パートナーシップ制度さえもぼくらを見てはくれなかった話
おはようございます。
ぼくは先日、とある市区町村にパートナーシップ制度を導入しようとしている委員会さんの会議を傍聴させていただいてきました。短い時間でしたが、たいへん学びの多い会だったので考えていきたいと思います。
まず、すでにパートナーシップ制度が導入されている市区町村。これは74の自治体が該当し、人口カバー率は33%にあたるそうです。まあ、このへんは数字の話なのでさらっと流しましょう。
委員会のかたがたは、とても熱心にパートナーシップ制度導入を考えてくださっているように見えました。ぼくが驚いたのは、何をすべきか、そのための手段はどうあるべきかがしっかりと考えられていたことです。
たとえば、迅速な導入のためにできること。施行に時間のかかる「条例」ではなく、まずはすばやく施行できる「要綱」として導入し、その後腰を据えて「条例」として定めることを目指していく、などです。
けっして時流だからとか、そういった安易な考えではないように、少なくともぼくの目には見えました。信頼の置けるかたがたが制度のために取り組んでくださっているのだな、と、ぼくは感じました。
委員会のかたがたは繰り返し「理解の輪をひろげる」というフレーズを口にされていました。そのために、象徴的制度としてパートナーシップ制度を導入したいと。
これはぼくにとって、かなりショッキングなことでした。
ぼくや、他にいらしていた方が期待していたのは「パートナーシップ制度によって、自治体からなんらかの助成が受けられるようになること」です。
自治体が公にぼくたち性的少数者を助成するため、パートナーシップ制度を導入することが必要なのだと思っていました。
でも、違ったんです。
パートナーシップ制度を導入する目的は、「理解の輪をひろげる」こと。あくまでも大多数、マジョリティのかたがたの「理解」を「ひろげる」ために制度が必要、とのことだったんです。
議論を続けて、検討を重ねて、やっと導入されるであろうパートナーシップ制度にできること。それは悩み、苦労している性的少数者の当事者たちを救うことではなく、「大多数に理解の輪をひろげる」ことだけだということです。
性的少数者のためではなく、それ以外の、大多数の、理解すらない人々のために制度を導入したいと。要約するとそういうことです。委員会のかたがたは、一貫してそうおっしゃっていました。
大多数のみなさんの理解を得るために、性的少数者はここにいますよと示すために矢面に立てと。ぼくらに人柱になれというんです。
ぼくの言いたいことがわかっていただけるでしょうか。ぼくたち性的少数者は、まだスタートラインにも立っていなかったんです。
以前、ぼくが動画でも言ったように、ぼくは生活保護が受けられない、でも恋人の扶養にも入れない、現在板挟みの立場にあります。この都市にパートナーシップ制度が導入されることによって、ぼくと同じような立場にある性的少数者のかたがたが少しでも救われれば、と思っていたのですが、実態はまだまだほど遠いようです。
ぼくとしてもまだ、この経験を消化しきれてはいません。誰に何を期待して、どうやって明日を生きていけばいいんでしょうか。
パートナーシップ制度ですら性的少数者のぼくらを見てはくれないというのに。