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法律学概論 国際法
国際法とは?
国と国の関係を維持し国際秩序を守るためのルール。条約と国際慣習法で構成される。原則として国際法の主体は国家で、国家の権利義務を保護する。国家領域に関するものから国際人権に関するものなどがある。
国際法の例
・国際人権に関するもの
独立権…内部不干渉の義務 平等権…1国1票の原則
・国家領域に関するもの
内政不干渉の原則や公海自由の原則。
※公海…他国の主権が及ばない海のこと。
国際法の課題
制度的に未熟で罰則や強制力(国内法で警察や検視あたる組織)がない。
しかし守らなければ、国際法を破ると相手国から報復を受けたり、国際連合間で相互の監視や批判が働いたり、国際連合から圧力を受けるなど(例:経済制裁)国際社会から批判を集める。
☝️プ知識 「国家とは?」
領土・国民・政府の3条件が揃ったもの。ただし国家を国家として認める客観的な機関は存在せず、国家の承認という制度の2つの見解により認められる。
●創造的効果説
国家となろうとする政治集団は三条件が備わっていると既存の国々に承認されて初めて国家となる。
課題:国家として承認した国との間のみで国家として認められる。既存国家の自由裁量が大きい。
●宣言的効果説
三条件が整ったと自らが認めた時点で国家となり、既存国家による承認は宣言的効果を持つに過ぎないとする。
課題:客観性に欠ける
国際法上の問題解決方法
国家責任の成立(対人)
自国民が他国の領土にいる場合、滞在国の領土主権が優越性をもつ。ただし他国で自国民が不当な扱いを受けている場合(例:裁判の拒否など)は、本国が賠償を求めることが出来る。
対人主権…自国領土の外にいる自国民や自国民の財産についても本国の主権が及ぶ。
外交保護権…国家は入国を認めた以上、保護する義務を負う。
国家責任の解除
陳謝・原状回復・損害賠償を行うと解除される
権利義務秩序の回復がこじれた場合
国家の権利義務秩序の回復方法には、平和的手段による回復と強制的手段による回復がある。
●平和的手段による回復
・当事者国間の直接の外交交渉
・第三者の介入・斡旋・仲介・調停
仲裁裁判…国際法または衡平もしくは善に基づいてそのつど専任される裁判官が解決にあたる。
司法裁判※…国際機関によって予め選任されてる裁判官が主に国際法に基づいて判決をくだす。国際司法裁判所で裁判をするためには関係する国間の合意が必要。ただし緊急時において出される暫定的命令は双方の同意を必要とせずに出される。※オランダのハーグにある
●強力的手段による回復
復仇または戦争
現在の国際法においては国家による武力行使や威嚇は原則として禁止されている(国連憲章2条4項「武力行使禁止原則」)が、例外として自国が攻撃された場合に反撃する自衛権は認められている。
しかし国家間の軍事力格差によりこれらの回復方法を取れない国もある。それを解決するものとして集団的自衛権、集団安全保障機構がある。
国家間の安全保障
●同盟政策・勢力均衡政策
国家による戦争が国際法によって禁止されていなかった時代、各国は同盟関係を築いて他国から攻撃されたときには同盟国による助勢を期待することで自国の安全を守ろうとした。しかしこのような政策による安全保障は勢力拡張競争が起こりやすく、一旦戦争が始まると同盟関係を通じて多くの国家が巻き込まれて戦争が大規模化するという課題があった。
例:三国同盟(🇩🇪🇦🇹🇮🇹)と三国協商(🇫🇷🇷🇺🇬🇧)が
対抗する中で生じた第1次大戦
第1次大戦後、各国は同盟政策ではなく国際連盟(国際連合の前駆組織)を創設して集団安全保障体制を築き自国の安全を守ろうとした。
●集団安全保障体制
集団安全保障とは?
対立関係にある国家も含めて国家が互いに武力行使を慎むことを約束し、構成国のうちの一国が不法行為を犯した場合はほかの構成国が制裁にあたり、侵略行動をやめさせようとする安全保障である。
現在の集団安全保障体制は国際連合で築かれており、国連安全保障理事会が集権的な力を持つ。平和の破壊または侵略行為の存在が安保理によって認定された場合、その国に対する軍事的手段も含めた措置の決定がなされる。
課題
国際連合の総会は勧告権しか持たない。
安保理事国は決定権と拒否権を持つが、一国が拒否権を主張すると措置の決定ができない。
安保理事国:🇺🇸🇷🇺🇨🇳🇬🇧🇫🇷
安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利が認められる。
☝️プ知識 地域的安全保障機構
代表例としてNATOがある。冷戦下、西側諸国の安全を守るために結成された。ロシアのウクライナ侵略により、ロシアを脅威と感じたスウェーデンとフィンランドが2022年にNATOに加入申請し、現在は加入している。
●個別・集団的自衛権
集団的自衛権…一国に対する武力攻撃に対して、その国から援助の要請があった場合に、直接に攻撃を受けていない他国も共同して反撃に加わることができる。
集団的自衛権の本質
「他国の個別的自衛権行使の援助」。自衛権は被攻撃国の安全や独立を守るためのものであり、行使できるのは被攻撃国から援助要請を受けた国に限られる。
個別的自衛権…一国が自国に対する侵害を武力をもって排除することができる。
日本では憲法によって集団的自衛権を行使できないと解釈してきたが、平和安全法制において、その一部に限って行使できるようになった。
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まとめ・参考文献(有料部分)
ロシアのウクライナ侵略を例にあげて、「国際法上の権利義務と不法行為の回復方法」について論じています。
ウクライナ戦争では、オランダのハーグにある司法裁判所により、ロシアへ撤退命令が出されているものの、強制力がないため依然として戦争が続いているのが現状です。しかもウクライナに侵略したロシアが安保理の1国であるため、国際連合による解決の措置が取られません。これまでの学習知識を活かして、このウクライナ戦争に対して世界各国がどのように対応してしているのかなど盛り込んでいます。国際法の課題も見える興味深いまとめになっています。
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