プロ連盟はテロリストに屈したのか
【厳しすぎる裁定】
瀬戸熊直樹プロの「牌こぼし」が「誤ツモ」だと騒がれた件について、日本プロ麻雀連盟が公式アカウントで以下のようにツイートした。
私は最初、この裁定を聞いて驚いた。厳しすぎるからである。
その局面において、対局室にいた全員が「問題なし」と判断した。しかし、サブルームにいたスタッフや解説者を含め「放送の映像」を見ていた人は「もしかして誤ツモ?」と思ったから騒ぎになったわけである。が、これも天井カメラの映像を確認することにより「牌がこぼれただけ」ということが分かった。
だから普通に考えたらノーペナルティが適切なのである。
もし、これをイエローカードとするのであれば「偶然、まぎらわしい場所に牌が落ちた場合イエローカード」となってしまう可能性がある。
たとえば、この公式発表があった前日の「プロクイーン決定戦」で以下のシーンがあった。
2シャンテンの手牌なので誤ツモなわけはないのであるが、でも、この画像だけを切り取って見れば、形的には瀬戸熊さんのケースと大差がない。
今後、これをイエローカードとするべきかどうかという新しい議論が生まれてきそうだなと、私は思った。
もし、これがイエローカードになるなら、麻雀を打つ時、常にビクビクしなければならない。
もちろん牌をこぼすのは良くないことだが、あまりそこに神経をとがらせてばかりだと「良い対局」は生まれづらくなるのではないか。そう思ったのだ。
【新人選手ならどうだったか?】
SNS上では、一部の偏見が強い人たちが「瀬戸熊だから立会人も注意できない」とか「若手選手ならチョンボを取られている」と、勝手なことを発言していたが、まるで違う。試合中の裁定は同じだ。選手たちが「問題なし」としている以上、立会人も何も言わない。ゲームを壊さないように口出しせず、そのまま続行である。
むしろ、瀬戸熊さんだから変な空気になったのだと私は思う。
理事であり競技部長であり、過去に鳳凰位3回、十段位を3回とっているスター選手だから、色眼鏡で見られただけなのである。
もし若手だったら、Twitterで言葉の暴力による被害を受けることはなかっただろう。そして、イエローカードを出されることもなかったのではないかと、私は思ってしまった。SNSでは偏見が強い人たちが「瀬戸熊だから注意されないんだ!」とはやしたてていたが、私は逆に「瀬戸熊さんだからイエローカードを出された」と思ってしまった。
競技部の人たちが、SNSでの「瀬戸熊は偉い奴でプロ連盟は腐った組織だから甘い判断が下されたのだ!」という声に、ある意味で負けてしまったのではないだろうか。
普通ならノーペナだ。でも、それを宣言すると瀬戸熊さんがさらに叩かれる。じゃあ、叩いている連中が少し留飲を下げるように、瀬戸熊さんに厳しい処分を下した方がマシかもしれない。
そんな風に、海外ドラマでよくある「テロリストの要求に屈するかどうか」みたいな話し合いになってしまったのではないかと、私は勘ぐってしまったのである。
もしそうだとしたら、プロ連盟はテロリストに屈したようなものだ。
普段はプロ業界に大して興味もなく、連盟チャンネルの会員でもない、後からTwitterで知って、面白そうだから参加してきた「気に入らない人や気に入らない組織に石を投げつけて、うまくいかない自分の人生で溜まりに溜まったストレスを発散したいだけ」の野次馬たちに叩かれるのをおそれ、イエローカードを出してしまったのではないか。そんなの、最悪の判断ではないか。
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