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太陽光発電を検討する

東京では、2025年4月から新築住宅に太陽光パネルの設置が義務化されます。

大阪のとある不動産会社で、担当者の方に「太陽光発電を導入するのはどうだろう」と話すと、「初期費用が掛かるし、天気のいい昼しか使えないですよ。電気って貯められないんですよ。蓄電まで考えるなら、更に費用が嵩みますよ。故障だ寿命だと言って10数年で買い替えで、また費用が発生する。元は取れないし、全くお勧め出来ませんよ。私は今まで2軒だけ入れたことがありますが…」とのこと。

え?そんな感じ???

確かに、近所を見渡しても太陽光発電の家はお隣一軒(建築中)だけ

これから新築を建てるなら、検討事項になるということでしょうか。中古戸建て購入&リフォームの組み合わせでは、まだまだ少ないのかもしれません。

そんな太陽光発電ですが、メリット/デメリットと既存住宅への設置について調べてみました。

【私の結論】
即導入!とは思わないけれど、中古物件購入時に、太陽光発電を導入すればどうなるか数社から見積もりを取って検討する価値は十分にある

1.太陽光発電のメリット/デメリット

一般的に言われるものは下記の通り。

メリット
電気代が安くなる
余った電気を買い取ってもらえる(FIT制度)
・(蓄電池があれば)災害時の備えになる
温暖化対策に貢献できる
・節電意識が高まる

デメリット
初期費用が高い
故障/破損のリスクがある(基本的にはメンテナンスが楽で故障しにくい)
雨漏り等(施工不良)のリスクがある
・地域、天候、時間、方角、設置角度、影等の様々な条件で期待通りの発電量が見込めない場合がある
近隣との反射光トラブルのリスクがある
・パネル重量分の負荷が屋根にかかる

正直なところ、私は費用が一番気になります。

将来の電気代を前払いすると割り切れる価格なら、老後に支払う光熱費が安くなるし、災害時の備えになるし、環境にも優しいし、導入して良いのではと思うわけです。

2.生活で必要な電力量

JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)によると、家庭での消費電力量の内訳は下記のようになるそうです。

家庭における消費電力量の内訳
令和3年度家庭部門のCO2排出実態調査事業委託業務(令和3年度調査分の実施等)報告書 世帯当たり年間消費量の機器別構成(2019年度)/JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)

例えば、我が家の主な家電の消費電力量は

【参考】我が家の家電 消費電力量

※我が家の家電は古く、省エネタイプではありません。

電気の単位 W(ワット)は消費電力Wh(ワットアワー)は消費電力量(=W×h)です。
例えば500Wの電力が6時間必要なら、3kWh(=500W×6時間)の電力量が必要です。

我が家の場合、平均電気使用量368kWh/月平均電気代12,252円/月でした。

【参考】我が家の1年間の電気料金・使用量

年間を通してどれくらいの電気量が必要かは、世帯人数、戸建て/集合住宅、暮らしぶり等で変わります。
一般に、使用量は季節で変動します。

3.関西電力の電気料金とFIT制度の買取価格

太陽光発電しない場合、契約している電気事業者から電気を買います。

例えば関西電力(eおとくプラン)の電気料金

eおとくプラン電気料金のご案内から抜粋/関西電力

これに、再エネ促進賦課金1.40円/kWh(2023年度)、燃料費調整額がプラスされます。

太陽光発電を導入すると、余った電気を10年間、一定価格で電気事業者に買い取ってもらいます(FIT制度)。
今年(2023年)のFIT制度*での買取価格は 16円/kWhです。
(再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します/経済産業省)

💡FIT制度(固定価格買取制度)
再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。
電気事業者が買い取りに要した費用は、使用電力に比例した再エネ賦課金によってまかなうこととしており、電気料金の一部として、国民の皆様にご負担をお願いすることとなっております。

FIT・FTP制度/経済産業省 資源エネルギー庁より抜粋

但し、夜間や悪天時は発電できないので、従来通り電気事業者から電気を買うことになります。

蓄電池を設置する?

