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滝沢と松ヶ瀬を落としたプロテストとは?(文・黒木真生)

【プロテストって何をするの?】

 目下Mリーグで3連勝中の「EX風林火山」松ヶ瀬隆弥(まつがせたかや)プロはRMUというプロ団体に所属しているのだが、実は2008年に日本プロ麻雀協会を受験し、落ちている。

 また、松ヶ瀬が入った風林火山を辞め「KONAMI麻雀格闘倶楽部」に入ったMリーガー・滝沢和典(たきざわかずのり)プロ(日本プロ麻雀連盟)も1999年に最高位戦日本プロ麻雀協会を受験し、落ちている。

 それこそ結果論で言えば「なんで落としたんだ」と思われるかもしれないが、これはしょうがない。
 麻雀のプロテストは「筆記・面接・実技」の3つで行うのだが、合格の基準に達しているかどうかは、ほとんど筆記で決まる。
 筆記テストの内容は団体によって違うが、主に麻雀のルールやシステムをちゃんと把握しているかの確認である。
 点数計算、牌効率的な受け入れ枚数、メンチンなど複合形の待ち把握、タイトル戦特有の条件計算などを、時間内にちゃんと解答できるかというペーパーテストだ。
 時代や団体によっては、上記プラス一般教養やその団体のことについて問われる場合もある。
 たとえば「今の総理大臣は誰?」とか「今の鳳凰位は誰?」という具合に。
 
 松ヶ瀬プロは、こういったテストでうまく点を取れなかったから落ちた。

 点数が足りないものを「ガタイが良くて強そうだから合格させよう」とやってしまったら、筆記試験をやる意味がなくなってしまう。
 筆記テストの段階ではじかれてしまったら、どうしようもないのだ。

 松ヶ瀬プロはその後テスト用の勉強をあらためてやって、翌年にRMUを受験し合格した。

 滝沢プロも同様に、改めてテスト用の準備をして、同年、プロ連盟に合格した。
 面接と実技は、だいたいは「参考」でしかない。筆記はできているものの、面接の態度や服装が人としてダメすぎるとか、実技の手つきや姿勢が悪すぎるなど、減点されることはあっても「話がめちゃ面白い」とか「フォームが綺麗」とかで加点され、筆記でダメな人が復活するということはほとんどない。
 他団体の事情はそこまで分からないが、プロ連盟については、ほぼ私が言った通りである。

 滝沢プロの場合は少し事情が違っていて「実技」の点数がかなり影響したようだ。当時の最高位戦のテストでは、その日の成績もかなり評価の対象となっていたのだろう。
 つまり、滝沢はその日ツイていなかったのである。

【アイドルの涙とたかはるの視線】

 2年ほど前、ガールズバンド「たけやま3・5」のボーカル・武田雛歩さんがプロ連盟のテストを受けた。

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そのための準備や猛勉強する姿が「熱闘Mリーグ」で取り上げられ、合格発表を放送中にすることになっていた。
 こういう場合、だいたいは「合格!」という結果が望ましいのだが、力量が足りていないのに「やらせ」みたいな合格をさせるわけにはいかない。

 当然、テレビ局の方からも「テレビとか関係なくちゃんと判定してください」と言われていた。
 武田さんはものすごく努力しており、過去問などではいけそうな点数もとっていたようだが、本番では筆記の点数が足りなかった。

 武田さんは放送中に「不合格」の知らせを受け、涙していた。なぜか後ろにいた多井隆晴プロも少し目を潤ませ、カメラを少しにらんでいた。その視線はまるで私に「合格させてあげればいいじゃん」と言っているようだったが、筆記テストの点数だけはしかたがないのだ。

 こっちだって合格させたかったんだよー。
 私は勝手にテレビ画面の多井プロに言っていた。

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