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強気のヴィーナス・黒沢咲が微笑む理由~笑う門にしか福は来ない~

※近代麻雀2023年1月号と同じものです

黒沢咲はすげえ。
日本プロ麻雀連盟のAリーガーになってMリーガーになって、TEAM RAIDEN/雷電のポイントゲッターになって、鳳凰位決定戦に残って十段位決定戦にも残って、麻雀最強戦ファイナルにも勝ち進んで、小説を出したら有名書店で一番売れて「王様のブランチ」にも作家として出演して、11月7日のMリーグでは112,700点のトップを取った。
とにかくすげえ彼女はいつも微笑みをたたえているが、それはなぜなのか。セレブの余裕? 我々庶民への憐憫? その謎を解き明かす。

自分を許せるようになった

 試合開始からすでに2時間以上が経過していた。
 オーラスに入った時点で15局を消化していたのに、さらに最後の親が10本場まで積んだ。
 11月7日のMリーグで、強気のヴィーナスこと黒沢咲が12回リーチを掛け9回もアガって11万2千7百点のトップをとった。

 数字だけを見ると鬼の所業だが、対局中も終わった後も、黒沢はいつものように微笑みをたたえていた。
 コメント欄やSNSでは驚きの声が投稿されていたが、私は違った。あのルールと順位点システムと、黒沢の力量を考えれば、年に1回ぐらいこういうことがあってもおかしくない。
 それよりも私が驚いているのは、彼女の「求心力」だ。
 多くのファンたちが黒沢の麻雀とその姿勢に惚れ込み、応援というよりは崇拝をし始めている。黒沢がただ麻雀を打っているだけのプロ雀士ではなく、人々が惹かれる何かを持っているからだと思うが、その何かが分からない。
 以前は「金持ちの家に生まれて美人で勉強もできれば、そりゃ麻雀の配牌やツモだって良くなるわなー」と思っていた。失礼だけど、結構ガチで思っていた。

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