見出し画像

【福岡県福岡市】先ずは市民のニーズ、要望を探ることから始まった子ども広場の整備

福岡市 百道中央園


スタート地点としての整備指針

福岡県福岡市は、遊び場の整備に先立ち、市民や専門家を交えた検討委員会を結成。広く多様に市民の意見をヒアリングしながら『インクルーシブな子ども広場整備指針』を作成されました。1つの遊び場を整備するだけではなく育ててゆく事。そして、指針を基に今後市内各区にインクルーシブな子ども広場を整備してゆく方針です。

指針があることより、市役所の職員を中心に多くの人々が遊び場作りにおいて注意する点や配慮する点。遊び場をどう生かしていくかの方向性が共有されるのかと思います。そして、より多くの人が関わりやすい、参加できる体制を生みやすくするのかと思います。

インクルーシブな遊び場の整備は「目的」ではなく、インクルーシブな社会を整備するスタート地点です。だからこそ、整備して終わりではなく、せっかく生まれた場を活用し、より良い空間へと徐々に進化させる試行錯誤の場だと思います。そして、その試行錯誤のプロセスに多様な人が関わり続ける事が何よりも大切です。また、1か所整備して完結させるのではなく、あらゆる人が距離的にアクセスしやすい、そして遊び場自体を選択できる様、規模はともかく各地域にインクルーシブな遊び場が広がることが大事です。

インクルーシブな遊び場に「定義」は必要ないと思いますし、考えても結論が出るのか僕には分かりません。一方で、「指針」は航海でいうところの方位磁針だと思っています。だからこそ、この指針を基に多様なアイディアを出し合い。航海のしかたをみんなで決めてゆく。福岡市の指針はそんな有効なツールだと思います。

整備指針ができるまでの取り組みや経緯や取り組み、でき上がってからの取り組みなどは、以下の福岡市「守ろう・つなごう・育てよう 福岡市の花・みどり」のページに詳しく紹介されています。こうやって誰もが情報を取得できることも素敵な事だと思います。

福岡市 インクルーシブな子ども広場 (fukuoka.lg.jp)

この中に整備指針もリンクが張られていますが、ショートカットとしてこちらでもご紹介します↓。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/105583/1/seibisisinn.pdf?20240718191832


今ある公園の魅力を活かす

百道中央公園の魅力は、今回の遊び場整備だけではなく、元々から存在した起伏ある空間や緑、本物の石を使用した庭園のような要素。そして前々から日除けやトイレなどの設備にもあると思います。
遊び場を整備は、それら公園の持ち味を大切にしながら設計されたのではと思います。築山を改造して遊び要素を増やしたり、元々あった段差を遊具のアプローチに使ったりして調和のとれた公園になっています。だからこそ、遊具が主張しすぎず、大人にとっても落ち着いて過ごせる空間なのかと思います。


遊び場の情報(福岡市のホームページより引用)

住所   :福岡市早良区百道浜3丁目2
アクセス :福岡市地下鉄藤崎駅から徒歩15分
      駐車場47台 うち福祉区画1台
      (入庫から5時間まで1時間100円 その後料金変動あり)
広さ   :40,013㎡(うちインクルーシブな子ども広場約15,000㎡)
アメニティ:トイレ2か所(バリアフリー対応もあり)。
      子ども広場近辺のトイレには以下の施設が有ります
      ・ベビーベッド/ベビーチェア/介助用ベッド/オストメイト
       着替え台/音声案内/非常用電源
休憩施設 :大きなパーゴラ、その他ベンチなど
地面   :バリアフリー
      遊び場は基本的にゴムチップ舗装

遊具
指針には遊具に関わらず、多様な遊びが紹介されています。
そのため、ここでは福岡市の紹介を基に遊びを紹介します。
・すべる遊び  :複合遊具(ローラー滑り台など)
         築山、築山斜面のコンクリート滑り台
・揺れる遊び  :なし
・回る遊び   :回転遊具
・跳ねる遊び  :ジャンプ遊具
・登る遊び   :築山斜面、ドーム遊具
・投げる遊び  :芝生広場
・走る遊び   :芝生広場
・バランス遊び :平均台とゴム製ステップ
・砂遊び    :砂場2か所(テーブル砂場有)
・水遊び    :なし
・音を楽しむ遊び:なし
・手触りや足の感覚を楽しむ遊び:パネル遊具
・形を楽しむ遊び:パネル遊具
・ひっそりとした空間を楽しむ・落ち着く遊び:ドーム遊具
・自然と触れ合う遊び:広場や築山などの四季折々に花を付ける植物、
           広場外周の植栽帯、芝生
・ごっこ遊び:施設なし
・地面や壁面の絵を使った遊び:ゴムチップ舗装の地面絵
・ポーツや伝統的な集団遊び:芝生広場

遊び場について

指針には遊びの要素として、遊具のみならず多様な遊びが尊重されています。そのため百道中央公園の子ども広場も、芝生(写真がなくてスイマセン)や樹木、土の感触など、色々な楽しみを子どもが発見してくれば良いのかと思います。
元々あった築山には大きな石が使われていて、見た目、遊び共に冒険心を掻き立てます。石をよじ登る様な遊びは今の公園ではなかなかできませんが、ここなら思いっきり楽しめそうです。

子ども広場に対する思いやルール、全体像を可視化させるサイン版
複合遊具と地面に描かれた遊び。休憩施設
休憩施設側からの複合遊具へのアクセス
車いすや、立ったままでも遊べる砂場
回転遊具
跳ねる遊具
築山滑り台
築山の上のバランス遊び
もちろん築山の上までバリアフリー
落ち着いて過ごすためのカームダウン遊具
手先を使うパネル遊具
元々あるトイレ
なんと元々あったトイレの横にバリアフリートイレも新設
バリアフリートイレの中
バリアフリートイレの中
ちょっと離れると別のトイレがあります
管理棟

記事の目的


この記事は、特にインクルーシブな遊び場を必要とされる方に対し遊び場の情報(特に写真)をお伝えし、遊び場を事前に知り、選択する材料となる事を主な目的としています。
また、特色のあるインクルーシブな遊び場を紹介することで、自治体さんや設計者さん参考になれば幸いです。



きのぼり園


いいなと思ったら応援しよう!