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被災者は被災者らしく大人しくしておくべきか?

【人間のヤバい部分】

 正月の能登半島の大地震で庄田祐生プロが被災した。
 里帰りしており、親戚の家で集まっていたところに地震が起きて、その家はほぼ全壊した。
 親戚一同、無事ではあったが、靴も履けず、上着も着られず、スマホも持てずに崩れかけた家を飛び出し、津波を避けるために山に登った。
 その途中、人が亡くなっている様子も目にした。実家に残っていた祖父母の安否は分からない状態で、とにかく山に登るしかなかった。
 詳しいことを知りたい方は、庄田本人のnoteを読んでいただきたい。体験者にしか分からないリアルがつづられている。

 こういう経験をした人を叩いている者がいるらしい。

 皆さんは信じられないかもしれないが、私は想定していたので驚きはしなかった。だが、自分が知っている人間をそういう風に言われると、非常に腹は立つ。
 なぜ驚かなかったかというと、似たような話を以前から聞いていたからである。
 仕事柄、出版社や新聞社に勤める知人が多いのだが、事件系を担当したことのある人の話はかなりエグい。聞くたびに、人の醜さや恐ろしい部分があることを知らされて嫌な気持ちになるのだが、それらはすべて事実だ。

 たとえば、だが。
 大切な子供を失った親が取材に答えただけで、叩かれたりするらしい。雑誌よりもテレビでのインタビューで受け答えすると、その傾向は強くなり「本当に悲しいならテレビなど出ないだろ」などの心ない言葉が浴びせられるという。昔は編集部に手紙やメールが来ていたそうだが、今はSNSなどで直接おかしなリプを飛ばしてくる人もいるようだ。私自身も、不幸な交通事故の遺族がSNSで叩かれている様子を見たことがあるが、とても人間の所業とは思えなかった。

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