昔も今も変わらない魅力
信州に根を張る人々のストーリーを伝える小さなメディア
stories of SHINSHU、通称ストオブ。noteでは制作の裏側や直に感じたことなどをKINONEの二人が綴っていきます。
今回はstory06『心の豊かさが紡ぐ服づくり アパレルブランド<PUR>』の編集後記です。
(文:記事・写真担当_高井まつり)
10代の私は、寝ても覚めても頭の中がファッションやメイクのことでいっぱいでした。雑誌「zipper」(モテや好感度より個性が大事!な、いわゆる青文字系)の発売日には必ず本屋に行ったし、お風呂でしわしわになるまで読んで、気に入ったページはスクラップ。若さゆえでしょうか、それほどに情熱がほとばしっていたのです。
Zipperは、主に原宿に集まる個性的な女の子たちがモデルを務めていて、中でも高い人気を博していたのが今回ストオブにご登場いただいた八木下泉さん。“いずみん”の愛称で親しまれ、お姉さんの“きゃおりん”と共に当時のZipperを引っ張る存在だったように思います。さらに、お二人が長野県出身ということを知り、より親近感と憧れが増し増しになったのでした。(泉さんがかぶっていたフワフワの帽子やカチューシャの2本使いもやったなぁ)私にとって泉さんは青春そのものです。
それから十数年。泉さんが同じ長野県に住んでいると知ったとき、あの頃の甘酸っぱい記憶が蘇ってなんとも言えない気持ちになりました。そして、服づくりに対する泉さんの想いも知って、「いつか取材をさせてもらえるように頑張ろう」とストオブを始めたばかりの私たち姉妹は密かに目標にしていたのでした。
ストオブを始めてから2年半。依頼をするとき、それはそれは緊張しました。けれど、私たちの緊張とは裏腹に「いいですよ〜、いつにします?」と想像を超えた泉さんの軽やかさとおおらかさで、あれよあれよと話は進んで…編集後記を書いている今に至ります。
取材中も含め、準備期間や原稿書き、写真編集をしている間、ずっと服について思いを巡らせていました。当たり前だけど、服を選ぶ基準は人それぞれにあるということ。動きやすいか、触り心地はいいか、お手入れはしやすいか、色やデザインが好みか、コーディネートはしやすいか、価格は予算内か…などなど、挙げればキリがないほど服選びの観点は千差万別。
こんなにも尺度がある中で「これだ!」という服に出会うことは、一期一会だと言っても大袈裟ではないと思います。さらに“誰がどのように作ったのか”を知ることができ、直接作り手から買うことができたらどうでしょう。それを今回初めて体感し、服に対する眼差しが変わったように思います。
PURの服の多くは、着方を何通りも楽しめる余白があったり、一点一点表情の異なる古い生地を活かしたものです。それは、あの頃の固定観念に縛られない自由なファッションと唯一無二の古着を愛する“いずみん”の魅力そのもの。時代が変わろうと年齢が変わろうと住む場所が変わろうと、泉さんの純粋なファッションへの想いがものづくりに映し出されているのだと、隠れ古参ファンは思うのでした。そして今、生産背景もデザインも自身の目で確かめ、納得と責任感をもって服づくりをする泉さんの真摯な姿を、一人でも多くの人に届けたいと静かに燃えています。
私たちKINONEが作る小さなwebメディア『stories of SHINSHU』では、泉さんの私生活や服づくりへの想いまで、多岐にわたり伺っています。記事(前後編)と動画はHPよりご覧いただけます。