「麻雀に感謝」Mリーグ2022-2023 渋谷ABEMAS 優勝 その時チェアマンで監督で社長のあの人は何を思ったか
Mリーグが終わった。
「マイナス1200からの復活」の取材のため「TEAM RAIDEN / 雷電」に帯同していた私は、試合が終わった直後、高柳監督のタクシーに同乗してパブリックビューイングの会場「ベルサール六本木」へ向かった。慌ただしかったが面白かった。
昔、馬場(裕一)さんが若くて元気だった頃のバビロンは毎日こんな風に忙しくて、ずっと動いていた。止まったら死ぬのかというぐらい、常に動いていた。同じベルサール系列のイベントホールを借りて、何だったか忘れたが催しごとをやったこともあった。
麻雀界の中心で右往左往しながらも、自分たちで物事を動かしているような感覚があった。
だが、今は会場の片隅で、こっそりと取材をさせていただく立場になった。だが、それが寂しいかというと全然そうではない。
目の前には、私たちが「実現できないはずの夢」と思っていたものが広がっているからだ。
何にもない砂漠みたいな麻雀界で、わずかに湧いた水を分け合った人たちが壇上にいる。二階堂姉妹、滝沢、勝又、小林剛。彼らがユニフォームを着てステージ上でスポットライトを浴びている。
数百人の、満員の観客から拍手や歓声があがる。
すげーなー。
Mリーグも5年目だから、そろそろ慣れてきても良いのかもしれないが、私にはこの光景が常に新鮮だ。泥臭い時代を生き抜いてきたからか、未だに落ち着かないのである。
8位のチームから順番に、チームを代表して1人がご挨拶をする。どのチームもドラフト1位指名選手がその役を担い、当たり前だが真面目にしゃべっていた。まるでスポーツ選手のようであった。もう、麻雀はスポーツになったのだ。
だが、雷電が流れを変えた。萩原聖人ではなく、本田朋広が指名されたのだ。
この変化球は良かった。正直「真面目」が続いてちょっと「味変」してほしいなあと思っていたところに本田である。スパイス投入である。
「いやあ、悔しいけど、嬉しい悔しさっちゅうか、そのー」と、訳の分からない発言をした本田を会場全体が温かく見守った。
そうだ、これでこそ麻雀だ。
麻雀はスポーツでもあるし、こうやってバカバカしい挨拶だって似合うのだ。
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