プロ麻雀界近代史 再発掘されたベテランプロ
【製作者の思惑】
1999年に行われた「New Wave CUP」の放送が終わる前に、新しい番組企画の話があった。
CSの「モンド21(現・MONDOTV)」の「麻雀デラックス(現・麻雀プロリーグ)」の放送枠が一旦は「無くなる」という話だったが、何とかつながったのである。
それは制作会社「コクーン」の松本朋丈社長や、馬場裕一さんらが「粘った」からこそ、なのであるが。でも、彼らが登用した私たち若手プロが結果を残したからとは言えなかった。
「New Wave CUP」は萩原聖人さんが優勝した。私は決勝戦に残っていたから負けて悔しくはあったが、ある意味で最も注目される結果にはなった。しかし、それでも私たちの力量では、一発で視聴者を虜にすることはできなかったのである。
次に放送されるのは「電影大王位決定戦」という、ベテランプロ8名と若手プロ8名がそれぞれ別ブロックに分かれて戦うというものだった。最終的には、各ブロック上位2名ずつが決勝戦に進出し優勝を決める。
こういう企画になったということは「ベテランプロも出す」理由があったはずだ。
そのあたりについて聞いてみたが、馬場さんは「ごめんごめん、ぜんぜん覚えてない。悪いなあ」という返事だった。馬場さんは「麻雀企画集団バビロン」の社訓を「今を生きる」と定めた人だけあって、過去は一切振り返らない性格なのである。
松本社長にも聞いてみたが、馬場さん同様あまり詳しくは覚えていないようで「テレビ局にはベテランプロも出してほしいという、視聴者の声が届いていたみたいですね。それだけは何となく覚えています」ということだった。
当時のCS放送では視聴率を調べることができなかった。そのため、テレビ局は視聴者からの手紙や、電話によるクレームなどでしか反応を知るすべがなかったのである。
当時、編成を担当されていた間地雄一(まじ・ゆういち)さんにも聞いてみた。間地さんはすでに「MONDOTV」を辞め別のテレビ局で働いているのだが、年に1回はお会いして、近況を報告し合う仲である。
「確かに視聴者からは『ベテランを出してほしい』という要望がありましたが、それでも、せっかく取り組んだばかりの『若返り』を止めてしまうのはもったいないですよね。ベテランの知名度と力を借りて番組を成立させながら、若手のことも視聴者に見てもらおうという考えでした。そういう、先々までのビジョンがあって、ベテラン半分、若手半分という構成にしたんです」
間地さんとは25年ぐらいの付き合いだが、こういう話は実は初めて聞いた。年齢は私よりちょっとだけ上だから、当時はまだ30歳になったばかりだと思う。やっぱり、麻雀ばっかりやってきた人間と、ちゃんとした会社でちゃんと働いてきた人では、大きな差があるのだと思い知らされた。
「電影大王位決定戦」決勝戦のメンバーは、ベテランのブロックからは荒正義プロ、金子正輝プロが進出。若手のブロックからは清水香織プロと斉藤勝久プロが勝ち上がった。
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