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ケネス徳田伝説⑥ 小林未沙vs.ケネス徳田

【MC小林を悩ませた徳田のワナ】

 Mリーグ実況の小林未沙さんが産休から戻られるそうだ。12月7日の試合が復帰戦ということである。

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 彼女が優秀なのはすでに知れ渡っているが、10年以上前、弊社バビロンが今では考えられないような安いギャラで、定期的に小林さんに大会MCをお願いしていた。

 MCというと「司会」と訳されることもあるが、どちらかと言うと「仕切り屋」と言った方が実態に近い。
 番組やイベントは始まるまではプロデューサーやディレクターが仕切るのだが、始まってしまった後は出演者次第の部分が大きい。
 その番組なりイベントを仕切るのが「マスター」であるMCなのである。
 主催者が事前に「こうしてほしい」とコンセプトなどは伝えるが、イベントは生き物なので、予定外のことや予想外のことが起こり得る。そんな時に、いちいち舞台袖のディレクターの顔色をうかがうことなく、自分の判断でこなしていくのが優秀なMCだ。
 
 もちろん、MC的な能力を持った司会者は重宝されるし、実際に私たちのイベントでは、小林さんは「司会進行」という名称にしていた。ただ、実際にはとんでもない能力を持ったMCだったのである。
 
 その大会は4回戦だったのだが、最終戦開始前に成績の途中経過を発表していた。参加者がだいたいどれぐらいの成績を残せば入賞できるかの目安にするためである。
 
 できるだけ参加者のテンションが上がるように、小林さんが盛り上げてくれる。
 こういうイベントは熱が大切なので、集計のためにお客さんを待たせるのはよくない。できるだけスピーディーに進行させることが重要なので、ある程度見切り発車で発表を進めていた。
 たとえば、小林さんがしゃべっている最中に、少しずつメモを渡して成績を伝えたりしていたのだ。

 そのメモを渡す役割を徳田がやっていたのだが、珍しく小林さんの顔色が変わった。
 
 「はい、第3位は、宮内プロです!」

 と、その場は何事もなくすぎたのだが、最終戦が始まって落ち着いたところで小林さんが「黒木さん、なんですかこのワナは」とメモを見せてきた。

 そこには「3位 宮肉」と書いてあった。

 「私、間違ってもみやにくプロとは読みませんけど、さすがに少し笑いそうになりましたよ、もう」

 徳田は、「内」と書く際に「人」を余分に多く書いてしまったのだった。

【最初からゲシュタルト崩壊】

 前回、やたらと徳田が優秀であることを書いたのだが、いきなり今回の記事を読んでしまうと「徳田ってもしかして…」と思われる可能性があるからだ。

 だから、前回のnoteをご覧になられていない人は、お願いなのでまずは前回のを読んでいただきたい。もちろん、無料部分だけでも十分である。

 同じイベントで、また宮内プロがゲストで小林さんが司会の時に同じようなワナが仕掛けられた。
 
 これは活字では書けない。「宮内」の「宮」のうかんむりの中は「呂」という字だ。この「口」という字が2階建てのようになっている「呂」が正常なのだが、徳田が書いたのは3階建てだったのである。

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私が書いたものより実物はもっと禍々しい文字だった

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