中古戸建てを探す-物件資料からわかること、方針決め
不動産屋さんからもらえる物件概要に書かれている内容について、パッと見て理解できるようにしておきたいですね。
今回は、建物の概要と築年数からおおよそわかることや今後の住宅の動きについて調べた結果を共有します。
1.構造
木造住宅の構造は大別して2種類あり、構造によって保険料が変わります。
ちなみに私が出会った物件は、今のところ全て木造(H構造)です。
物件資料に、たま~にですが、屋根の情報が載っている時があります。
中古の家を探すのに屋根をメインに物件を選ばないですよね。
なので、ガルバリウム鋼板は金属系(主にアルミ+亜鉛)、スレートはセメントを薄い板に加工したもの、陸屋根(ろくやね)は傾斜がない水平な屋根、くらいの理解で大丈夫でしょうか。
屋根の葺き替えが必要な場合は、詳細を理解しないといけないですね。
2.築年数
木造住宅の法定耐用年数は22年、一般的な寿命は30年、メンテナンスで80年などとも言われます。
■耐震基準
まず、おおよその築年数でわかるものに、耐震基準があります。
安全のために新・新耐震基準を満たすか、補強をしたいところです。
耐震診断の調査は義務付けられていません。
重要事項説明では、診断を受けた場合は、宅建士から診断結果が報告されますが、受けていない場合は『調査なし』と説明されるのみです。
1981年6月1日以降に新築された物件については、調査結果があっても説明義務もありません。
■住宅ローンとの関係
住宅ローンを組む場合は、築年数に条件が付いている場合があるので、注意が必要です。
住宅ローン減税に関しては、対象が『昭和57年以降に建築または現行の耐震基準に適合』に緩和されています。
(住宅ローン減税/国土交通省)
■鉛管(水道管)
1989年(平成元年)以降、鉛管が使用禁止になっています。
宅地内(水道メータから蛇口まで)の鉛製給水管取替工事は、自治体によって対応が異なりますが、補助金や助成制度があります。
(宅地内における鉛製給水管取替工事助成制度の導入について/大阪市)
ポリエチレン管等に移行済みの物件か、以降前の物件なら購入時に取り替えたいですね。
鉛管については重要事項説明にも含まれていないため、内見時に自分で確認する等しなければ、全くのスルーとなる可能性大です。
■アスベスト
2006年(平成18年)以降、アスベストが使用禁止になっています。
特に石綿使用のピーク時(1970~1990年代)に建築・リフォームされた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。
が、石綿(アスベスト)の調査も義務付けられていません。
重要事項説明では、使用有無の調査を受けた場合は調査結果が宅建士から報告されますが、受けていない場合は『調査なし』と説明されるのみです。
■住宅性能評価
2000年(平成12年)4月1日に品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)*が施行されました。数が少ないとはいえ、住宅性能評価書のある住宅もあるようです。
住宅性能評価書がある住宅だったとしても、中古物件は年数が経過しているから、ホームインスペクション*を利用したいところではあります。
3.建物状況調査(インスペクション)
2018年(平成30年)4月から中古住宅取引の際に建物状況調査(インスペクション)の「説明」が義務化されました(宅地建物取引業法改正)。
宅建業法で定められた基準で行われる『建物状況調査』は、検査員の技術力や検査基準、検査方法の指針が既存住宅インスペクション・ガイドラインで示されています。
(既存住宅インスペクション・ガイドラインについて(イメージ)/国土交通省)
1年以内に建物状況調査が行われた場合は、宅建士から重要事項説明で、結果を教えてもらえます(設計図書や点検記録等の書類の保存状況も聞けます)。
未実施の場合、不動産会社に斡旋してもらった業者に『建物状況調査』を依頼するか、完全な第三者に住宅診断を依頼するか、また床下、屋根裏、設備等、どこまで調査依頼をするか、考え方はいろいろあると思います。
4.瑕疵責任、保証期間
中古住宅を買う上で心配なのが、シロアリ被害、腐食、屋根や外壁の痛み、配管等水回りの不具合ですよね。
2020年(令和2年)4月1日に『瑕疵担保責任』が『契約不適合責任』に変わり、売主の責任が重くなりました。
買主側から見ると、以前より安心して中古住宅が買えます。
但し、この規定は任意規定のため、一部免責や全部免責をする特約も有効となります。
売主が個人の場合、『契約不適合責任免責』『設備の修復責任免責』、または担保期間が1~3ヶ月となっているケースも多いようです。
契約前に、売主が契約不適合責任を負わない特約がついていないか、付いているならどういう内容なのか細かく確認したいです。
◇
ところで、瑕疵が見つかった際、修繕費用を保険金でカバーできる『既存住宅売買瑕疵保険*』があります。
(既存住宅購入をお考えの方/住宅瑕疵担保責任保険協会)
ちなみに検査で指摘事項があった場合は、修補して再検査で適合すれば保険に加入できます。
不適合ケースとして紹介される代表例は下記4例です。
・雨漏りする/天井や壁に雨漏りの跡がある
・壁や床が傾いている(6/1000 以上の傾き)
・外壁や基礎にひびがある
・新耐震基準を満たしていない
改修工事が高額になる場合は、その建物自体の購入を考え直した方が良いかもしれません。
ところで、フラット35(住宅ローン)を利用する場合も、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書が必要です。
安心、安全な家を探したいですね。
(【フラット35】 中古住宅の技術基準の概要)
5.省エネ基準の適合義務化
2022年(令和4年)6月17日、改正建築物省エネ法が公布されました。
全ての新築住宅等への省エネ基準適合が義務化されるそうです(2025年4月の予定/公布から3年以内に施行)。
(建築物省エネ法について/国土交通省 2023年(令和5年)1月12日)
今の中古物件は近い将来、確実に省エネ基準不適合住宅となるので、新築住宅へのこういった法改正事情も踏まえた上で、将来のリフォームの可能性なども含めて購入を検討したいところです。
次回は、建物の内見時に注意したいことについて共有します。