小声すぎるポンと不適切なツモ
【夕刊フジ杯でのトラブル】
初心者ドライバーが迷いのある運転をしたために、周囲のベテランドライバーが惑わされ事故を起こすケースがある。
この場合、事故の原因を作ったのは初心者ドライバーだが、罰せられたり修理費用を負担するのは実際に事故った人である。
こういう目に遭うと納得できない気持ちになるが、それが法律とかルールというものだ。原因を作った人が罰せられるとは限らない。
麻雀競技中のトラブルでも似たような現象は起こる。
8月11日に行われた「夕刊フジ杯争奪麻雀女流リーグ2023」で立会人の裁定が必要で、かつ難しい局面があった。
プロの対局であり、報道されたり記事になるのが前提であるため、本名を出しても良いのだが「先入観」を持たれたくないので、あえて対局者名を伏せる。
北家が捨てた牌に対し、西家が小さな声で「ポン」と言った。
これは南家と北家に聞こえてはいたが、親には聞こえていなかった。かつ、西家がフーロのターツをさらすなど「ポンの発声後の次の行動」に移らなかったため、親は次のツモ牌を持ってきた。さらに、捨て牌まで完了してしまった。
これをどう裁定するか、という話である。実際には親のアガリ放棄という裁定が下されたのだが、その理由について解説をしたい。
まず、この状況を作ってしまった張本人は明らかに西家である。
ポンの声は相手3者に聞こえるように発声しなければならない。また、発声後は、速やかにフーロのターツをさらし、当該の捨て牌を持ってきて面子を完成させて、その後、打牌せねばならない。
西家はこれらを怠った。
だが、これに対する裁定は「もっとはっきりと大きく発声してください」だけである。ペナルティにはならない。
西家としては、発声したのに親がツモ行為に入ってしまったため、プレーを止めたと解釈することができるからだ。
したがって、問題はまず「発声の大きさ」である。
ルールには「相手3者に聞こえるように」とあるが、慣例と実態は「多数決」だ。そうしないと、誰か1人がかたくなに「聞こえなかった」と言い張れば、それが通ってしまう。
発声した本人以外の3者の多数決で、聞こえたか聞こえなかったかを決めるしかないのだ。
したがって、この「小さな発声」は親以外の2人に聞こえているため、認められてしまうことになる。
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