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入院日記の逆襲 9
(8から続いています)
一泊二日入院の夜は更けゆく。
でも左手首が痛い。 なかなか痛い。すごく痛い。
どんどん痛くなります。さっき鎮痛剤のんだのになあ。 夜勤の看護師さんがやってきて挨拶されました。ジャニーズ兄さんから交代し、今度は若いけれどとても頼りになりそうな雰囲気の女性です。「まだ痛いんです」と訴えるも、記録をチェックして「うーん、3時間前に飲んだばかりなのでねえ、今はあげられないんですよね鎮痛剤」と断られてしまいました。
ひーー 痛いよ~痛いよ~
Facebookに痛いよ~と書き込みます。しょうもない泣き言にお返事を下さったお友だちありがとう。励まされました。痛みがそれで減るわけではないけれど、リアルタイムで自分の存在を知ってくれる人がこの空の下のどこかにいる……ということが、どれほど心の支えになることか。
それから2時間ほどしてやっと手首のバンドをはずしてもらえる時間がやってきました。正直、これは傷も相当痛いのだろう、バンドのせいだけじゃないよねと思っていたのですが、外してもらったらアラ不思議、痛みがあっという間に遠のいたのです。
そんなに締め上げていたのか!
バンドは、透明なので最初はわかりませんでしたが、軟らかいプラスチックのバンドそのものだけでなく、その中に空気を入れて更に締め上げるような仕組みになっていました。そこまでしないと止血できないのですね。血栓防止のための血液サラサラ薬も術前から飲んでるし。
実は夕方、乾燥していたのか唇の皮がほんのちょっとだけむけちゃったのです。といっても全然痛くない程度で何の問題もないはずだったのですが、その血がいつまでも止まらないんですよ。 その時初めて、 あ、血液サラサラの威力すごい! と思いました。30分近く出血してましたかねえ。最終的には止まったのですが、ものすごい薬を飲んでいることが実感されました。そうしないと血管の中に血栓ができて詰まってしまうんですね。だからこんなに辛いほど痛く締め上げないとならないのだ。ああ物事にはみんな道理がある、なんて考えたのでした。
時間は少しさかのぼりますが、横目でスマホを見ながら痛みに耐えていた頃、隣がガヤガヤにぎやかになりました。わあ、お隣に入院される方がいます。夜なのに。
……ということは、急患さんですね?
なにせカーテン一枚しか隔てていないので残念ながら声が丸聞こえです。どうもある程度お年を召した女性のようで、ご家族は近くには住んでいるけど同居ではなく、心臓がというより呼吸器、ってか、喘息?
そうか、ここ、救急病院だものな。
心臓関係の患者さんばかりではないのだわ。 入院されてひとまず落ち着いたようではありましたが、夜中も時折咳き込むことがあり苦しそうでした。お気の毒に。そしてこのあと、夜中にお隣の咳で目が覚めちゃって眠れない私もちょっとお気の毒ではありました。病院はね~どうしても仕方ないよね。一泊二日だからがまんがまん。
(続く)