下肢の解剖学
【下肢】
・下肢は体幹と両脚をつなぐ下肢帯と、両脚である自由下肢の2つの部分から成る。下肢の骨は下肢帯の寛骨と、自由下肢の大腿骨・膝蓋骨・脛骨・腓骨・足根骨・中足骨・趾骨の骨で構成されている。
【骨盤】
・骨盤は寛骨、仙骨、尾骨から成る。両側の寛骨は前方で恥骨結合により、後方では仙骨によち、関節を作っている。骨盤は体幹の末端であり、自由下肢の骨格の基部となる。
骨格は男女で差がある。
男性 女性
骨盤上口の形 ハート型 楕円形
骨盤腔の形 漏斗系 円筒形
仙骨 幅狭く、長い 幅広く、短い
恥骨下角 小さい(50-60°) 大きい(70-90°)
閉鎖孔 卵円形 三角形
【寛骨・腸骨・坐骨・恥骨】
・仙骨の左右について骨盤を形成する骨を寛骨という。扇状の形状で後面はお尻になる。仙骨と大腿骨に連結しており、体幹と下肢を繋いでいる。
・腸骨・坐骨・恥骨は16~17歳ぐらいまでは軟骨で結合しているが、成人になると骨が結合し1個の寛骨となる。
・腸骨は寛骨臼の上半分を作る腸骨体と上方に広がる腸骨翼に分けられる。腸骨翼の内側の後面には仙骨と仙腸関節を作る耳状面がある。
・腸骨には上前腸骨棘と下前腸骨棘という突起がある。上前腸骨棘は腰に手を当てた時に触れる部分である。
・坐骨は寛骨臼の後下部と閉鎖孔の後壁を作る坐骨体と坐骨結節(ハムストリングス)から前に延びる坐骨枝に分けられる。
・恥骨は恥骨体、恥骨上枝、恥骨下枝の3つの部分に分けられる。その前内側端に恥骨結合面があり、反対側の恥骨結合面と連結して恥骨結合を作っている。
【大腿骨】
・太ももの骨が大腿骨である。上端は寛骨と股関節を形成し、下端は脛骨と膝蓋骨(しつがいこつ)で膝関節を構成している。大腿骨の上端を大腿骨頭、そのすぐ下を大腿骨頸と呼ぶ。
・大腿骨頸の外上方にある隆起を大転子、内下方にある隆起を小転子と呼ぶ。大転子と小転子は前面では転子間線、後面では転子間稜によって結ばれている。
・大腿骨の後面中央にある隆起を粗線と呼ばれる。その粗線によって外側唇、内側唇に分けられる。
・大腿骨の下端の前面、内側顆(ないそくか)と外側顆(がいそくか)にある陥没部は膝蓋面である。
【膝蓋骨・脛骨・腓骨】
・特定の腱や人体の中にみられる植物の種子荷に似た形の骨を種子骨と呼ぶ。
・大腿四頭筋の腱中にある栗の実の形をした種子骨が膝蓋骨である。後面には関節面がある。
・脛骨の上面中央には上には向かう隆起がある。その隆起を顆間隆起と呼ぶ。その前後にあるくぼみを前顆間区、後顆間区と呼ぶ。
・上端の隆起は脛骨粗面といい、大腿四頭筋の付着部である。
・脛骨下部の内方に突き出た部分が内果(うちくるぶし)と呼ぶ。
・腓骨の上端は腓骨頭で、その側面に大腿二頭筋が停止する。腓骨下端の外側に突き出た部分を外果(そとくるぶし)と呼ぶ。