【日記】すごくうれしい
花をもらった。
この三月で定年退職するのだけれど、これまで同じチームで仕事してきたとあるプロジェクトの人々からサプライズで花束をいただいた。仕事はこのプロジェクトだけではないから、ほんのひととき、断続的に関わったものだ。
すごく嬉しい。
語彙が乏しくてどうやったらこの喜びや感動が伝わるかわからない。
数名と最後の打合せをして引き継ぎの詳細を確認し、では、といってその場を去ろうとしたときだった。打合せには参加していなかったメンバーの女性がニコニコ近づいてきて、大きな包みをさしだしてくれた。
気がつくと、他の仕事をしていた人も一時的に駆けつけ、そのプロジェクトのメンバー全員がその場に集合していた。後ろを向いていたので彼らが入ってきたことに気づかなかったのだ。そして、「感激しています、ありがとうございます」と短いお礼を述べると、全員が立って拍手をしてくれた。拍手に送られて花を抱いて部屋を出た。
特に何かセレモニーがあったわけではない。そんなことしなくても全く何の問題もなかったのに、サプライズで花束が用意されていた。チーム全員が持ち場を離れてまで来てくれてみんなで拍手してくれた。めっちゃ嬉しい。嫌われていなかったんだ、むしろ好ましく思われていたんだ仲間として、って思って。
このチームには、わたしは、よそ者のちょっと上の立場として入り込んだ。上下関係で言ったらわたしは上司にあたり他の皆さんは部下だ。もちろん仕事は一所懸命やったし、彼らを困らせようとしたことはない。けれど迷惑をかけたこともあった。それから「上の立場として突然入り込む」ということが仕事チームにとって喜ばしいことか否か、実際に「上の立場」にいると知ることは少ない。どの人も礼儀をわきまえていて丁寧に接してくださるから、煙たがられていてもわかりづらいのだ。
極力、部下となった人たちの自主的な動きを封じないよう(意識しなくても不用意な一言で結果的に困らせることがあるから)自重してきたつもりではあった。でも立場が違うと見えるものも違う。どこかで彼らの足を引っ張っていなかったか、いつも気になっていた。それが、満面の笑みと共に渡された花束と拍手で霧散した。
勤務先が退職者や異動者のための花束代を出してくれるわけはなく、あれはすべてメンバーの自主的なものである。そのことがわかるから余計に。
一緒に仕事をして一緒に歩んできた仲間だと思ってくれたんだ。
気持ちが何よりも嬉しくて、お花の香りを吸い込んでいつまでもニコニコしていた。
ありがとうございます。
わたしはこれから新しい生活に入ります。
異動される方もあるでしょう。皆さんもまたそれぞれの場所でがんばってください。
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