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定款の変更(目的追加・本店移転)とそれに伴う申請登記を行いました

先日、宅建業の免許取得に向けて、会社の定款変更本店移転、それに伴う目的変更登記および本店移転登記を行いました。

司法書士に依頼する方法もありましたが、バックオフィスのメンバーが増えたタイミングだったこともあり、自分たちでできることを増やそうというチャレンジとして、自社内で対応してみました。

今回やりたかったこと

  • 宅建業免許取得に伴い、目的に「宅建業」を追加

  • 本店所在地を世田谷区から中央区へ(管轄外本店移転)

今回やった手続き

  • 定款変更(目的追加・本店移転)

  • 本店移転登記申請

  • 目的変更登記申請

  • 本店移転に伴う各種手続き(税務署・年金事務所など)

今回は目的追加と本店移転(管轄外本店移転)を同時に行うケースを司法書士に依頼せず自分たちで対応しました。
当初は同様のケースの記事を参考にしながら進めようと思っていたのですが、いざ始めてみると、このテーマで解説している記事がほとんどありませんでした。
こちらの記事では解説を交えてレポートしていきますので、ぜひ参考にしてください!


定款・定款変更とは

定款とは、会社の基本的なルールを定めた書類で、設立時に必ず作成するものです。会社の目的や組織、活動などを定めており、変更が生じた際は「定款変更」が必要です。

定款変更には、株主総会での特別決議が必要です。議決権の過半数を持つ株主が出席し、そのうちの3分の2以上の賛成が必要です。また、定款変更の内容が「登記すべき事項」に該当する場合、法務局への登記申請も行います。

今回は「登記すべき事項」である会社の「目的」の追加「本店移転」を行なったため、法務局への登記申請も行いました。

目的変更登記申請

会社の「目的」とは、会社の事業内容を定めたもので、定款に記載されています。今回きのもと商会が宅建業免許取得のために目的に「宅建業」を追加したように、事業内容を追加する場合は定款変更・目的変更登記申請が必要です。

必要な書類

  • 株式会社変更登記申請書(目的の変更)

  • 収入印紙(3万円×1枚)

書類は本店移転登記申請とあわせて、(旧管轄の)法務局に持参しました。

本店移転登記申請

本店移転登記は、会社の登記事項証明書に記載された本店所在地を変更するための手続きです。

会社法では、会社登記簿の内容に変更が生じた場合、その変更日から2週間以内に登記を申請しなければならないと定められています。(オフィス移転をして住所が変わったときにも必要な手続きです。)

本店移転登記には同じ管轄内での管轄内移転と移転前と移転後の管轄法務局が異なる管轄外移転があります。今回きのもと商会が行ったような管轄外移転の場合、移転前と移転後の法務局両方への申請が必要です。両方への申請と言っても、旧管轄の法務局にまとめて書類を提出すればOKです。

また、目的変更登記申請・本店移転登記申請ともにオンライン申請も可能です。
しかし、オンライン申請は専用ソフトのダウンロードが必要だったり、ICカードリーダライタが必要だったりでかえって面倒だったため、今回はオンライン申請にはせず、法務局へ出向いての書類申請としました。

必要な書類

  • 本店移転登記申請書(旧管轄法務局提出分)

  • 本店移転登記申請書(新管轄法務局提出分)

  • 株主総会議事録

  • 取締役会議事録または取締役決定書

  • 株主リスト

  • 印鑑届書

  • 収入印紙(3万円×2枚)

きのもと商会は取締役会を設置していないため、株主総会議事録ではなく取締役会議事録を作成しました。

目的変更登記申請で必要な書類と本店移転登記申請に必要な書類の両方を持って旧管轄の法務局へ。手続きの完了は電話確認(!)で、申請から2週間程度で完了が確認できました。

印鑑カードは管轄外移転の場合は引き継げず、登記完了後に新管轄の法務局で新しく作成が必要です。後日、新管轄の法務局に印鑑カード交付申請書を提出して作成してもらいました。

手続きを終えて

大変だったポイント

一番大変だったのは各種申請書の作成でした。基本的には法務局のWEBサイト内にある例を参考にしましたが、「株主総会議事録」や「取締役決定書」などの例のない書類は一からつくらなければならず、調べながら取り組みました。これがなかなか大変でした……。

司法書士さんなどに依頼せず、自力で手続きを行う方へ

もちろん申請書作成の際は必要書類の種類や記載内容に間違いがないか、事前にチェックすることも大切です。しかし、例やネット上の情報にも記載していないようなこと(当たり前かもしれませんが、「住所の記載方法を統一する」、「書類ごとに押印する位置・種類が異なる」など)もあり、自分でいくらチェックをしたとしても、高確率で書類不備があるのではないかと思いました。
今回は利用しませんでしたが、法務局に書類不備を事前に確認してくれる窓口があり、そこを予約利用すればもっとスムーズに進められたかもしれないと少し反省しました。これから自力で手続きを行う方には窓口の利用をおすすめします!

本店移転に伴って発生する手続き

登記申請が通って一安心。ですが、「本店移転」を行ったことでやらなければならない手続きがたくさん発生しました……!
私たちは今回、追加で下記の手続きを行いました。

届出先:税務署

  • 異動届出書(移転後速やかに)

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(移転後1ヶ月以内)

届出先:都道府県税事務所

  • 異動届出書、法人異動事項申告書など(速やかに)

  • 登記事項証明書

  • 定款

届出先:市地区町村役場

  • 特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書(速やかに)

届出先:年金事務所

  • 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更届(移転から5日以内)

  • 登記事項証明書

届出先:労働基準監督署

  • 労働保険名称・所在地等変更届(移転から10日以内)

届出先:公共事業安定所(ハローワーク)

  • 雇用保険事業主事業所各種変更届(移転から10日以内)

  • 登記事項証明書

届出先:金融機関

  • 通帳

  • 本人確認書類

  • 登記事項証明書

届出先:郵便局

  • 転居届

税理士さんや社労士さんがいる場合は、本店移転登記をすることを共有し、上記の「所在地変更届」などを行なってもらうよう連携をとらなければなりません。

ここまでの一通りの手続きを終えて、目的追加と本店移転のすべてが完了です!

今回の手続きは、多くのステップが必要かつ初めてのことも多く、苦労もありましたが自分たちで完遂することができました! そして、今後もこういった手続きが発生したときに自力でできる自信がつきました。
同様に自力で手続きを進めようと考えている方は、事前準備をしっかり行い、必要に応じて専門家や窓口のサポートを利用することがおすすめです。


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