私の育ったところ

私は四方八方を田畑や山に囲まれた
本当の田舎で育った。
最寄りの駅からは車で10分ぐらい。
小学校へは徒歩40分ぐらい。
その小学校もいまや廃校になってしまい
選挙のときに投票所として
使われているぐらいだ。

そんな田舎では知らない人も
実は知り合いだったり
ちょっと話せば共通の知り合いや
職場なんかがすぐに分かってしまう
なんてことがよくある。

小学4年生ぐらいの頃に
自転車で1時間ぐらいの友達の家に
行って近所の神社の境内で遊んでいたら
あるおじさんが
『あんた、○○さんとこの子じゃろ』
と言ってきた。
まったく知らないおじさんだし
歯は抜けているし
ニヤニヤしているように見えて
少し警戒しつつ、多分
『はい…』
と答えたと思う。

後日分かったことだが
実は、そのおじさんは父親と
小学校、中学校が同じ大親友だった。

私は父親にソックリだそうで
『顔を見た瞬間に分かったんよ』と
後日、当のおじさんが
うちの居間でコーヒーを飲みながら
笑っていた。

警戒しそっけない態度を取ってしまって
大いに反省した。
あまり、垣根のない人間関係が
煩わしくもあり、ときには助けられる。
田舎ならではの良いような悪いような
コミュニティを懐かしく思う。

今、ご近所さんと言っても
挨拶を交わすぐらいで
何をしているのか、どんな人なのか
一切知らない人たちの中で
それなりに居心地よく暮らしているが
今後、もっと年をとってから
田舎暮らしもアリかなと思っている。