【富山県富山市】ハードとソフトの両輪で、遊び場をインクルーシブにする。そんな取り組みが行われていました
富山県空港スポーツ緑地
継続した検証と人の手を介した取り組みの大切さ
「障がいの有無に関わらず」をコンセプトにした遊び場が全国各地に増えています。しかし、実際に障がいのある人、ない人が自然に和気あいあいと過ごしている公園は数少ないのではないでしょうか。それもそのはずで、ある自治体が調べたデータによると(※1)、障がいのある子(保護者)が公園に行きにくい原因は物理的な障壁よりも心理的障壁の方が高いことが分かっています。だからこそ、ユニバーサルデザインやインクルーシブ遊具などの「ハード」だけで解決を図るのではなく、ハードで解決しきれない部分は人の手や心で解決する必要があると思います。それは一長一短で出来上がる事ではなく、継続的に取り組む必要があります。
ご紹介する富山県空港スポーツ緑地は、遊び場ができた後も利用者調査(※2)を行い、調査結果を基にした取り組みを実践するなど、遊び場ができた後も継続的にインクルーシブな遊び場作りに取り組まれています。
(※1)福岡市『インクルーシブな子ども広場整備指針』資料編より
(※2)富山県空港スポーツ緑地のホームページより
利用実態調査 利用者アンケート結果
遊び場に来るハードルを下げる
先の文章に書いた通り、公園に来る事自体にハードルを感じている方もいるのが現実です。富山県空港スポーツ緑地では、この点の配慮として、私がホームページを拝見しただけでも3つの取り組みを行われています。
①公園情報の提供
公園のホームページに「インクルーシブ広場」の特設ページを用意し、遊び場の場所や広さ、遊具の種類などの情報を事前に提供しています。これにより利用者にとっては遊び場が可視化でき、不安を和らげる事に繋がります。
②インクルーシブDAYの開催
遊び場にスタッフが滞在する日を定期的に設けて子どもを見守り、必要があればサポートなどを行われています。それ以外にもクイズをはじめ様々な楽しみが用意され、公園に来る心理的な不安を安心や楽しさに変える取り組みが行われています。
③オリジナルのヘルプマークシールの配布
遊び場で遊ぶ際に、周囲の方に理解してほしいこと、配慮してほしいことをスムーズに伝えるため、安全性に配慮したシールを配布されています。
利用者同士の理解促進や、多様な子どもの個性に気付く機会が生まれるのかと思います。
最も特出すべき点として
これまで私が記載した内容は、すべて公園のホームページから取得しています。「心理的なハードルをクリアして公園にたどり着けた方に対するサービス」としてではなく、あらゆる方に届く形式で情報を発信し、利用を促進されている点は素晴らしいなと思います。
遊び場の情報
住所 :富山市秋ヶ島287
アクセス :(バス)富山空港・成子経由 八尾鏡町行、
富山空港経由 総合運動公園行、
富山空港・健康パーク経由 総合運動公園行
のいずれかに乗車し、「総合体育センター前」にて下車
(車) 国道41号空港口交差点より空港方面 西へ約2km
国道359号黒瀬交差点より空港方面 南へ約3km
広さ :3,100㎡
アメニティ:遊び場横にトイレあり
※新しいユニバーサルトイレが令和6年夏頃に完成予定との事
休憩施設 :ベンチ
地面 :バリアフリー
締まった砂と、遊具下はゴムチップ
遊具
・スロープ付き複合遊具
・ブランコ
・回転遊具
・砂場
・パネル遊具
・ハウス型遊具
・カエル型の揺れる遊具
記事の目的
この記事は、特にインクルーシブな遊び場を必要とされる方に対し遊び場の情報(特に写真)をお伝えし、遊び場を事前に知り、選択する材料となる事を主な目的としています。
また、特色のあるインクルーシブな遊び場を紹介することで、自治体や設計者の方の業務の参考になれば幸いです。