大量検査と陽性判明率4.5%/通期実質GDP-6.3%、3つの経済シナリオ #50 2020.04.30
ハイライト:
・大量検査と陽性判明率4.5%
・通期の実質GDP-6.3%、3つの経済シナリオ
4月30日(木)は以下を記録します。
1. ドイツ国内の現状の数字
■ロベルトコッホインスティテュート(以降 RKI)の報告
陽性判明者数 159,119名(+1,478)
死者数 6,288名(+173)
回復者数 123,500名(+3,100)
4月30日午前に取得されたデータです。
なお昨日の日次レポートによると、
R=0.75(変動範囲 0.64-0.87)
前日より0.15ポイント減少
再生産数は1未満を維持しないと、それ以上は倍になることを意味しています。
緩和の影響と、マスク着用の義務化がどう関わっていくか見ていきたいと思います。
参照元:
https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Situationsberichte/2020-04-28-de.pdf?__blob=publicationFile
■Coronavirus Monitor
陽性判明数 161,539名(+1,627)
死者数 6,467名(+153)
回復者数 123,500名(+ 3,100)
新規陽性判明数は増減なしということで、倍加時間は68日となっています。
また回復者数の割合は76%のところまで来ています。
4月30日 10時に取得されたデータです。
■他の数字も見てみよう(検査件数と陽性判明率)
定期になってきました、検査件数と陽性判明率週次報告を見てみたいと思います。
検査開始から2020年第17週(4月20日の週)までの間に、2,547,052件の検査結果が記録されており、そのうち181,536件(7.1%)が陽性反応を示しました。
直近の1週間では47万件(1日あたり67,000件)を実施しており、陽性判明率は5.4%となっています。前の週の陽性判明率が6.7%だったことを思うと、検査に対して陽性判明を示す割合が先週と比べ-1.3%低くなりました。
陽性判明率の減少は2020年第13週(3月23日の週)の9.0%から今日に至るまで4週連続減少し続けています。
検査数を増加し維持をしながらも、さらに陽性判明率が下がってきているので、感染者自体の減少が考えられますね。
※なおこちらの検査は、ドイツ全土の大学病院、研究機関、臨床検査機関、外来検査機関のデータをRKIが毎週集計しています。
参照元:https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Situationsberichte/2020-04-29-de.pdf?__blob=publicationFile
2.ドイツとベルリンのできごと
■ドイツ
前回実質GDPに関して、ドイツの5大研究所から、2020年通期で-4.2%成長と発表されたことをお伝えしましたが、ドイツ政府のアルトマイヤー経済相からは-6.3%成長の予測であると伝えられました。
輸出と消費の落ち込みが主な原因で、リーマンショックの影響を強く受けた2009年の-5.6%を超える戦後最悪の落ち込みとなっています。
ちなみに1ヶ月前にドイツのマクロ経済開発専門家会議の特別報告書にて示された今後の経済成長に関しての3つのシナリオがあるので、それを見てみたいと思います。
3月下旬なので、まだ陽性判明率も平均9%と高く、感染者増加数の均衡化も見えていないタイミングでの報告書になるかと思います。
シナリオ 1(青いライン)
夏の間は景気が正常に戻ると予想されます。GDPの成長率は2020年通期で-2.8%となり、ラインはV字型になるだろう。専門家によると、当時このシナリオは最も可能性が高いと考えられています。
シナリオ 2(オレンジ)
はるかに顕著な V の形式になります。2020年通期のGDPの減少率は-5.4%と予測されていました。このシナリオは、現在の規制緩和がより長く継続されたケースとして考えられていたようですす。
シナリオ3(黒)
夏を超えてもなお規制が継続される場合のシナリオということで、U字型として考えられています。政策措置は十分ではなく、結果、ドイツの経済構造に大きな悪影響を及ぼし、多くの倒産が避けられないと考えられています。
シナリオ 1 と 2 では、経済は比較的急速に回復しており、2021 年には2019年を超える形の成長が予測されていますが、シナリオ3では、来年の成長率は、2019年を下回る形で予測されています。
現時点でのアルトマイヤー経済相の予想を鑑みても、現時点ではシナリオ2と3が可能性として考えられそうです。
参照元:
https://de.statista.com/infografik/21280/prognosen-zur-entwicklung-des-bip-in-deutschland/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58628740Q0A430C2000000/
4月のドイツの失業率ですが、連邦雇用庁によると先月と比較して308,000人増加し267万人となっているそうです。
それにより5.4%となり現時点で昨年度の5%より0.4%多い形になっています。
参照元:
https://www.morgenpost.de/vermischtes/article229010435/Coronavirus-News-Kontaktsperre-Reproduktionsrate-Deutschland-Reisewarnung-RKI-Fallzahlen-Corona.html
https://de.statista.com/statistik/daten/studie/1224/umfrage/arbeitslosenquote-in-deutschland-seit-1995/
■ベルリン
テーゲル空港が6月1日から一時的に閉鎖されることが決まったそうです。
ベルリンには二つの空港があるのですが、現在運行量は通常の1%までに下がっており、1日あたり100万ユーロ(日本円にして1億2000万円)の赤が発生しているそうです。
参照元:https://www.morgenpost.de/berlin/article229010821/Corona-Krise-Flughafen-Tegel-schliesst-am-1-Juni.html
3.補足情報
ドイツの主要研究機関(der Max-Planck-Gesellschaft, der Fraunhofer-Gesellschaft, der Helmholtz-Gemeinschaft, der Leibniz-Gemeinschaft)では、集団免疫の達成には数年かかるとして、以前Leopoldina(レオポルディナ)の論文でも触れられていたように、クラスター追跡が効率的に仕組み化できようになるまでは新規感染者数を抑える必要があり、長期戦になるということを報告されているようです。
1ヶ月前は元の暮らしに戻れる期待というのがまだあったかとおもいますが、個人的にはすぐには完全に戻れないだろうなあと考えています。
長期戦になることを見据えて、一度ゼロから「どう生きるか」を見直して行こうと思っています。
参照元:
https://www.morgenpost.de/vermischtes/article229010435/Coronavirus-News-Kontaktsperre-Reproduktionsrate-Deutschland-Reisewarnung-RKI-Fallzahlen-Corona.html
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