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日建設計東京オフィスがリ・デザイン。“共創の場”、「PYNT(ピント)」を見学してきました!

先日、日建設計東京ビルの「PYNT(ピント)」に木下商会メンバーで見学に行ってきました!

日建設計は東京タワー、東京ドーム、東京スカイツリーなど、誰もが知る建築物の数々の設計に携わってきた日本最大の建築設計事務所。「PYNT(ピント)」とは2023年4月、飯田橋にある日建設計東京本社ビルにオープンした「社会にひらき人が集う“共創の場”」です。詳しくは後ほど、写真とともにご紹介します。

建築学生の頃からよく耳にしていた、国内最大手の組織設計会社のオフィスを見学できるということもあって、内心かなりテンション上がっていました!


アクセス

PYNT(ピント)
日建設計東京オフィス 3F
所在地:〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2丁目18-3
東京メトロ「九段下」徒歩5分、「飯田橋」徒歩5分
TEL:03-5226-3030
公式サイト:https://www.nikken.jp/ja/about/pynt.html

日建設計東京オフィスは2023年4月から、東京オフィスのリ・デザインを皮切りに、各拠点の刷新にあわせた新たなワークプレイスの実証実験を行なっています。

東京オフィスは1階から4階を実験的大改修。オフィスを「個人ではできないことを実現する場」と位置付け、ABWのレイアウトも“人とのコミュニケーション”を前提に再構築。「来たくなるオフィス」を作り上げました。

そして「つながる」、「学ぶ」、「発信する」をテーマに社会とつながり人が集う“共創がうまれる場”を目指して運用しています。

2F 「PLAZA」

ビルに入ってまず初めに私たちを迎えてくれるのが、2階の高さまで吹き抜けた開放感あふれるエントランス。

全面ガラス張りの1階部分からは、ビル前に並ぶ木々の鮮やかな緑と木のフィルターがほどよくかかった優しい光が入り込み、とても心地よい空間になっていました。

2階からの眺め。程よい光が心地よい。

「PYNT」は3階にあり、そちらを見学する前に2階も見せていただけることになりました。

2階は「PLAZA」と名付けられ、受付、ワークスペース、会議室が並ぶエリアです。

特に目を引いたのが、広い通路中央に置かれたカウンター。
このエリアは「会議終わりに雑談やちょっと一杯……」のような光景が広がればいいなという想いでデザインされたそうです。

通路中央に並ぶカウンター。それぞれ異なる素材でできている。

「PLAZA」には、さまざまな箇所に実験的なマテリアルが使用されているという特徴がありました。

日建設計はカーボンニュートラル推進の一環として、原材料や製品の循環で環境負荷低減を目指す「サーキュラーエコノミー」に挑戦しています。
新たに投入する資源には自然素材やリサイクル材など、環境に良い素材を用いることに加え、改修によって発生する廃材や解体材も新たな用途に活かすための検討が行われているそうです。

よく見ると天井は竹で作られていました。竹は成長が早く、さらに成長過程では二酸化酸素をよく吸収するなど、サステナブル・カーボンニュートラルな特性が多くある素材です。

そして、3つのカウンターは極力化石燃料ベースの燃料を使わず、再生・再利用可能な自然由来の材料を使用した、それぞれ異なる実験的なマテリアルが使用されていました。
中でもこちらのブラウンのカウンターに使われている素材には特に驚かされました!

少し離れたところからは動物の革……?植物??のように見えましたが、近づいてみてびっくり!

めっちゃきのこ!!!

この素材はマッシュルームレザーと言って、マッシュルームの菌糸体を培養してできたスエードのような質感の素材です。オープン当初はきのこの香りがしたそうですが、見学に伺った頃には香りはだいぶ薄くなっていました。

天板にもマッシュルームレザーが混ぜ込まれている。

ここ数年、さまざまなところで環境に配慮した素材を使った建築資材や家具を見てきましたが、予想だにしないものからも素材を作ることができるようになっていて、良い意味で技術の進歩の速さを恐ろしく感じます。

他にも、会議室には花びらやハーブといった植物を壁材に使っているなど、日建設計さんのカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーへの積極性がとてもよく伝わってきました。

この部屋はバラを使っていて、モニターをつけている壁に近づくとバラのいい香りがしました!

バラを使った壁は近づくといい香りが。


3F “共創の場”「PYNT(ピント)」

いよいよ3階のPYNTフロアへ!

階段は部材の線が細く宙に浮いたようなデザイン。
階段を登ってまず目に入るのがこのサイン。

「PYNT(ピント)」とは、日建設計が東京の自社オフィスに新たにオープンした「つながる」、「学ぶ」、「発信する」の3つをテーマした“共創の場”です。ワークショップやイベントから、日建設計のこ取り組みを展示し紹介できる機能も備えた、社内のみならず社外も巻き込んだ実証実験の場となっています。

「PYNT」は

  • 自分の考えが感覚的に合うときなどに使う「ピンときた」

  • 焦点が合うという意味の「ピントが合う」

この2つが名前の由来となっており、「ここにきたら、こんなことができるかも」とアイデアが降ってくる場所になって欲しいという想いが込められているそうです。

フロアマップ

引用元:PYNT公式サイト
各エリアのサイン。ユニークでかわいい。


PYNT BAR

このエリアにはPYNTの運営チームの方が常駐しており、人と人をつなぐコミュニティの場として機能しています。

カフェも併設してあるので、ここでお茶しながらいろんな方と談笑できるのは楽しそう! 新しい交流やアイデアの交換のきっかけにもなりそうです。

併設のカフェ。カウンターにはPYNTに訪れた方のチェキがたくさん!


