「消防署の方から来ました」資格

精神保健福祉士(PSW)という資格がある。
病院では「役所の制度をプリントアウトして渡す人」だ。
診療所では「問診という名目で医者ごっこやっちゃう人」。
保健所では「おまえは馬鹿だと患者に説教する老看護婦」。
ネットでは「カウンセラー」「心理学の専門家」だと自称。
市教委では「いじめの被害者に発達障害だと烙印を押す人」。
作業所では「私は精神保健福祉士だ」と言うが実は無資格。

精神保健福祉士、けっきょく何する人かよく分からないが、患者にとっては、あまり、ありがたい存在ではない。廊下で見かけたら急いで便所に隠れる存在だ。

厚労省のサイトには次のようにある。

>精神保健福祉士は、精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)に基づく名称独占の資格であり、精神保健福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいいます。

厚労省の説明を読む限り、精神保健福祉士の業務は、病院でやってる「役所の制度をプリントアウトして渡す」が、最も正解に近い。

だが、既に家族が検索で調べ、市役所や保健所に問い合わせたら、水際作戦で職員に罵倒されて、それで調子を崩して入院した後で「市にこういう制度がありますから」と言われてもなぁ。

「すいません、それ、もう断られました」
「御主人は患者さんに寄り添っていませんねぇ」

「行政は常に正しく、悪いのは患者と家族」
精神保健福祉士とは、ヤフコメ民を国家資格にしたようなもんかwww

で、問題があるのは「精神保健福祉士の治療や診断」。
社会福祉士資格からステップアップするルートもあるように、基本的にソーシャルワーカーだ。本来は精神患者の社会復帰に制度等のアドバイスを行うのが仕事。
だが、資格に「精神」って付いてるもんで、お医者さんごっこをしたがる。
もちろん「知識<行為」な状態なので、相手を見下して説教するばかりだが。

精神保健福祉士の業務「社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行う」を拡大解釈するんだな。
厚労省のサイトには「カウンセリング」について次のようにある。
>「カウンセリング」の元々の意味は「相談」、「助言」のことですが、こころの診療においては、医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行う治療を意味しています。

つまり「カウンセリングは元々相談だが、精神分野では治療を意味する」この2面性をコジツケると………市役所の窓口の実情も知らず、患者に治療という説教をしたがる精神保健福祉士が出来上がる。

プリントアウトだけの病院PSWや、医者のフリして診察しカルテのサインだけ院長がやってる診療所のPSWは、まだ医師の監督下だから可愛いものだ。医者が見てない時のコメディカルはタチ悪い。

教育委員会のPSWだと、勤務先に求められるまま、診断めいたことを口走る。精神医療の知識のない保護者はコロッと騙される。
校内暴力の被害者に「寄り添う」と称して、いじめによる心身症状を聞き出し、「発達障害」と診断して、学校を免罪する。
時代劇の悪党の用心棒浪人「先生!お願いします」みたいな資格ですな。

保健所の説教おばさんとか、作業所のエロ職員とか、精神保健福祉士を名乗っているが、移行期に取得したか、下手すると実は資格を持っておらず、患者や家族相手ならバレないだろうとホラ吹いている者もいる。


文学的な精神科医への憧れ「人の心が読める」といった誤解。
精神科医たちが、これを是正してこなかった歴史がある。
精神科医が大脳生理学や薬学になったのは、ごく近年。かつては分析医と言っていた、哲学あたりに近い。
実家と地頭を生かして文学方面で活動する精神科医もコンスタントに存在してきた。いま、テレビやネットで安易なコメンテーター需要があるのもその名残だ。「精神科医という肩書きがあれば、未解明事件に憶測を述べても良い」というコンセンサスがある。

「精神科医=人の心が読める」この誤解を解かなかったおかげで、医師よりも知識が限定的な周辺資格が、「こころの専門家」として暴走している。
「消防署の方から来ました」と消火器を高額で売る詐欺師と大差ない状態。

医学的知識に縛られている精神科医よりも、背伸びして医療者になりたい周辺資格者のほうが、より自由に、でたらめな、望み通りのことを言ってくれるので重宝するんだろなぁ、教育委員会とかネットとか。

「新聞記者よりも、印刷出身のwebライターの方が、読まれるネット記事を書ける」のと同じ理屈だ。モラルさえ外せば、サッカーで手を使ってるぐらい強いw

・世間の「心理学」への誤解と憧れ
・本人の背伸び
・定義がアヤフヤなので都合よく使う雇い主
・どうせ相手はキチガイだし、という患者の人権のなさ全般

こういうのが合わさって、精神保健福祉士がカオスになっている。
大学院まで出て「プリントアウト職人」をやらんでも、とは思うが、治療や診断に手を出すのは違法だ。そこは皆さんも知っておいた方が良い。

社会復帰への制度や具体例を質問したら、私の仕事じゃないとキレるPSWも多いだろうが、それが本来業務だからね。あれは医師やカウンセラーじゃない。



追記
意外に福祉職からも反応あって、真面目な人もいるんだなぁ、と喜んでいます。

精神保健福祉士が、本来の業務よりも「こころの専門家」をヤリたがる傾向を非難した雑文ですが。
つまらなく思われている「精神患者の社会復帰支援」って、やってみると奥が深いんだ。

たとえばよ、あるグループホームは、近隣が水商売で、夜中まで騒々しくて環境が悪い。
運営者が見直しを口にした時、俺は止めたよ。
「精神患者が町の中に住んでたら、近隣住民が家を覗いて詮索して噂ながして通報して転居を求める、これが患者には凄く負担なんだ。患者が監視されてると訴えるのはビョーキじゃなく実際に監視されてるだけ。その点ココは良いぞぉ。水商売さんは自分ん所も迷惑施設だから、精神に全然文句を言わない、患者は気楽に暮らせるんだ」
まぁ、弱者地区を生むので、こういう考え方が必ずしも良いとも言えないが。
今の日本で「世の中はお互いさま」という発想をしてくれる場所は希少だわなw
「病人に自然豊かな環境」との口実で隔離、市街から隔絶された山中や産廃埋立地で、地主の爺婆にイジメられながら暮らすより、ガチャガチャした町中のボロ家のほうが、そりゃぁ精神衛生には良いだろw

俺だってヤサを探す時は、鉄道が高架で、近所に高層が無い所とか、公共施設が徒歩圏内かとか、いろいろ検討したわ。

精神に娑婆暮らしをさせるって、簡単に言えば「自分が社会の敵になる」危険もある。それだけに様々な知恵や知識が要る。
もし上手く行けば、死人を蘇生させるぐらい気持ち良い、高難度のゲームだ………でも精神保健福祉士は公的制度のプリントアウトを渡すだけで、あとは、自分が「こころの専門家」であるとアピールするばかり。
「こころの専門家」より、行政や地域と渡り合って患者を擁護するほうが、難度が高くて楽しいんだけどなぁ……………。

治療ごっこしたがるPSWには「なぜ精神科医にならなかったの?なったらいいじゃん」と言っておこう。ヤフコメ民みたいな反撃法で恐縮だがw











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