蓄電池がある場合は、日中に発電して余った電気を蓄電し、夜間や悪天時に利用します。それでも足りない場合に電気事業者から買います。

買電/売電の電気単価を見比べると、蓄電池が欲しくなりますね。
もう、家庭用蓄電池を買って自家消費しちゃいたい。
太陽光発電と蓄電池の導入費用、ランニングコストっていくらなんだろう。。。

4.初期費用とランニングコスト

■必要な機器
・太陽電池モジュール(太陽光パネル)
・屋根用架台
・パワーコンディショナー(直流から交流に変換)
・モニターリモコン(室内モニター装置)
・専用ケーブル
・売電メーター
・(必要なら)蓄電池

■工事費
・屋根工事費(足場工事費含む)
・電気工事費(足場工事費含む)

太陽光発電についてより抜粋/関西電力

4.1 導入費用

調達価格等算定委員会の配布資料(令和5年2月8日配布)によると、2024年度の5kWの太陽光発電システム設置費用(蓄電なし)は
25.5万円/kW×5kW=127.5万円

令和5年度以降の調達価格等に関する意見(別紙1)/経済産業省

※新築より既築の方が設置費用が高め(下図)

令和5年度以降の調達価格等に関する意見より抜粋/経済産業省

また、家庭用蓄電池(設置費込)の相場18.7万円/kWhです。
(資料4 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会2021年2月2日/経済産業省)

蓄電池の容量は7kWh台が主流なので
18.7万円/kWh×7kWh=130.9万円
(定置用リチウムイオン蓄電システム出荷実績/日本電機工業会)

まとめると
太陽光発電システム導入で約130万円
蓄電システムまで備えると約260万円
となります。

4.2 ランニングコスト

上表『令和5年度以降(2023年度以降)の調達価格等について』より、
5kWの設備ランニングコストは 
0.3万円/kW/年×5kW=1.5万円/年

【内訳】
・定期点検費(3~5年ごと推奨)
・パワコン交換費(20年に1回)
太陽光発電システムのメーカー保証は15~20年が多い。

5.導入するとどうなる?

令和5年度以降の調達価格等に関する意見(別紙1)/経済産業省

IRR(内部収益率)[税引前]3.2%より、
相場価格(5kWシステム127.5万円)で導入できれば、利益が出ることが分かります。

ところで、蓄電池を付けるとFIT価格が変更されることがあるようです。
セットで蓄電池を付ける場合は、導入後のFIT価格についても予め業者の方に相談したいです。FIT期間満了後(10年後)に蓄電池を後付けする場合と比べるのも良いかもしれません。

ちなみに、FIT終了後の売電価格の中央値は10.0円/kWhのようです。

令和5年度以降の調達価格等に関する意見より抜粋/経済産業省


さて、調達価格の中長期的な目標は、下記の通りです。

令和5年度以降の調達価格等に関する意見より抜粋/経済産業省

再生可能エネルギーによる発電コストと、既存の電力コストが等価になる点をグリッドパリティ(Grid Parity)と言い、グリッドパリティが達成されると、FIT制度に頼らなくても自家消費で採算がとれるようになるそうです。

6.税金

家庭用太陽光発電を設置すると、固定資産税と所得税がかかる可能性があるようです。

■固定資産税
屋根と太陽発電システムが一体になっているタイプがあります。
このタイプは太陽光発電システムも住宅の一部とみなされ、固定資産税がかかります(目安:年間1万円程度まで)。
また、10kW以上売電する場合も課税対象になるようです(一般家庭は殆ど10kW未満)。

■所得税
一般家庭の場合、売電所得は『雑所得』です。
必要経費(減価償却)を差し引いた後の売電収入と、他の雑所得の合計が年間で20万円を超えると、所得税が掛かります
この場合、確定申告が必要になります。

7.既存住宅へ設置するリスク

既存住宅の場合、太陽光パネルの重量を含めて計算した設計・建築ではないので注意が必要です。

設置は、家を建てた会社(工務店)に依頼するのが一番安心なようです。
またこの場合、屋根保証と太陽光発電の施工保証を分けた保証が付くことが多いようです。

一方、家を建てた会社以外の会社に依頼すると、保証期間中でも屋根保証が無くなることが多いようです。

特にハウスメーカーが建てた家は、構造図面が施主に渡されないことも多いと聞きました。

他のリフォームも同様で、『ハウスメーカーで建てた家はハウスメーカーに依頼する』のが安心なようです。

メーカー、価格、保証期間等を総合的に見て、検討したいです。

一消費者である主婦が、個人的に調べた内容を記載しています。計算方法など間違っている場合もありますので、あくまで参考として見ていただければ幸いです。


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