サラダバス
『次は公園前入口〜』
「私が押すね!」
5歳のリオちゃんが停車ボタンを押した。
公園前入口にはスーパーがある。
幼稚園が早く終わる水曜日は、
毎週リオちゃんと一緒にスーパーへ買い物に行くのである。
張り切るリオちゃん、
毎週水曜日はサラダを作るお手伝いの日である。
そのお手伝いに慣れ始めた初夏。
リオちゃんは張り切っている
今日は水曜日。
今日のバスは少し混んでいる。
『次は病院前〜』
「バスの中は涼しいねぇ…!」
綺麗な白髪のおばあちゃんがバスに乗ってきた。
リオちゃんが突然
「おばあちゃん!どうぞ座ってください!」
「お嬢ちゃんいいのよ…!」
「大丈夫!
リオはママのお仕事できる大人だから!」
「ママのお仕事?」
「水曜はリオがサラダ作ってるの!
毎日ママがおうちでお料理のお仕事してるけど、
今日はお休みなの!」
「ママのお仕事手伝ってるの?偉いねぇ」
「サラダの野菜買うから
水曜はバスでスーパーに行くんだよ!」
「お手伝いもして、
バスで席も譲れてお姉さんねぇ」
「ママのお仕事出来るからねっ大人だよ!」
リオちゃんの隣にいた私の目は熱くなって、
今にも涙が溢れそうになった。
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