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木ノ戸久仁子「世界石化計画」

木ノ戸久仁子「世界石化計画」

地球上に於いて何十万年、何百万年という時の流れで様々な物質が生み出される自然のサイクルを、陶芸は人工的に加速させる営みとも言えます。

木ノ戸久仁子「マグマ」

木ノ戸久仁子さんはその陶芸の技法を用いて石を作っています。
「稀晶石」と名付けて自然には出来上がらない色彩や形の不思議な石を作り出して、最新作はなんと発光します。
地球のサイクルを彼女はちょっとだけ狂わせているのです。

木ノ戸久仁子

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木ノ戸久仁子個展『続・世界石化計画』

木ノ戸久仁子個展『続・世界石化計画』



人間が作ったものを未来の何かはどう見るのか?
本当にやきものは残るのか?

形あるものとして永久に残る可能性について、陶素材はとても有力です。
人間が作ったとは簡単に断定できないものが未来でどうやって処理をされるのか、考えるだけでワクワクします。
この共犯者のようなものに、もし誰かがなってくれたらその可能性はもっと広がります。

大人になったら絶対に何かの研究をして暮らそうと思っていました。

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「雲と石-2021-」に寄せて(木ノ戸久仁子)

「雲と石-2021-」に寄せて(木ノ戸久仁子)

 人は内面にカオスを抱えたままに生まれ育つ。仮に外的な世界が内面の投影であるならば世界はカオスそのものとして始まる。その混沌とした世界の中で自分自身という”うつわ”に芽吹き、内的に見出される小さな差異を整理することで我々は自己を獲得していく。
 
しかし、その体系化された差異としての徴(しるし)は新たなカオスの材料となる。世界認識をするためのカオスの体系化は、新たなカオスを再生産する行為に他ならな

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石と表象としての世界

石と表象としての世界

タイトルは数年前に思いついてしまったけれども、単なる駄洒落のようになってしまうので頭の奥にしまい込んでいたものだ。
しかしながら、木ノ戸久仁子さんの2024年最新モードである個展『アーティファクト』に足を運んでみたところ、ショーペンハウアーの言う「意志」と木ノ戸さんの「石」はやっぱり近しいのではないかと思い至ってしまった。
そして石であるそれぞれの作品には、全てにそれぞれの世界が成立していて、本当

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