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「データは語る!分析思考の基礎とフレームワーク」【マーケティング基礎データ分析編①】全5回

「データ分析」と聞くと、難しそう…と思っていませんか?でも、実はデータ分析の本質は“意思決定をサポートする”ことにあります。本話では、データ分析の基本的な考え方と4つの分類(記述・診断・予測・処方)を解説し、なぜ“勘”ではなく“根拠”が必要なのかを紐解きます。データを武器に、説得力のあるビジネス判断を身につけましょう!

◯マーケティング基礎編シリーズ
1週目:WEBマーケティング編
2週目:顧客心理編
3週目:SNS拡散編
4週目:コミュニティ編

5週目データ分析編
「データは語る!分析思考の基礎とフレームワーク」
「データ分析のプロセスを理解する」
「数字をどう読む?データの可視化と洞察」
「データ収集とクレンジングの基本」
「データ活用で成果を出す!実践と応用」
全5話でお届けします!

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データの分析が今回のテーマです

揺らぐ期待と、微かな不安

 都心のオフィス街は朝から騒がしく、人々が忙しなくビルへと吸い込まれていく。通勤ラッシュを抜けた頃、ユキはいつものようにオフィスの受付を通り、自席に腰を下ろした。まだ時刻は早い。ここ数週間、ユキが所属する中小企業では、SNSを活用したコミュニティやファンマーケティングの成果が徐々に出始め、社内でも話題になっている。ユキは会社の販促担当として、“コミュニティの力をビジネスにどう活かすか”を日夜考えながら施策を展開してきた。周囲からは「ユキちゃんの企画は面白い」と評判だ。

 しかし、彼女の表情にはわずかな曇りがある。前までの取り組みで、確かにコミュニティが盛り上がり、リピート購入やブランドへの好感度が高まりつつあるのは感じられる。だが、上司から近頃言われるのは「データを使って、もう少し根拠を示してほしい」ということ。「感覚で“良さそう”と語られても、これからの投資や施策拡大を決定するための材料には不十分だ」と。ユキ自身も「SNSで盛り上がっているのは事実だけど、数字をどう扱えば、それを説得力ある情報にできるのか……?」と手探りの状態だ。

 昼休み、社内の簡易カフェスペースでサンドイッチを頬張るユキの元へ、同僚が声を掛ける。「ユキちゃん、コミュニティイベントの参加率とか、具体的に数字で把握してるの? 上司が“もうちょっとロジカルな報告を”って言ってたよ」。ユキは小さく息を吐いて「そうなんですよ……。そりゃ私も報告したいけど、どこから手をつければいいか全然わかんない」と溜め息まじりに返す。言われてみれば、広告費の費用対効果やSNS投稿に対する売上の変動など、経営層に示したい要素はたくさんあるのに、今はざっくりした感覚的な把握しかできていない。

 午後、ユキは自席でパソコンを睨みながら、売上データやSNSのフォロワー数、イベント参加者のリストを眺めるが、表が乱雑で、どこをどう見ればいいのか混乱してしまう。上司に「KPIやデータ分析を意識しろ」と言われても、KPIという言葉自体がややこしいし、具体的に何から始めるべきか分からない。そんな折、ユキはふと「先生がいるじゃないか……」と思い至る。そう、彼女の家に居候中の“うさぎ先生”――元大学教授で、マーケティングや心理学、AI研究の専門家。その存在を会社の人は誰も知らないが、これまで何度も貴重なアドバイスを与えてくれた頼れる同居人だ。

 夕方になると、ユキはいつもより早めに仕事を切り上げ、電車に飛び乗って自宅へ向かう。アパートのドアを開けてリビングに入ると、ソファで羊羹を頬張るうさぎ先生の姿がある。相変わらず、もふもふの長い耳をぴんと立てながら、テレビをぼんやり流しているのが微笑ましい。ユキは軽く息をつき、「先生、ただいま……また相談があるんです」と声を掛けた。先生は耳を動かしながら振り向き、「おかえり、ユキくん。今度は何を悩んでるんだい?」といつもの穏やかな声で尋ねる。

 ユキは靴を脱ぎながら「会社でコミュニティマーケティングやファン施策はだんだん浸透してるんですけど、上司から“データを使って成果をちゃんと説明してほしい”って言われてて……私、数字に弱くて、どうしたらいいのか分からなくて」と正直に打ち明けた。先生は「ふむ、なるほど。データ分析というと構えてしまう人が多いけど、本質は“意思決定をサポートする”ことだよ。ユキくんはそんなに難しく考えず、まずは目的を決めてデータを見るところから始めればいいんだ」と笑みを浮かべる。

 そうして、深夜のリビングでノートを広げた勉強会がまた始まる。ユキは「先生、どうか教えてください。私、数字の扱いが苦手で……」と少し落ち込んだように言うが、先生は「大丈夫、ユキくん。僕もAI研究をしてた頃は膨大なデータに埋もれて大変だったけど、考え方を掴めば意外とシンプルなんだ。いま抱えているコミュニティのデータや売上数字も、きっと使いこなせるよ」と穏やかに励ます。その言葉にユキは救われた気持ちになり、「よし、やってみます!」と顔を上げるのだった。


データ整理は大変ですよね

見えない数字への戸惑いと、未来への一歩

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