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羊羹とマーケティング?うさぎ先生の意外な教え【WEBマーケティング基礎編⑤】全5回

こんにちは!
ここまでたどり着いて頂きありがとうございます😭マーケティングの基本とフレームワーク編の第4回目となります!1回目を見逃した方はこちらにリンクをはりましたのでこちらから順番に見てください👇


「なぜ人は買うのか?」
商品やサービスが売れる理由には、顧客心理が深く関係しています。この記事では、ユキちゃんが「購買心理」の基本を学びながら、心理的アプローチによって購買意欲を高める方法を具体例とともに解説します。

1週目のテーマは…!

マーケティングの基本とフレームワーク編


①売上ゼロからの逆転劇!ユキちゃんのマーケティング奮闘記
「広告の正解はどこに?AIDAモデルで心を掴む秘訣」
「ターゲットは誰?顧客心理を読み解く最初の一歩」
「売れる商品と売れない商品、何が違う?」
「羊羹とマーケティング?うさぎ先生の意外な教え」
今回でWEBマーケティングの基本編は完結です!

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感情が動かす購買心理――ユキちゃんの新たな発見


問い合わせは増えたけれど……

 オフィス街の朝は、一見平穏に見える。高層ビルの谷間をせわしなく人々が行き交い、スーツ姿の会社員たちはスマートフォンでニュースをチェックしながら急ぎ足で出社していく。どこかで今日も新しいサービスが立ち上がり、どこかで誰かが広告を考えている。そんな街の一角にあるビルの中、ユキが勤める会社のフロアでは、既に始業前からパソコンを開き、資料に目を通す音が響いている。

 ユキはデスクにつくや否や、前日に届いた問い合わせメールの数々をチェックし始めた。最近は社内のチームを巻き込みながら、AIDMAモデルやAIDCAモデルを駆使し、さらにはSTP分析・4P戦略などの基礎を踏まえて広告を作り直してきた成果が出ているのか、「お問い合わせフォーム」からのアクセス数と送信件数が確実に伸びているのがわかる。クリック数や問い合わせ件数が“右肩上がり”なのは嬉しいニュースだ。

 しかし、ユキの表情は浮かない。というのも、問い合わせが増えた“先”の数字――肝心の購入率や最終的な契約件数が予想よりも伸び悩んでいるのだ。モニターには、多数の問い合わせ件名が並んでおり、そこには「詳しい話を教えてください」「検討したいので資料をいただけますか?」といった一見前向きな文面が多いにも関わらず、実際に「購入したい」「契約を申し込みます」といった明確な申し込みになっているケースが非常に少ない。

「どうして……? 広告を頑張って作り直したのに……。興味を持ってもらってるのは確かだし、問い合わせ数も確実に増えているのに……なぜそこで止まってしまうの?」

 ユキは自分のデスク上に山積みになった資料を片手に、口には出さずとも「もう少しで売れそうなのに、惜しい……」というもどかしさを募らせる。
 前回、STP分析と4P戦略によってターゲットをある程度絞り込み、ポジショニングも明確化した。この作業のおかげで「どんな人に」「どんな価値を訴求するか」は整理され、実際に問い合わせ数の伸びとして目に見える成果を上げた。だが、そこから先の“最後のひと押し”が弱いのかもしれない。AIDMAやAIDCAでも「Attention→Interest→Desire→Memory(or Conviction)→Action」と展開するが、その“Action”の手前でユーザーが逡巡してしまう印象があるのだ。

 ユキは書類をめくりながら、「そもそもどこに問題が……」と思い巡らせるが、頭の中に答えは浮かんでこない。社内システムのレポート画面を見ても、「問い合わせがあって初動でやりとりしても、そのまま検討で止まっているケース」が目立っている。原因を特定したいと焦るものの、まだ手がかりが掴めずにいた。


うさぎ先生の示唆「人は感情で動く」

 そんな朝のドタバタが一段落した頃合いに、長い耳をぴんと立てた先輩社員――通称「うさぎ先生」が、ふわりとユキのデスク近くに現れる。いつもながら静かな足取りで、しかし確実に周囲を見渡す洞察力を秘めた佇まいは、社内でも一目置かれている存在だ。ユキはその姿を見つけると、慌てた様子で声をかける。

「先生……。ちょっとお話いいですか? 実はまた新たな壁にぶつかっていて……」

 ユキはそう言いながら、自分のパソコン画面に映るレポートを指し示す。問い合わせ数が伸びているという報告と、その先で失速してしまう現状をかいつまんで説明する。すると、うさぎ先生はいつものように、ポケットから小さな包みを取り出す。――そう、彼の必携アイテムである羊羹だ。包装をはがしながら、「なるほど」と呟いてから、ユキの話に耳を傾ける。

「問い合わせは増えたのに、購入率が低い……。この状況は、もしかすると“理屈”だけでは人が動かない、という典型例かもしれないね。AIDMAやAIDCAを使って論理的に宣伝を組み立てても、実際、人間は感情で動くことが多いんだ」

「感情……。先生、前回までデータや根拠の大事さを教えてくださったじゃないですか。もちろん論理は重要なんですよね……? でも、最後は感情だっていうのは……」

 ユキは戸惑いを隠せない。彼女はここ数ヶ月、マーケティングフレームワークを用いて「誰に何をどのように」「論理的にどう伝えるか」を重視してきた。それが一つの成果をもたらしたのは事実だが、このままでは“成約”には繋がらないという現実が目の前にある。それに対して、うさぎ先生は穏やかな表情を崩さず、羊羹を小皿に載せてユキに差し出しながら答える。

「まさにそこがミソなんだ。論理と感情はどちらも大切だけれど、最終的に“買おう”と決断させる一押しは、しばしば感情や心理トリガーによって引き起こされることが多い。たとえば“限定品だから欲しい”“これを逃したら損かも”“この商品を買うと気分が上がる”――そういった心理的要素に人は弱いんだよ」

「そういえば、キャンペーンの割引をつけたら一気に売れた、なんて話もよく聞きます。理屈で説明したときはピンとこなくても、“お得感”や“逃したら損”という気持ちがあると買う、みたいな……」

 ユキは自分でも思い当たる節がある。セールや限定品を目にすると、「買うつもりなかったのに、つい手が伸びてしまう」という経験は、彼女自身にもあるではないか。要は、その感情面のアプローチが現状足りていないのかもしれない。

「問い合わせ段階で興味を持ってくれた人たちが、あと一歩踏み切れないのは、もしかすると“損をするかも”といった不安をまだ払拭できていない、あるいは“今買わなくては”という気持ちを高められていないのが原因かもしれない。いわゆる『購買心理』を刺激する仕掛けを考えてみるといいんじゃないかな」

 そう言ってうさぎ先生は羊羹をひとかじりし、「それが今回のキーワードだよ」とユキに向かってにっこり微笑む。ユキは「購買心理……」と心の中で復唱し、この言葉に新たな光を見いだし始めるのであった。


「羊羹が教える!?購買心理の秘密」

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