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「売れる広告はここが違う!心理トリガーの仕掛け方」【マーケティング基礎顧客心理編③】全5回

こんにちは!
前回からマーケティングの基礎編という形でお届けしています!これからマーケティングを始めたい方、今の仕事に活かしたいと思っている方に向けて、基礎となる部分をテーマにお届けする二週目の3話です!

前回のおさらいもございますので、順番に見ていただければとおもいます!

1週目の始まりはこちらから👇

「広告を見て、つい買いたくなる瞬間はどこにある?」
私たちが商品やサービスに目を留め、購買を決断する過程には、実に多くの“無意識の心理的トリガー”が潜んでいます。前回(第2週 第1話・第2話)までは、AIDMAやAISASといった購買行動モデルや、行動経済学の「損失回避」「アンカリング」「ハロー効果」など、人間が非合理的に動いてしまう要素を学びました。とはいえ、具体的にどのように広告へ活かせば「本当に買いたくなる瞬間」を作れるのか、まだイメージがつかないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、ユキちゃんの奮闘ストーリーを通じて、新たに「限定感(Scarcity)」「社会的証明(Social Proof)」「返報性(Reciprocity)」といった“心理トリガー”をどのように仕掛けるか、その実践的な方法を深掘りしていきます。さらに、心を揺さぶられる無意識のメカニズムを理解し、具体的な広告コピーや販促プランに落とし込むヒントをお届けします。

2週目のテーマは

マーケティングの基本と顧客心理編


「心を動かす秘密!購買行動モデルを徹底解剖」
「なぜ買う?なぜ買わない?行動経済学が教える心理のトリック」
「売れる広告はここが違う!心理トリガーの仕掛け方」
「顧客はデータが教えてくれる!購買履歴から見える心理」
「未来は心理が決める?顧客の心を読み解くマーケティング戦略」

全5回でお届けしますのでお見逃しなく!

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「目は引くのに買ってもらえない!?ユキちゃんの新たな壁」


クリック数は増えたのに、購買には結びつかない現実

 朝のオフィス街を歩く人々の間には、どこか夏の終わりの気配が漂い始めている。ユキは駅前のコンビニでお茶を買い、慌ただしくオフィスのエレベーターに乗り込みながら、スマートフォンの通知をちらりと確認した。SNSの社内アカウントには、たくさんのいいねやリツイートがついている。クリック数や閲覧回数は上がっている証拠だ。

「よし、今回もアクセスは順調に伸びてるみたい。前回学んだ“行動経済学”を応用して、アンカリングや損失回避を意識した広告コピーにしてみたし……。このままいけば売上もきっと……」

 しかし、内心ではどこか不安が拭えない。というのも、前回の施策では確かに問い合わせやクリック数は伸びたものの、「購入や契約に直結しない」ケースが思った以上に多く、最終的に数字が伸び悩んだ経緯があるのだ。今回はその反省を踏まえ、さらに踏み込んだ行動経済学的アプローチ――いわゆる損失回避やアンカリングなど――を取り入れたが、「人はそんなに簡単には動かない」と痛感したばかりでもある。

 オフィスフロアに着き、ユキがデスクに腰を下ろすと、いつものようにパソコンを立ち上げ、アクセス解析のツールや社内の売上ダッシュボードを開いた。画面には、昨晩から稼働し始めた新広告の結果が数字として反映されている。クリック率、滞在時間、SNSでの拡散数……いずれもまずまず悪くない。むしろ、前回よりも初動は良いくらいだ。しかし、購入や問い合わせの「最終アクション」は、今ひとつ伸びていないのだ。

「またか……。アクセスはしてくれてるのに、どうして買ってくれないんだろう」

 ユキは思わずつぶやく。いつもなら「クリック率が上がれば売上も比例して伸びる」と単純に考えてしまいそうだが、前回の経験から「必ずしもそうはならない」ことを学んだはず。人の心理は単純に“得をするから買う”“安いから買う”という理屈だけでは動かない。アクセス数だけ見ると順調に見えるため、上司やチームからも「なんで売上につながらないんだ?」と問い詰められそうな雰囲気が漂う。

