♪アホの読売伝説
坂田利夫師の訃報。
メキシカンハットダンスを下敷きにした名曲が、昭和時代に大ヒットしたんだが。
かつて、大阪読売の社長が坂田氏。
周囲の制止も聞かず、社内で、大声でこの歌を歌い続けて退職に至った記者がいた、との伝説をバイト時代に何度も聞いた。
僕も同業他社に就職後、ボーヤアガリの整理さんは出世と無縁なので、様々な悪戯に精を出した。
だが「アホの坂田を歌い続けて退職」の偉業には到底、及ばなかった。
大刷機でブランケット版の退職願つくって部長に叩きつけたとか。社長が「若い頃は変則組の鬼と呼ばれていた」と豪語しやがったので、その日1頁の全記事をマルに組んで降ろしたったとか。送稿ベルコンに菓子を流して回転寿司のように若手に振る舞ったとか。日本一大輪の花の写真がヘボかったので、紙面に原寸で矢印のせて「これぐらい」とか。記事の見出しを雀牌にするとかが関の山だった。
政治的な悪戯とか、汚い手で上司に恥かかせたとか、もうちょいあるが皆まで書けんな。
己のクビを賭けてでも口ずさみたくなる名曲が「♪アホッ!アホッ!アホのさーかた」だったわけだ。気持ちは分かる。
「坂田という子供がイジメられるので早期に放送されなく」云々の裏に、こんなドラマがあったんやな。
己を下げる謙譲語のような関西の笑いが、また消えていくのかぁ………。
米の嘉門と言われる、ウイヤード・アル・ヤンコビック氏の歌に「Dare to be stupid」というのがある。今どき、自分を偉く見せてばっかりやん。坂田師や大阪読売の勇者に倣って、もっと馬鹿をやろうよ。