体幹・発達・地政学
スポーツの指導者と話していると「体幹」をよく耳にする。
「体幹」は使う人によって意味が変わるし、同じ人でも時々によって意味が変わる。
どうやら「体幹」には、正確な意味などなくて
「こう言っておけば何となく科学的トレーニングっぽい」
魔法の単語として使われているのだろう。
本来は、姿勢保持またはその筋肉とかそういうのだろうが、ちゃんと修めた人は怒るかもしれないが実態としては「トレーニング理論を持たない脳筋指導者が科学的根拠ありげに見せる単語」である。
「地政学」も、トンデモ本に箔を付ける単語だとWikipediaに明記されている。元々は地理的要素を重視した政治学だったらしいが、ナチスが多用し、キッシンジャーが使い、ポストモダンでリバイバルしたので、もっぱら愛国ポルノ本における侵略肯定用の偽科学として親しまれるようになったらしい。
ナチス遺物で、日本特有の定着をみせた物といえば「遺伝」もある。科学的根拠のない遺伝が、ネット記事の集客に多用されている。
安倍氏の長期政権下で世襲への恥の意識が薄れ「家柄」が大手を振って復権。これを正当化するのに「遺伝」という医学っぽい用語が乱用されだしたようだ。
「発達障害」「愛着障害」「オキシトシン」あたりも、ヤバいことになっている。
「発達障害」は本質的に、他人の性格に対して精神障害または知的障害だと断じることを可能にし、診断基準もぶっちゃけ無い。そこで諸々の派生型を可能にし、さまざまな「○○障害」創作を可能にしている。
特に教育現場では、校内暴力やいじめの被害者に対し、親子まとめて「発達障害」と学校が診断することが横行。本人には告知されず地域や行政で共有されるという恐怖政治になっている。村八分が医学に昇格したようだ。
僕のいた新聞では、かつて編集局長が、流行っていた無代誌「R25」に学べ!と言った。
すると馬鹿たちが手に手にR25を携えて出勤し、最寄りの巨大駅でR25が払底する騒ぎに。
R25を持って出勤すると、その辺に置き忘れるもんだから、職場がR25だらけ。
で、意味もなく紙面を批判するときや、忖度を求めるとき「うーん、これはR25的じゃないなぁ」という冗談が流行った。最もよくギャグにしていたのはNデスクだ。
俺が残業してたら酔っ払って殴りかかってきたNデスク。無事に退職金が出てマンションのローンに充当できたのは、俺が訴えなかったからだと感謝しなさいw
「これはR25的じゃないなぁ(棒)」の冗談をよく口にしていた。好きな上司だった。
「R25に習え」から数年経って、新聞を下駄箱状にして自動で記事を流し、あふれたら切る、レイアウト要員も切る、ことになった。本当にR25的だw
ビジネスや健康食品やITだと、意味をボカシて科学的根拠っぽく使われている単語は、もっと多いだろう。
きのう大阪外大の同窓生と話していたのだが。
「カタカナ語を出されると我々外大出はスペルや元の意味を考える。普通の堅気の人は、そのままカタカナ語として受け取る。だからコンサルとかに騙されるんじゃないか?」
大阪外大出が、どこの会社でも出世しないのは、偽科学に乗れないのが原因だろう。