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機能不全おじさんジャーナル

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おじさんのフィールドワークの記録と事件簿
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#事件

やまゆり園事件 空っぽの器と自己救済

 よく宇宙の壮大さに比べれば個人の問題なんてちっぽけなものだ、という慰めの言葉をよく聞く。確かに物質的な比較をすればちっぽけなものだし、宇宙と比べれば吹けば飛ぶ程に些細なものだ。そして何より、それらは大体において時間の経過と共に風化していく。
 しかし、その事実があったとしても今目の前にある問題というのは確固として存在しており、簡単に吹き飛ばせるようなものではない。だからこそ人は打ちのめされるのだ

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メンエス再襲撃 違法マッサージ店を追う

 2024年11月、東京都品川区のメンズエステ店で強盗未遂事件が発生した。犯人は女性従業員にナイフを見せつけ現金を奪おうとし男性店長に取り押さえられた。
 逮捕された実行犯は17歳の少年だった。
 
 少年は逮捕後の調べに対し「Xで闇バイトを探した」と答え、「違法な店だから捕まらない」という言葉で犯行をそそのかされたのだという。
 同様の事件は他にも、東京都豊島区のリラクゼーション店で刃物のような

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脱法ハーブと夏の思い出

 2012年夏、二人の男性が県警の薬物銃器対策課に逮捕された。一人は同県、地方のハーブ店経営者の男性(36)で、男は私の中学2年の頃の担任の教師と同姓同名であった。
 今思うと彼はテニス部主将のような浅黒い肌にいつもポロシャツの襟を立てていて、瞳孔がバキバキに開いていそうな目をしていた。
 私の知っている彼の住所とは違うし恐らく、赤の他人であろうとは思うがなんだか私の中で妙にリンクした。何かと熱く

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個人情報が流出した話 NTTのやつ

 先日、ネット通販で弟の誕生日プレゼントを注文した。

 弟はミリタリーアイテムが好きなので通販サイトを漁り、シンプルなデザインで使い勝手も良さそうなボタンに錨マークがあしらってある可愛らしいデッドストック品のアメリカ海軍のシャツを見つけた。
 ただ、通販サイトというものは不思議なもので何か特定の目的のために活用していたとしても気づけば「何か無いかな」という漠然としたスクロールが始まっている。
 

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昔住んでた町で起きた殺人事件 その後

 以前投稿したこの事件。
 先日、進展があり容疑者と被害者の実名報道と顔が公開された。

 報道カメラに映された赤味が強い茶髪と黒々とした太い男らしい眉毛のアンバランスさが際立つ男性は38歳というにはあまりにも老けて見えた。それは事件によって疲弊したせいというより元から老け顔だったという様な、中学生の頃からずっとこの顔である様な、そんな顔立ちだった。
 警察関係者に連れられて歩く際に報道カメラに向

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昔住んでいた町で起きた殺人事件

 憂鬱な月曜日、蹴っ飛ばすことも出来ないまま布団からのそのそと起き出し、湯を沸かしてコーヒーを淹れる。電動コーヒーミルから上がる音がまるで豆たちの悲鳴の様にも聞こえる。
 
 神経症的なルーティンに則って朝のタスクを機能的に片付けていく。トーストを焼く、ゴミをまとめる、それらを済ませながら朝食の準備を済ませて小さなテーブルで朝の情報番組を見ながら朝食を摂る。
 仕事の予定を思い返しながら味気ないジ

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