日吉辰哉は調子に乗っているのか(前編)
【肝心なところでミスる日吉】
結論から言うと日吉辰哉は調子に乗ってはいない。
それどころか絶不調だと思う。
携帯用の加湿器をずっと口にあて、ガラガラの声で打ち合わせをしている時のテンションはめちゃくちゃ低い。
子供の頃、変な味のついたシロップを飲まされたことがあるが、同じようなものを服用している。
何なのお前、病気なの? お前それで実況できんの? っていうぐらいに辛そうに声を出す。
もしかしたらキャパオーバーになってきているのかもしれないが、それを管理するのも自分だ。日吉が引き受けているのだから、それでいいのだろう。
ただ、私は、いつか彼の声が出なくなるのではないかと心配している。
多分だが、日吉が調子に乗っている時期があったとしたら、それはもう少し前だろう。いつか分からないが、数年前に「それ」があったかもしれないし、あるいは、ぜんぜんなかったのかもしれない。
少なくとも「日吉が調子に乗っている」という話は、私の耳には入ってこなかった。
最強戦の打ち上げの場で私に年収を聞いてきて、私が正直に答えたら「ボケ」と勘違いして「うわー、夢ないなー! 黒木さんがそれじゃ若手が失望するよ、夢ないなー!」と叫び「いや、確定申告の書類見せたろか? っていうか、そのリアクションするってことは、お前は倍ぐらい稼いでるってことやろ? なんぼなん? 俺は言ったんやから教えてよ、なんぼなん?」と私が返したら顔色を失い「いや、すみません、言えないです」となったことはあるが、これは調子に乗ったのではない。ミスったのだ。
そう、彼はミスる。
「大和証券Mリーグ」のレギュラーシーズン終盤、日吉はミスをしてファンから大批判を浴びている。
私はこれを擁護するつもりはない。批判はまっとうで、日吉がミスるのは彼の能力が足りないからだ。1回や2回ではなく、たびたびミスるから視聴者もイライラするのだろう。
【ういろう売り】
10年以上前、ニコ生の「日本プロ麻雀連盟チャンネル」ができた頃、実況者をどうするかという議論があった。
私はプロのアナウンサーに麻雀に慣れてもらう方が良いと主張した。麻雀実況は麻雀のことだけが喋れれば良いのではない。司会を兼ねるのであれば「ちゃんとした日本語」で、ちゃんとしたイントネーションで話すことができなければならない。そう主張した。
だが、森山茂和会長の考えは違った。連盟員にやらせて、良い実況者を育てたいという意向があった。
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