見出し画像

入院日記の逆襲 10(終)

(9から続いてます)

ツインのシングルユースかと思っていたら喘息?のお隣さんが入られ、腹が空いてたのもあってほとんど眠れない一夜を過ごしました。

明け方の採血ではまたも一度失敗されました。あれ~頼りになりそうな感じの看護師さんだったんだけどな。ううむ、私の血管は本当にわかりにくく難しいのだな。でもどうしたって針ささなきゃならないから、やる方も大変よねえと人ごとのように両腕にできた青タンを眺めていたら朝食の時間がやってきました。 

夜中にバッグをあさって底に一個残っていたキャラメルを食べたくらいですから、とてもおなかがすいています。このとき、昨夜の夕食と同じだったらどうしよう、という不安がむくむくとわいてきました。

こういう時、どうしますか?

わたしは最悪を予期して、それよりは少し良いことが起こった時に喜びたいタイプです。そして大きく落胆しないように 

(手が使えないからパンって決まってるんだきっと) 

と唱えてあらかじめ心の準備をしました。けなげ(笑)。パンと、せいぜいジュース程度の朝食をありがたくいただこうとしていましたら、

画像1

朝ごはん。

わあ、普通の朝食です! ごはんだ! 味噌汁におひたしだ!

これよ、これが食べたかったのよ。パンは大好きで家では朝はパンなのですが、昨日からのパン構成にちょっとしょんぼりしていたのです。やったーやったー! 

もちろん即完食でした。今日は家に帰れるしな。まあ動いていないからそれほどおなかがすくって訳でもないしね。しあわせだよ。ごはんってしあわせだね。うれしいね。ご飯が食べられるってことは本当に幸せだね。 

食べ物がある、ということと、それが食べられるだけの身体がある、ということと。 

その後はバタバタと退院手続きがなされ、着替えたら時間前なのに病室を出ることになり(次の人が待っていたらしい)、慌ててやってきたダンナに車に乗せてもらって帰宅しました。さすがにその日は一日休んで、家でごろごろしておりました。 

それにしても、仲良くしている勤務先の産業医に冠動脈の写真を見せたら、 

  「けっこう大変なところが詰まってたんですねえ」 

と言われ、改めて危なかったのだということを実感しました。血管がくびれてしまっていた場所は冠動脈前下行枝と言い、心臓から全身に血液を送り込む原点の部分なのだそうです。今回の治療で血のめぐりや冷え性、少しは改善されないかしら?  

何度も言うけれど、心臓周辺がおかしいなどとは露ほども思っていませんでした。アドバイスしてくれた友人医師に感謝です。最近は医療事故が取りざたされることもあり、懸念される兆候があっても医師が患者に強く「こうしなさい」「この精密検査をぜひ」などとは言いづらいこと、友人自身の身近で間一髪で狭心症が見つかって助かった方や、「忙しくて」と検査を伸ばし伸ばしにしていた結果、残念ながら命を落とされた方がいることも聞きました。友人でなければこれほど「しつこく」勧めなかったとのこと、本当にありがとう。真剣にしつこかった。どうしたの貴女、と思ったくらい。それが病院へと足を向かわせました。

そしてこの拙文を読んでくださった皆様も、もしも少し変だったりお医者さんに検査や治療を勧められたときは、忙しいと思わずに素直に受けましょうね。私たち、まだまだ世の中でやることがありますよ! 

正直なところ懸案だった胃腸の方は変化があまり感じられませんでした。この後も延々と続くのでやっぱり消化器系の不調なんですかね。具合が悪くなるのでアルコールもコーヒーもラーメンもカレーも控え気味です。どうも知らず知らずのうちに身体が緊張してしまう性質で、メンタルに出ないで身体だけボロボロと悪くなるタイプのようなので、意識して力を抜いたりリラックスするよう心がけようと思っています。

幸いというか何というか、このあと、4年続いた責任ある立場が任期末となり退任できることになりました。元のヒラに戻って本当にホッとしました(左遷ではないよっ!)。そのうち次の大変な仕事が来るかもしれませんが、それまでは少し身体を休めて体力増強に努めたいと思います。

(完)

【追記 2020.2】

この文章を書いてから既に何年か経ちました。胃は相変わらず低空飛行です。そして今また「大変なお仕事」が降ってきているのですが、身体に気をつけつつ、定年退職まであと少しがんばって働こうと思っておりまする。


【追追記 2020.8】

大事な血管の名前が違っていたらしいので直しました。ともこさんありがとう!

いいなと思ったら応援しよう!