男子プロ最強新世代は来年もやるのか?(文・黒木真生)
【これは「枠」なのか】
9月4日に開催された「麻雀最強戦2021・男子プロ最強新世代」の表彰式で、増田隆一プロが言った。
「自分はもう40歳なので来年はこの『枠』からは出られないと思いますが…」
麻雀プロはよく「枠」という発想をするが、私のように裏方仕事をしていると「そんなかっちりした『枠』はない」というのがよくわかる。
番組の「枠」や大会の「枠」も、どこかの誰かが必死で勝ち取ったものであり、あるいは偶然に舞い降りてきたものであり、かつ一時的なものだ。その瞬間は「枠」のような四角い形をしているかもしれないが、終わったとたんに留め金が外れてバラバラの木片になる。
前に一度「五団体会議」(プロ団体の代表者会議のようなもの)で「最強戦の出場枠がありますよね」という話をされたことがあったのだが、その時も「枠って何ですか?」と聞いてしまった。どうやら外部から見ていると「枠」があるように思えるのかもしれないが、そんなものはない。
そもそも、来年「最強戦」はできるのか? プロは出場してくれるのか? すべては「だいたい大丈夫だろう」けど確定はしていないのである。
「男子プロ最強新世代」は他の予選と違い、過去にカネポンから「選抜」されたことがない人たちの中で、リーグ戦上位者が選ばれた。今までスポットライトが当たらなかった人たちにもチャンスがある。そういう特殊な大会だからこそ、これが「枠」のように来年も存続するのかどうか、微妙だった。もし、今年の出場者が「つまらない」と思われたら、この「枠」はバラバラになってゴミ箱にポイ。「面白い」と思わせられれば、後に続くプロ雀士たちにチャンスを与えることもできる。
だからこそ、である。
「男子プロ最強新世代」のメンバーが発表された際、Twitter上で何の反応もなかったのだが、私にはこの沈黙が怖かった。しかも、選手たちの「リツイート」さえなかったので、これはさすがにと思って、嫌われるのを承知で「これ大丈夫?」とか「アカンかも?」というnoteを投稿した。
結果、ウヒョ助さんをはじめ、心優しい人たちが盛り上げてくださって、そこそこ話題になった。もしかしたら、普段の最強戦よりもTwitter上での盛り上がりはあったかもしれない。
あとは当日どうなるか、である。
【数字は?】
予選のオーラスを迎えたところで、制作のプロデューサーとディレクターが視聴者数を見ている。
だいたい前回の女性大会の半分ぐらい。普段の男性の大会の7割ぐらい。ちょっと少ないかなー?
そのような会話があった。
いくらTwitterで事前に盛り上がったとしても、当日の視聴者数が少なければ「来年はやめようかな」という判断になる。逆にまったく無風状態から始まっても、当日たくさんの人が見てくれれば「来年もまたやろう」となる。
「最強戦」は視聴者数がそのままお金になるコンテンツではないので、かりに視聴者数が少なくても、中身が面白く、視聴者の満足度が高そうだと判断できれば、その「枠」は残るかもしれない。だが、見ていても今イチで数字も悪ければ切り捨てられる。
で結果はどうだったか。
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