治る側弯と治らない側弯がある
前回の記事で、側弯症の治療において、軽度と中等度のあいだには暗くて深い河があると思ったのですが、そこに「治る」と断言する民間療法がヌルリスルリと入りこんでくることについて考えました。
治る側弯と治らない側弯がある
側弯症には、治る可能性のある側弯(機能性側弯)と、現代医療ではまだ治すことのできない側弯(構築性側弯)があります。
機能性側弯
一時的な側弯状態のこと。
別の持病(腰椎椎間板ヘルニアの痛みなど)によって引き起こされたり、
運動習慣・姿勢などが原因だったり、
左右の足の長さの違いなどで起こることがある。
原因を取り除くことで戻ることが多い。
成長とともに自然に治ることもある。
構築性側弯
脊柱のねじれ(回旋)を伴った側弯。
骨の変形があるので簡単にまっすぐに戻らなくなった状態。
特別な原因もなく発症するもの、生まれつき脊柱が曲がっているもの、神経や筋肉の病気が原因で発症するものなどがある。
構築性側弯症のうち 原因不明のものが特発性側弯症。
参考: 日本側彎症学会HP
視力を回復するセンター
私はかなり目が悪いので、近視に当てはめてみることにしました。
昭和の時代、視力を回復するセンター的なものが流行りました(なんと今も普通にあった😳ビックリ)。
雑居ビルの一室から、お高い立地の高級感あるところまで全国にたくさんありました。
大学教授の推薦コメントとか、世界では当たり前の治療法だとか、「私も治りました!」という体験談が華々しく宣伝されていました。
「知り合いも治ったと言っていた」
「親戚から、お前の子はメガネをかけているが治療を受けさせないのかと責められた」
そんな、行かないのはおかしいというような風潮だったのでしょう。
私も親に連れて行かれたことがありました。
結果は全く効果がなかったし、いま考えればバカバカしい内容だったし、むしろ目に悪影響だったと思います。
ではなぜ、悪気なく、真っ当な人にも、信用できる人でも、「アレで治った」という人が今でもいるのか。
わかりやすい説明を見つけました↓
視力回復法、視力回復センターの問題(さくら眼科クリニックHPより)
治る近視だけを治療している
要約すると、
『近視には2つのタイプがある。
①軸性近視(本当の近視)⇒治らない近視
②屈折性近視(仮性近視、他)⇒治る近視
視力回復センターや視力回復法で治った!!といっているのは全て屈折性近視の患者。
視力回復法や視力回復センターの経営者たちは屈折性近視と軸性近視の区別なく治療している。
彼らは軸性近視が治らないことを知っていて、軸性近視か屈折性近視かは眼科で調べないと患者にはわからないのを良いことに、わざと一緒くたにして区別なく治療する。
結果、もともと屈折性近視の治った人だけを宣伝に使い患者を集める。
軸性近視の治らない患者は放置。』
ということです。
「私は治った!」という純粋な経験談は、今の時代だとインスタなどのSNSと親和性が高そうですね。
それ、治るタイプの側弯だけ治ったんじゃ?
側弯症に話を戻します。
民間治療で治った人は、もちろん良かったと思います!
でも、他の人にも「治る」とすすめるのは、ちょっと待ってほしいんです。
症状は人によって違うから。
一時的な軽度の側弯ではなく、体の内部で 骨がねじれて成長しちゃう原因不明の特発性側弯症だった場合、手技やポーズやなんやらで本当に「治る」のか。
悪気はなくても、民間療法をすすめることで、進行が早い子どもの治療の機会を奪ってしまうことになるかもしれません。
まずは専門の病院に
まずは専門の病院に行く、信頼できるドクターを探す、どのタイプの側弯症なのか知る、その上で治療法を選ぶ、ということが大切だと思います。
手術を避けられなくても
特発性側弯症で、結果は同じ「手術」になるとしても、
『コルセットはイヤだからと決心して受ける手術』と、
『選択の機会を奪われて受ける手術』では、
手術に対する気持ちが違うんじゃないかなと思います。
※もちろん、手術をすすめられても手術は受けないという選択肢もあります。
親心につけこむな
民間療法を受ける患者さんが悪いということではありません。
出来ることをやりたいと思うのは当然だと思います。
そこにつけこんで、治すことができないとわかっている患者を相手に「治る」と言うビジネスが、、、本当にクズでタチが悪いと思います。
親がどんな気持ちで治療法を探しているか。
ガンと違って命に関わらなきゃいいと思ってるなら、カネと一緒に地獄に落ちればいいのにね😊 ←おっと公開前に消す
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?