わたしが愛した世界~NODA MAP『フェイクスピア』
NODA MAP『フェイクスピア』大阪公演を見に行ってきました。
劇場の場所を勝手に難波駅周辺だと思っていたのですが、あらためて調べてみると、難波から少し離れた上本町(うえほんまち)でした。こういう思い込み、よくやるんです。やらかしヤローです。思い込みでそこに行っちゃって、ぎりぎりになってなんかおかしいなと調べなおしたら場所(または日時)がちがった、みたいな。ああよかった、調べなおしてみて。
劇場に入って席を見つけたときに思ったのは「密・・・」。フツーに両隣と前後には人がいるし、席幅は映画館の客席より狭めな印象。席の位置は舞台の正面、オペラグラスなしで役者さんの顔がかろうじて見える距離でした。去年のオリエンタル劇場の『フリムンシスターズ』のときは、席に余裕を持たせていたのかとなりに人が座らなかったので、てっきりそんな感じだと思っていたのです。気になるのは衛生面ではなくて、「自分が座席のひじ掛け独占しちゃってないかな?」「隣の人にカラダが当たってないかな?」「この人マイひじ掛けだと思ってるんじゃないか?」「なにかとカラダが当たってくるんだけどこの人気づいないんじゃないか?」みたいな方面。昔は気になったとしても、「気にしないでおこう」というモードになることにエネルギーを使えたんですが、今はタスクを増やすことに疲れたので「気になるもんは気になるんじゃーい」と開き直っています。できるだけ密な状況を避けるという自衛には出ていますが、たまたまそうなってしまったのならそれはそれでもうしょうがないと思う。
野田さんを舞台上で見たのはたぶん遊眠社以来。NODA MAPになってからなぜかまったく見る気をなくしてしまい。遊眠社として舞台で飛んだり跳ねたりする段田さん、上杉さん、松沢さん、佐戸井さん、浅野さんといったメンバーや、そのメンバーが織り成す雰囲気が好きだったんだろうと今になって思います。
『フェイクスピア』を最後まで見終わった感想は、ああやっぱり野田さんが書いたお芝居だなと。夢のように断片的に古今東西を行ったり来たりしながらなぜかジンとくる大団円に向かっていく。野田さんの高い声質、あの早口なセリフ回し、軽やかな跳躍も変わってなくて、わたしが高校生のころに愛した世界がそこにありました。