その筋の権威「べてる」
「北海道の施設が、精神障害の妄想大賞をやっている」
「そりゃ面白いな」
あるがまま病人を受け入れる考え方が称賛されて………僕が「べてる」の記事を初めて読んだの30年ほど前だ。
この30年、精神障害を取り巻く環境は、何も好転していない、むしろ悪化の一途だ。
20年前には「多剤多量投与から減薬へ」という話があったが、新薬SSRIのキャンペーンだった。
10年前には「長期入院者の地域移行」という話があったが、医療から切られるだけ。在宅してたら「なぜ入院じゃない」とサツが押しかけてきて身柄とられた。
「家族による社会的入院の解消」もあったが、家族の法的権限が削減され、行政による強制入院が拡充………というか強制入院の費用が患者負担になっただけw、というか。
精神科は、血液検査やレントゲンで病名が付く世界ではない。他科と決定的に異なる。
要は、社会なり家族なりが「こいつの人権を剥奪してください」と申告すれば、弁護なしに判決が下る。
いくら制度をイジっても、性被害や校内暴力や家族間トラブルによって病名をつけられる冤罪被害者は後を絶たない。いや、新しい病名で、冤罪組がガチ組より増えてきたわな。
合法的に、気に入らない奴を人権停止できる。今後ますます精神医療の需要が増えるだろう。
文科省は「発達障害」認定を1学級2人から3人に引き上げた。
いま得意気に認定している中流の皆さんも「偏差値50以下は発達障害」が来たら、自分が認定される番だ。
いや、高校落ちて看護師とか、バブル時代に地方公務員とか、こういった人たちに判定されるので「偏差値70以上は発達障害」が先に来るかもしれないwww
「他人の人権を停止できる」これが精神疾患の本質である以上、今の世相や教育では、病名付け合戦は加速していく。
人権を停止するために精神疾患があるのだから、患者への人権侵害が止まるわけはない。
「精神障害者の人格を尊重するモデル例」として、浦河べてるは、この30年ほど不動の地位にあった。
ジャーナリストでも学者でも福祉職でも「べてる」のエピソードを書いておけば、進歩的であり患者にも平等、という仮面が手に入った。
ネトウヨの「朝日がぁ」、リベサヨの「ジェンダー」、カメラマンのベスト、中華料理の胡麻油………これさえあればとりあえず格好が付く便利な存在。精神保健福祉では「べてる」だったわけだ。
「北海道物産展の生キャラメル」ポジション。こう書けば一番わかりやすいかな?w
僕が精神保健福祉に関わって30年。患者人権は悪化する一方で、「べてる」の事例は唯一無二、相変わらず印籠として通用している。そして系列施設で職員が利用者少女に良からぬことしたとの訴えを目にした。
「進歩的な施設」はいつから変容したのか?もともとそういうものだったのか?
患者の人権剥奪のために精神疾患が存在している現状を見れば、「べてる」が謳ってきたことも、良くて言葉遊び、悪くて改革の搾取だったんだろう。
役所・有識者・弁護士が認めてる人権や運動ってのは、役所にとって安全な、当事者を搾取し抑圧し続けるものなんだろう。