プロ麻雀団体は統一するべきか
【2つのプロ団体が生まれた理由】
カネポンこと金本晃「近代麻雀」編集長が言ってきた。
「今後団体統一はありえるか? 統一すべき? それとも今の方がバラエティあって面白いのでそのままがいいのか? 黒木さんの考えを知りたいです」
その手の話はしょっちゅうカネポンにしてきた。
だから彼は私の考えを知っているはずなのだが、それをnoteに書かせたら売れるだろうと思って言ってくる。
ただまあ、テーマとしては面白いと思うし、この話題を避けて通るのもおかしいかなと考えて、書くことにした。
私なりの結論はずっと前から出ていて「統一してほしい」である。
しかし、そういう話を「最強戦」の現場でしていたら「でも、そしたらバビロンの仕事が激減しますよ。団体が1つになったら面倒くさくなくなりますもん。窓口に連絡して、それで終わりじゃないですか。黒木さんの仕事なくなりますよ」と、カネポンの上司の星野さんに言われてしまった。
あ、そうか。ホンマや!
元々「麻雀企画集団バビロン」は乱世のようになりつつあった麻雀界に一石を投じるために生まれたものだった。
1997年に麻将連合が誕生した。最高位戦の代表だった井出洋介プロが団体を飛び出して新団体を設立したのだ。それまではずっと、日本プロ麻雀連盟と最高位戦の2団体しかなかった。そして、この2つは分裂してできたのではない。
最初は「最高位戦」というタイトル戦を近代麻雀が運営していたが、出場選手たちが「プロ雀士が加盟する組織」を作ろうとしてもめごとが起こった。結局「ある事件」が起きて、一部の選手と近代麻雀はとんでもないぐらいにバチバチの喧嘩になって、その選手たちが飛び出して作ったのがプロ連盟である。
一方、残った選手たちは引き続き最高位戦に出場していたが、数年後、近代麻雀は最高位戦をやめてしまう。
困った選手たちは自主運営することを決め、そのグループがプロ団体としての最高位戦になっていく。
このタイミングで最高位戦グループがプロ連盟に合流していたら麻雀界の歴史は大いに変わっただろう。
もしかしたら、今もプロ団体は1つだったかもしれない。
【統一の難しさ】
だが現実は違っていて、今は5つものプロ団体が存在している。
井出さんが団体を割った後、堰を切ったかのように新団体が分裂によって生まれていく。
このあたりの経緯を書いているとそれだけで終わってしまうので、興味のある方は過去の記事をご覧いただきたい。
分裂したということは、それなりの理由があるわけで、元に戻すのは非常に難しいだろう。
せめて、初期の頃、まだプロ連盟と最高位戦しかなかった時代であれば、くっつけたかもしれない。プロ連盟の選手たちがもめた相手は最高位戦ではなく近代麻雀だったからだ。
だが、統合される前に分裂の作用の方が急加速していったから、今のようになっているのである。
だからこそ私は「統一したい」ではなく「統一してほしい」と表現するのだ。無理だと思っているから、願望のようになってしまうのである。
もちろん、私は常に「統一」というキーワードを念頭に置いて仕事をしてきた。何かチャンスがあれば「統一」に向かうよう動くし発言するようにしてきたつもりである。
3団体(プロ連盟、最高位戦、プロ協会)の会議を作ったのは私ではないが、発案した人間の内の1人ではある。最初はスケジュール調整だけの会議だったが、あるタイミングから「麻雀界全体の諸問題を話し合う会議」になった。ここにRMUと麻将連合の2団体が加わって5団体会議になった。
その後、5団体を統べる「統一機構」のようなものを作ろうと発案する人が現れた。いきなり団体を1つにまとめるのは難しいとしても、各団体の代表者による「別組織」を作って、各団体がその傘下に入るようなやり方ならできるかもしれない。
そのアイデア自体は素晴らしかった。もちろん私は大賛成だった。
しかし、結局それは成立しなかった。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?