど」みたいな怪しげな噂になんて答えたら
そんな疑問に対し、新聞やウェブメディアを通して啓蒙活動を続けてこられた管理栄養士の成田先生と内科医の名取先生ががっつりタッグを組んで皆様にお答えします。
栄養疫学は近年論文がたくさん出版されるようになりました。ということはエビデンスベースの最強の栄養指導も夢ではない? でもターゲットアメリカ人だしなーとか、身長180cmのスウェーデン人の老人の骨折と食事事情とかどうよ、みたいなことも少なくありません。現実的な食生活、薬物療法との適切な関係を成田先生と名取先生が丁寧に解説します。
で、作ってみて思いました。この本、調剤薬局のスタッフに限らなくても無茶苦茶役に立たない? 病院の待合室に置いてあってもよいかも。そんな気がします。
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■序文
全国の薬局数はここ20年で大幅に数を増やし、今ではコンビニエンスストアの数を上回る6万軒にものぼり、調剤や薬の販売だけでなく食料品から日用品まで取り扱い、地域の高齢者向けの健康カフェなど交流の場としての役割も期待されています。大手ドラッグストアチェーンでは管理栄養士の採用も行っており、薬局での顧客に対する栄養相談ニーズの高まりが感じられます。多くの店舗では薬剤師や登録販売者が顧客の栄養相談に対応していることと思いますが、栄養学や食事療法の知識が十分にないままに相談を受け、答えを返すことに不安を感じていたり、どのような答えを返したら良いか悩んでいる人も多いことと思います。
本書では、病態栄養の基本的な知識については必要最小限にとどめ、薬局での栄養相談で求められる知識はどの範囲だろう? 相談者が本当に欲しい答えや解決策は何だろう? 相談者のニーズを引き出すためにどんな質問をしたら良いのだろう? という、筆者が栄養アセスメントを行う上で大切にしていることを優先順位の高いものからなるべく多く盛り込むよう心がけました。
本当に役に立つ栄養相談の本をつくろうというコンセプトで執筆してきましたが、筆者の期待通りの仕上がりになっているかは、手にとってくださった皆様の評価にお任せしたいと思います。ご意見や感想、使用してみて内容の不備や問題の指摘などありましたら、今後の参考としますのでどうぞお願いします。
最後になりますが、幅広い医療知識も求められる薬局での栄養相談本は共同執筆者である、名取宏氏に感謝の意を捧げたいと思います。本を書き始めてすぐ編集者にこれは無理だと泣きを入れる前に、ダメ元で相談したところ、執筆を快諾してくれました。もしもそうでなかったら本書は日の目を見ることがなかったでしょう。特定保健指導の項目を執筆いただいた青木淑恵氏にも筆者が未経験の分野を知ったかぶりで書かないで済んだことを感謝しております。
2022年1月
成田崇信
患者さんの食への関心は高く、そのため食事や食品に関する健康情報はあふれています。しかしながら、週刊誌、テレビ番組、インターネットニュース、一般書籍などには不確かで不正確な情報がたくさんあります。古くからある迷信のたぐいから「がんを治す」と称する怪しい情報までさまざまです。糖尿病や肥満をはじめとして食事が病態に直結する疾患は多くあり、また、治療だけではなく予防にも広くかかわってきます。食に関する不正確な知識は患者さんの健康に悪影響を与えます。
診察室において患者さんからご質問してくだされば訂正する機会がありますが、混んでいる外来では遠慮している患者さんもいらっしゃるでしょう。それに、医師は疾患をメインに考える傾向があり、「体重を減らしましょう」「塩分控え目に」「バランスよい食事を」などと言うだけで、では具体的にどうすればいいのかといったアドバイスは苦手です。
そこで栄養指導が重要になります。とくに薬局における栄養指導は、外来の患者さんに食に関する正確な情報を伝えるのに大きな役割を果たすことができるでしょう。栄養士や薬剤師が関わることで、疾患だけに注目するのではなく、患者さんの生活習慣や嗜好に配慮したより細やかで具体的なサポートが期待されています。薬剤と食品の相互作用など、薬のスペシャリストである薬剤師が専門性を発揮できる場面もあるでしょう。
薬剤と比べて、食事や食品が健康に与える影響は介入試験で検証しにくく複雑で、エビデンスは限定的です。一方で、食事に対する適切な介入は、副作用は少なく、コストも小さく、長期間にわたって健康状態を改善する力を持っています。利用可能なエビデンスをしっかりと把握した上で、エビデンスのみにとらわれることなく患者さんの価値観や実行可能性も配慮した栄養指導を心掛けたいものです。なるべく食の楽しみを損なうことがない栄養指導は長続きし、患者さんを助けることになるでしょう。
薬局においても食に関する情報を気軽に得ることができれば、患者さんは不正確な情報源に頼らなくても済みます。多職種で連携してよりよい栄養指導を目指しましょう。本書がその助けになれば幸いです。
2022年1月
名取宏
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■主要目次
Part1 栄養学の基礎
1 1日3食食べないとだめですか?
2 タンパク質はなにから摂ったらよいでしょうか?
3 野菜は1日どれだけ摂ればいいいいですか?
4 ベジタリアンは栄養を十分に摂ることができますか?
5 薬局で可能な誤嚥・低栄養対策
対談:健康食品① いわゆる健康食品とどう付き合う?
Part2 病気と食品
1 関節リウマチに効く食品はありますか?
2 痛風ですがビールを飲みたい
3 納豆を食べていたら抗血小板薬をやめてもいいですか?
4 熱中症対策は経口補水液じゃないとだめですか?
5 白い食べものが体に悪いって本当ですか?
6 コラーゲンを摂れば床ずれが治りやすくなりますか?
7 風邪のとき、あっさりしたものと栄養たっぷりなもの、どちらを摂るのがいいですか?
対談:健康食品② 保健機能食品
Part3 慢性疾患に対する栄養指導
1 脂質異常症の食事はなにを注意したらよいですか?
2 糖尿病の食事はなにを注意したらいいですか?
3 貧血の食事はなにを気にしたらよいですか?
4 減塩
5 肝硬変によく効く食事はなんですか?
6 慢性腎臓病(CKD)によく効く食事はなんですか?
7 胃腸の調子がよくないときの食事はどうしたらよいですか?
Part4 食品と健康をめぐるQ&A
補論:特定保健指導
COLUMN
ガイドラインに基づいたエネルギー設計
薬局でできる減量アドバイス
(※詳細目次は弊社ウェブサイトよりご確認ください)
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■サンプルページ
「Part1 栄養学の基礎」から「Question 1 1日3食食べないとだめですか?」と「Part 2 病気と食品」から「Question 6 コラーゲンを摂れば床ずれが治りやすくなりますか?」をサンプルとしてご紹介します。
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Question 1 1日3食食べないとだめですか?
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Question 6 コラーゲンを摂れば床ずれが治りやすくなりますか?
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■終わりに
今回の「編集後記」、いかがでしたでしょうか。このマガジンでは、金芳堂から発売されている新刊・好評書を中心に、弊社編集担当が本の概要と見どころ、裏話をご紹介していきます。
是非ともマガジンをフォローいただき、少しでも医学書を身近に感じていただければ嬉しいです。
それでは、次回の更新をお楽しみに!
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