プロ麻雀界と名誉毀損の話
【刑事と民事】
少し前に話題になった件からこのテーマを思いついてはいるのだが、今回はあくまでも一般論として「名誉毀損」を扱いたい。
また、私は日本プロ麻雀連盟の法務部長代行という役職にはあるのだが、もちろん法律の専門家ではないし、大学の法学部すら出ていない。ただ顧問弁護士の先生とやり取りをすることが多く、今回のテーマについても、私の周囲であったことを基に、ある程度は説明できると判断して書くことにした。
名誉毀損と書いて「めいよきそん」と読む。
要するに「人の名誉や信用などを傷つけること」だ。
名誉毀損には名誉毀損罪という刑法上の犯罪も存在する。もし私が「Aさんがひどいことをしたから刑事事件にして名誉毀損罪で裁いてもらいたい」と思ったら、弁護士さんに相談して、刑事告訴の手続きをとってもらう必要がある。
名誉毀損は「親告罪」であり、警察が勝手に動くことはない。誰かがひどい悪口を言っていて「これ明らかに名誉毀損罪だよなー」と刑事が思っても、被害者が訴えてこなければ何もできない。盗みとか暴力沙汰なら、警察官が見つけた時点で「おいやめろ!」と言って逮捕できるが、名誉毀損罪は違うのだ。
悪いことをしているとはいえ、人に刑事罰を与えるわけだから、刑事事件として名誉毀損罪を成立させるのは結構ハードルが高い。だが、訴えられた方も「有罪」になったらダメージが大きい。
もうひとつは民事訴訟という方法もあって、こちらの方がハードルは低い。めちゃくちゃ極論すると「訴えたければ訴えられる」というものなので、ある意味でハードルはないに等しい。
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