14棟〜三日月〜
私たちの育った団地は14棟でした。そのすぐ隣にあった公園は、部屋の中の次くらいに思い出があるかもしれない。
団地は坂の上にあって、公園からは町内を一望できます。ブランコに乗って一番上まで漕いだり、滑り台のてっぺんへ登るのが好きだったな。親から勝手に借りた双眼鏡で景色を見たりとか。
実際の公園に数年前の妹がいます。可愛いね。
何故か私は、この公園のど真ん中に突っ立って上を見上げている夢をよく見ました。特に印象的だったのは高校生の頃に見た月の夢。月がとても大きく、自分の薬指から赤いハートの風船が生えて、それをレインボー色の満月にかざしているところで目が覚めました。夢らしく無意味な内容だけど忘れられず、曲を書いて出来たメロディを妹に渡しました。
妹には自由に書いて欲しいので、歌詞の内容をリクエストしたりはしません。デモを妹へ渡す時に夢やイメージを伝えてはいるけど、夢の内容とは関係のない歌詞になることもあります。
もらった歌詞に出てくるのはレインボー色の満月ではなく、ハンガーのかかった三日月でした。良かった。レインボー色の満月が出て来たら笑ってしまってたかも。それも良いけどね。
歌詞には、姉妹の思い出が散りばめられています。裸足で砂場に入ったこと、おばあちゃんの悲しいメロディのオルゴールを持ち出して公園で鳴らしたこと、とある山へ日が沈むこと。ベランダから、誰かに見られていたこと。
この公園は、最近取り壊されて駐車場になってしまいました。寂しいなあ。大げさではなく、誰かが亡くなった時の感情にすごく似ています。
私は愛用した布団や壊れたキーボードを捨てる時とか、引っ越す時とか、悲しくてたまらなくなります。号泣してしまいます。愛用した物とか過ごした場所に対して、過剰に執着がある。
一昨年、公園に対して鎮魂歌を書いたので、それを今度のアルバムでお聴きいただけたらと思っています。作りながら泣いてました。歌詞を読んで泣きました。録音しながら泣きました。完成したのを聴きながらまた泣きました。泣きすぎ。
次は「某」です。
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