「このままじゃ、また『広告コストばかりかかってる』って言われるかも……どうしたらいいの……」

 ユキは一気に不安に飲み込まれそうになる。そのまま悶々としていると、後ろから長い耳が動く気配――そう、通称「うさぎ先生」が、いつもの静かな足取りで近づいてきたのだ。


ユキの相談、うさぎ先生の示唆「心理トリガーが弱いかも」

 うさぎ先生は、いつも何かとユキにアドバイスをくれる“頼れる先輩”のような存在である。ユキは席に座ったまま、振り返って先生を見上げた。

「先生……。広告は目を引くし、アクセスも伸びているんですけど、なぜか購買や申込みには結びつかないんです。せっかく行動経済学を応用したつもりなのに……もう一押しが足りない感じで……」

 言葉の端々には、焦りと苛立ちがにじみ出ている。うさぎ先生は、そんなユキの表情をまるで察するかのように、ポケットから小さな包みを取り出した。例のごとく羊羹が入っているらしい。「ユキくん、まずは落ち着いて。焦っても仕方ないよ」と言いながら、それを自分の机の上にトンと置く。

「うさぎ先生、また羊羹ですか……! というか、私、次こそ結果出さないとマズいんです! もう時間もあまりなくて……」

「焦る気持ちはわかるけど、さっき数字を見せてもらった限り、アクセスは十分に得られている。つまり『人の目には留まっている』ということだよね。でもそこから先、つまり『買いたい!』と思わせる何かが弱いのかもしれない。いわゆる“心理トリガー”がまだ足りないんだ」

「心理トリガー……? 行動経済学とはまた違うんですか?」

 ユキは首をかしげる。先週は「損失回避」や「アンカリング」「ハロー効果」を学び、それが人間の非合理的な購買心理を動かす要素であると分かったばかりだ。それなのに今度は“心理トリガー”という新しいキーワードが出てきて、混乱してしまう。

「似てるようで少し違うね。行動経済学の考え方は、人がいかに非合理的かを示すものだったけど、心理トリガーはもう少し具体的な“仕掛け”に近い。たとえば“限定感”を出すとか、“社会的証明”を示すとか、“返報性”を利用するとか……。こういう仕掛けが、実は購買意欲を高める瞬間を作るんだ」

 先生はそう言いながら、羊羹の包装を開けて小皿にのせる。ユキは思わず「また悠長に羊羹ですか……」と突っ込みを入れたくなるが、今はそれどころではない。頭の中には「限定感」「社会的証明」「返報性」といった言葉が渦巻く。どれも聞いたことがあるような、ないような気がして、興味と不安が入り混じっているのだ。


ユキの焦りと決意

 一方、ユキの中では「次こそ結果を出さなきゃ」というプレッシャーが募るばかりだ。上司からは「広告費をちゃんと回収できる施策にしてくれ」と強く言われ、同僚からも「クリックは増やせるのに、なぜ売れないんだろうね」と心配されている。

「先生、このままだと私、本当にまずいんです。新規キャンペーンに期待してるって言われてるのに、売上が数字で伸びなかったら……もう逃げ場がないというか……」

 ユキは声を落として、椅子に深く背を預ける。うさぎ先生はそんなユキを見守りながら、控えめに微笑んだ。

「大丈夫。焦らなくても、心理トリガーの仕組みを理解して活用すれば、必ず効果は出る。今回は“限定感”“社会的証明”“返報性”という三つの要素を中心に見直してみよう。もしかしたら、そこを強化すれば、あと一押しで買ってくれる人が増えるかもしれない」

「わ、わかりました! ぜひ教えてください、先生!」

 ユキはそう言うと、素早くノートとペンを取り出し、まるで学生時代の授業のように構える。これまで何度か失敗を経験してきた分、ここでの学びが「本当に売上を伸ばす鍵になる」と信じて疑わない。実際に、先生のアドバイスが功を奏したことは今まで幾度となくあったのだ。


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