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久遠の特注家具工場を見学してきました!
先日、インターン生と一緒にいつもお世話になっている特注家具工場、久遠さんに見学に伺いました。
そのときの様子について、美大で工芸を専攻している、インターン生の久野さんにレポートを書いてもらいました!
先日、特注家具を作成している株式会社久遠さんの家具工場へお邪魔しました。
私は普段、美大の工芸科で作品制作をしています。主に金属を使った立体作品を制作していますが、ガラスや陶などの素材を扱うこともあります。
過去の制作で木工で椅子を作ったことがあったので、家具の作り方について多少の知識はありましたが、オフィスや公共施設などで使われる家具の制作工程とはどんな違いがあるのか、見学できるのを楽しみにしていました!
久遠さんについて
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久遠は千葉県鎌ヶ谷市に工場を構え、既製品の家具ではなく、その場所にピッタリと合ったその場所にしかない家具をつくるため、品質にこだわった特注の家具を制作する会社です。
工場に入ると色々な工具や機械がたくさんありました。よく見ると木が置いてある作業場よりも、金属が置いてある作業場の方がスペースが広いような気がします。
実は、久遠は元々金物を専門とする会社であり、木工の仕事を始めたのは元々木工の会社で働いていた中橋さんが入社した5年ほど前からだそうです。金物と木工の仕事をどちらもやっている会社はかなり珍しいんだとか。
木工家具の構造・工程
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案内をしてくださった中橋さんが家具の構造や制作工程などを説明してくださいました。
お客さんの求めている家具をつくるために、色々な素材や構造で制作しているそうです。
主な流れとしては、「全ての部材をまず板の状態で用意→カット→塗装→合わせる」といった感じ。
例えば机の天板を作るには、天然木から切り出した一枚板を加工した無垢材で作るのか、天然木を薄くスライスした突き板など板を貼り合わせたもので作るのか。お客さんの要望や、机が使用されるシチュエーションによって最適な作り方が変わります。
無垢材
メリット:木の重厚感がある。経年変化が楽しめる。制作上工程が少ない。
デメリット:価格が高い。時間が経つと割れや反りが出る。
突き板などを使用した板材
メリット:価格が安い。軽い。反らない。
デメリット:木の重厚感は薄れる。工程は多め。
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私が大学で触れることの多い木工芸では木の美しさを最大限活かすために無垢材を使う人が圧倒的に多いので、色々な材を貼り合わせた突き板を使った作り方は制作コストや使い勝手が考えられていて、とても工業的だと感じました。
他にも、木目をプリントした樹脂を圧着したメラミン板・ポリ合板、集成材などが使われるそうです。それぞれ価格や耐久度が違うので、予算や家具が使われるシチュエーションによって素材が変わります。
形ができたら次は塗装です。塗装にもウレタン、ラッカー、アクリル、UVなど、色々な種類があると教えていただきました。こちらも使われるシチュエーションによって適切な塗装が変わります。
例えば、ウレタンは工程は多いが耐久性があり、長く使う家具に向いている。ラッカーは耐久性はあまりないが、安く早く仕上がるので展示会など期間限定の場所で使われる、などです。
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家具が使用される空間や、その目的、予算に合わせて色々な作り方があることを学びました。
金物仕事と職人
金物仕事の流れとしては、「板をカットする→溶接などで成形→仕上げ→(塗装)」といった感じです。
今回はその中でも見た目の印象に大きく関わる仕上げ部分について教えていただきました。
例えば、ステンレスの場合は主にヘアライン、バイブレーション、鏡面仕上げの3種類の方法があります。
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ちょうど職人さんが手作業で溶接部分のヘアライン仕上げを行なっていました。この前段階の溶接と、溶接跡をきれいになくす仕事も職人さんの手作業です。
このような、手作業による丁寧な仕事が久遠さんの「こだわりの品質」を支えているのだと感じました。
まとめ
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今回の工場見学で、美術品に近い工芸的な家具と、オフィスや公共施設などで使われる家具では、使う素材や構造、作り方がかなり違うのだと感じました。
前者はものとしての美しさが第一に求められているのに対し、後者は美しさを持ちながらも使い勝手や強度、価格、時間など、求められる要素が多いと感じました。
また、工芸的な家具は美術作家が1人で作るのに対し、工場で作る家具は家具一つに対して関わっている人、お金、時間の規模が違うため、作り方に差が出るのかなと思いました。
また、品質に大きく関わる職人さんの手仕事を直に見る貴重な体験ができました。
機械では中々出せない、熟練の職人技による仕上げの精度の高さはとても素晴らしかったです。
株式会社久遠さん、ありがとうございました!