プロ雀士スーパースター列伝 岡崎涼太編
【最強戦予選連続優勝】
岡崎涼太は7月17日に行われた「麻雀最強戦2022男子プロ因縁の抗争」で優勝した。昨年も同様の予選で優勝しており、連続で最強戦ファイナルへ勝ち進んだことになる。
まだ23歳でプロ歴は5年目だが、早くも「実績」というものを残した。
麻雀プロの業界は「実力」だけがあっても難しい。その「実力」を測る基準の数値がないからだ。
陸上競技なら100メートルを世界新記録のタイムで走れば、公式戦出場経験がなくても「こいつがおそらく世界一」ということが分かる。だが、麻雀には何もないのである。
だから「実績」が非常に大切で、しかも1回の優勝では「フロック」と言われてしまう可能性もあるため、2度目の優勝は本人にとって「最も欲しい実績」なのである。
しかも、である。
「もしかしたらこの人はすごいレベルに達しているのかもしれない」と多井隆晴に言わしめたのである。
多井さんは解説席から出てきて私の姿を認めるや否や「いや、岡崎ってすごいんじゃね? 完全一致ではないけど、俺の中のこれかな? っていう打牌候補の範囲から打ち続けてるんだよ。まだ若いのに、すごくね?」と言ってきた。
本当に岡崎がそんなにすごい打ち手なのかどうかは分からないが、何かを持っていることは間違いない。それが運なのか、実力なのか、あるいはその両方なのかは、私には分からない。
ただ、岡崎が日本プロ麻雀連盟に入ってこようとしていた時のことはハッキリと覚えている。
【天然記念物】
プロ連盟のテストには研修のようなものがあって、その中には連盟が経営する「夏目坂スタジオ」でのプログラムもある。
スタジオの対局室で麻雀を打ち収録する。その撮影したばかりの動画を、入会審査部長の前原雄大プロと一緒に見ながら対局内容について話をしてもらう。
そのテスト生による対局を、別のテスト生が解説する。
実況は日吉辰哉だ。
麻雀の内容については前原さんや他の講師に任せて、私は解説室に入って見ていた。
日吉の隣に岡崎が座っていた。
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