STAGE

このエリアでは定期的にイベントが行われており、誰でも気軽ににプレゼンができる場となっています。

過去にはこんなイベントが開催されていました。

引用元:https://pynt-prompthack01.peatix.com/view

最近話題の画像生成AIを使って建築や空間をデザインしてみようというワークショップで、Twitterでもかなり盛り上がっているのを目にしました。
Twitterで「#PYNTきた」と検索すると、ワークショップやPYNTの様子が見られます。

このようなエリアがあるのも社内外を問わず、さまざまな人が利用できる場所の醍醐味かな、と思いました。

実際に座って説明を聞くメンバーたち。


OUR BOOKS

OUR BOOKSには「みんとしょ」が導入されています。みんとしょとは「一人一区画オーナー制」で、利用者それぞれが自分の好きな選書を紹介できる本棚です。

利用者によっては本の貸し出しをしていて、「普段の仕事上の会話からだけでは、その人の思考の深部まではわからないよね〜」といったところを、本を通して新たな一面を見られる場にもなっています。

このエリアを監修した「みんとしょ」土肥さんの棚。

私の地元・福岡でもこのようなスペースを見たことがあり、その人の好きなものだったり何に影響を受けたのかだったりを本棚を一目見ただけで想像できるのはとても面白いと思いました。

また、読んだ感想を気軽にポストイットに書いてシェアできるので、本棚の所有者は読んでくれた人からのリアクションを得られるという点も嬉しい要素でした。

XR STUDIO

メンバー全員が一番興奮していたのがこのエリア。

3つのプロジェクターを使って壁2面と床1面に図面を1/1スケールで投影することができ、実際にその場にいるかのような体験ができるスタジオです。小さな図面ではピンと来づらい寸法感覚もXR STUDIOなら体験を通して理解できます。実際に進行中のプロジェクト図面を用いてクライアントさんに体験してもらうとすごく良さそう!

最先端の技術に「これはやばいですね!」「社内に導入しましょう!」とメンバー全員が興味津々でした。

細かなサッシの納まりもこれだとイメージしやすいかも。


GARAGE SYSTEM

ここでは、日建設計社内からの公募で現在進行中のプロジェクトのプロトタイプなど、未完成の取り組みを展示しており、見に来た人たちが感じたことやアイデアなどをポストイットに書いて、それらをブラッシュアップすることでより良いものを生み出していこうというエリアになっています。

さまざまな分野の方が集まるPYNTだからこそ、他にはないアイデアが生まれそうだなと思いました。フランクな空間なので議論もはずみそう!

フロアのいたる所に、まだ製品化されていないプロダクトが多く展示してありました。

例えばこちらは、自然を空間デザインに取り入れることにより、人に対してポジティブな影響をもたらす“バイオフィリックデザイン”の実践である「おいしい環境建築」という取り組みです。アグリテック〔農業(Agriculture)+テクノロジー(Technology)〕を活用し「使える、食せる植物」を育てています。

パーテーションとしても使うことができ、植えてある植物は育つと実際に食べることができます。

確かに初めて見た人は「これって食べられるんですか?」と思うだろうし、会話のきっかけやコミュニケーションのツールとしても機能するとてもユニークなアイデアだなと思いました。

TOILET

改修前のトイレは男・女・車いす利用者等により利用できる区画が分けられていて、「どの区画を利用すればいいかわからない」、「着替えのために使いたいが空間が狭い」など、使いたい空間と使える人のミスマッチが生じることがありました。

そこで、PYNTのトイレは「誰が使うか」ではなく「何をするか」に着目し、全6室に「リフレッシュ」、「リラックス」、「スタイリング」の3つのテーマを持たせました。
エリア出入口付近の壁には、現在どのブースが使用中かがわかるデジタルサイネージが投影されていました。
サイネージに描かれているピクトグラムには男女の区別はなく、そのことからも「誰が使うか」ではなく「何をするか」にフォーカスされていることがわかります。

出入口のサイン。鍵と連動して表示が切り替わる。
使用中を知らせるランプ。細かなディテールへのこだわりがすごい。

通路と個室にはテーマに合わせた音楽が流れており、サウンドマスキング効果でとても静かな空間になっていました。

中でも「リラックス」ブースは、岩盤浴を彷彿させるような灯りといい香りに包まれ、トイレから出たくなくなるほど心地の良い空間でした。家のトイレもこうだったらいいなぁ……。


PYNTの利用方法

「PYNT(ピント)」はゲストと日建設計社員が共創や新しいアイデアを考えるために活用できる施設です。

日建設計の社員の方からの紹介があれば、ゲストとしての一時利用や共創パートナー“PYNT MEMBERS”への登録が可能となっています。来場については日建設計社員の方にご相談ください。

まとめ

全体を通して、社内外のコミュニティを誘発するような仕組みがあちこちに練り込まれていて、とても可能性に溢れる空間だと感じました。建物や内装の細かなこだわりや、自社設計だからこそできる実験的かつ攻めたデザインにはとても刺激を受けました。

フロアの案内をしてくださったPYNTのスタッフさんも、一つ一つ丁寧に説明してくださってとても有意義な時間でした。

今回のPYNT見学は、最近入社したメンバーが紹介してくれて実現しました。ありがとう!

企画してくれたメンバーのヤベさん。

「PYNT(ピント)」
住所:〒102-8117 東京都千代田区飯田橋2-18-3
日建設計東京オフィス(本店)3F
TEL: 03-5226-303
開館時間:9:00~17:00
休館日:土、日、祝、および日建設計休日

追記

PYNTについて、代表がPodcastでも振り返っております。
こちらもあわせてぜひお聞きください📻


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