ネムレスの魅力
私がネムレスを知ったのは2021年の10月。
大阪・寺田町にFireloopというライブハウスがあるのだが、その当時はコ口ナ感染症対策でステージと観客フロアを巨大なアクリル板で仕切られていて、正直なところ、かなりステージの臨場感を下げる要因になっていた。
そのアクリル板に目をつけたのが、今回紹介するネムレス・うてなゆきだ。彼女はそのアクリル板にプロジェクターから映像を投影し、それに合わせてステージを披露するという技をやってのけた。
その時初めて、その映像パフォーマンスを観た時のインパクトが凄かったのと、(私もデザイン関係の仕事をしているので)どのようにして作ったのか興味があり、終演後の特典会ですぐに聞きに行ったのを覚えている。
彼女はいわゆるフリー(=どこの事務所にも所属していない)で、自分のやりたいことをやりたいようにやっている。フリーゆえ、セールスプロモーションをするにも限界があるので、彼女のオタク(通称:“猛者” と呼ばれている)が、それこそ今回の私のように映像を撮ってツイッターに投稿したりと、出来る範囲でちょっとしたお手伝いをしている(下のMVのように野外ステージを作ってしまうとんでもない猛者もいる)。
上はネムレスの猛者が作ったゲーム。
彼女の描いたイラストがドラクエ風の敵として登場する。そのゲームでネムレス本人とオタクが到達レベルを競い合って楽しんだりしている。他にも工作やら料理(主にうどん)など、 #ネムレス ◯◯部 というのが多数存在する。
楽曲のステージも素晴らしいがMCにも定評がある。例えば、対バン形式のイベントの際、他のアイドル目当てでライブに来ていて、ネムレスステージの時に最前列でボーっとしていると「今日は誰のお目当てで来たん?」と餌食となったオタクは数知れずいる。しかし、その“イジリ” もイジられる本人も含め、場を楽しく盛り上げてしまうのがすごいところだ。
最近あった有名なMCでは、ツイッターで本人が「ネムレス」でエゴサしていた際、ネムレスが気になるとツイートしている人をリプで「ライブハウスに来なよ!」と誘い、ライブのMCの時に“はじめまして” の挨拶をしたのがネムレスらしさ全開で面白かった。
また彼女は「アイドル」という枠にどう考えても収まらない。今年のうてなゆき生誕のフライヤーを見てもらうとわかるのだが、(仲のよい瑳里(SARI)ちゃんを除けば)全てハードロックなどコアなバンドばかりだった。
この逆パターンも然りで、割合的にはアイドル中心のイベントへの参加が多いが、かなりコアなバンドイベントに呼ばれることもあり、それが彼女の活動の幅と認知の広さを物語っていると言えるだろう。
最後に、ネムレス・うてなゆきの魅力を堪能するには、ぜひライブハウスに足を運んでいただきたい。彼女の音のインパクトは、Air Podsのようなイヤホンやスマホのスピーカーでは残念ながら伝わらない。彼女の音は聴くものではなく“浴びる” もの。最初に紹介した映像のインパクトも凄いが、何と言っても魅力の原点は“音” である。特にあらゆるジャンルを聴き倒し、今の音楽に物足りなさを感じている音楽ジャンキーにはぜひ聴いて欲しい。吉田豪が「(ネムレスは)日本じゃなくて南米で受けそう」というのも、あながち間違ってない気がする。
(ご参考)
2022年4月、フルアルバム「BOSSS RUSH CORE」を発売されるにあたって、収録されている歌詞について永遠に話すYoutube配信があったので、彼女のことをより詳しく知りたい方はこちらを観ていただくと良いかと思います。
「BOSSS RUSH CORE」はこちら
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